JALが初めて発注したエアバス機「A350 XWB」。「挑戦のレッド」の特別塗装を持つその初号機(A350-900型機)が、最終組立工場のあるフランスのトゥールーズから、ついに日本へ向けて飛び立ちました。
JAL(日本航空)が新たに導入するエアバスA350-900型機が、2019年6月13日(木)13時前(日本時間13日20時前)、同機の最終組立工場があるフランス南部のトゥールーズを離陸。日本の羽田空港へ飛び立ちました。
エアバス機をJALが発注したのは、これが初めて。今回、エアバスからデリバリー(引き渡し)され、羽田へ向かったA350-900型機(機番:JA01XJ)は、その初号機になります。なお、かつてJALが運航していたエアバス機は、統合前のJAS(日本エアシステム)が発注したものです。また、日本の航空会社によるA350 XWBの導入も、今回のJALが初です。
JALへ引き渡され、フランス・トゥールーズから日本へ飛び立つエアバスA350-900型機のJAL初号機。「挑戦のレッド」の特別塗装がされている(2019年6月13日、恵 知仁撮影)。
A350-900型機は、エアバスの最新鋭旅客機「A350 XWB」シリーズのひとつです。JALはA350-900型機が18機、同シリーズの長胴型であるA350-1000型機が13機、あわせて31機の確定発注と、さらにオプションとして25機の購入契約をエアバスと締結しています。
JALはこのA350 XWBを、国内線と国際線の両方で使っているボーイング777型機の後継として導入。まず2019年9月1日(日)より、羽田~福岡線でA350-900型機の運航を開始し、羽田~那覇、新千歳線にも順次拡大する予定です。

見送りの横断幕。日の丸の旗も。

機体後部に大きな「AIRBUS A350」の文字。

引き渡しにあたって行われたセレモニー。
「A350 XWBは、国内線の短距離から国際線の長距離まで対応できる汎用性の高い機体です。JALにはそこも評価していただけたのではと思います」(エアバス A350 XWB プロダクトマーケティングマネジャー Claire Thomasさん)
またA350 XWBの購入契約をした、元パイロットであるJALの植木義晴会長は、今回のデリバリー(引き渡し)にあたっての記者会見で「私は18歳から57歳まで、実際に飛行機に乗ってきた人間です。その観点でA350型機を選んだ理由を挙げるならば、エアバス社の全ての飛行機に一貫した考え方、信念が取り入れられていることを、シミュレーター、実機を見て感じました。そこに惚れました。エアバス社が一番大切にしているのもそれだと思います」と話しています。
JAL、国内線刷新へ 最新鋭A350-900型機の機内はJALはA350 XWB導入を「挑戦と成長を続けるJAL」の象徴として位置づけ、このA350-900型機の初号機から3号機までに特別塗装を実施。初号機は「挑戦」のレッド、2号機は「革新」のシルバー、3号機は「エコ」のグリーンで、機体後方に大きく「AIRBUS A350」の文字が描かれます。20色以上を使ってグラデーションさせた、技術的にも難しいものといい、JALのスペシャリストがエアバスの工場があるトゥールーズへ飛び、塗装に携わったそうです。
「JALは国内線を大きく刷新していこうと考えています。このA350型機は、他社と差別化し、リードしていく飛行機です。この特別塗装を見て『JALとエアバスの新しい飛行機なんだ』と分かっていただけるようにしました」(JAL 欧州技術品質保証部 部長 小倉隆二さん)
JALが導入する国内線仕様のA350-900型機は、ファーストクラス、クラスJ、普通席の3クラス構成。全ての座席に個人モニター、電源コンセント、USBポートが備えられます。個人モニターでは、機外カメラによる映像も楽しめるとのこと。

離陸後、再び滑走路上空に現れ、翼を振って羽田へ旅立っていったJALのA350-900初号機(2019年6月13日、恵 知仁撮影)。

セレモニーに出席したJALの植木義晴会長。

主翼の先もグラデーションの赤。
「A350 XWBについて乗客から多かったフィードバックは、広いこと、静かなこと、快適なことでした」(エアバス A350 XWB プロダクトマーケティングマネジャー Claire Thomasさん)
A350 XWBの機内は気圧が地上に近づけられているほか、そのモックアップ(実物大模型)に記者(恵 知仁:乗りものライター)が入ったところ、外壁の丸みによる圧迫感が少なく、確かに広く感じたのが印象的でした。
ちなみに初号機は離陸後、再び滑走路の上空に現れ、翼を振ったあと、羽田空港へ旅立っていきました。到着は6月14日(金)朝8時ごろの予定です(早まる可能性あり)。