報告を受け、2019年4月の市長選挙で初当選を果たしたばかりの本村賢太郎相模原市長は、唐木田~相模原間の先行整備を軸に検討を進めたいと表明しました。これは事実上、相模原~上溝間の整備断念を意味していると言えるでしょう。
多摩線延伸構想が加速した背景には、2014(平成26)年、JR相模原駅の北側に位置する在日アメリカ軍の補給施設「相模総合補給廠」の一部が返還され、駅と線路の導入区間が確保されるとともに、跡地の再開発計画が具体化したことが挙げられます。
相模原市は跡地にMeeting(企業等の会議)、Incentive Travel(企業等の研修旅行)、Convention(国際機関・団体、学会等が行う国際会議)、Exhibition/Event(展示会・見本市、イベント)用途など「MICE」需要を見込んだコンベンション施設を整備し、あわせて市役所や市民会館、産業会館などの交流機能を全面移転する計画を検討しています。再開発計画は多摩線延伸を前提として進められており、多摩線延伸の需要予測も再開発計画の順調な進展が前提であることから、実現性を優先した形です。
リニア新駅開業の影響はさらに相模原市には2027年開業予定のリニア中央新幹線という、もうひとつの「大型再開発案件」が控えています。橋本駅南口の神奈川県立相原高校を移転して確保した用地の地下にリニア新駅を設置し、京王線駅舎をJR横浜線とリニアの乗り換え動線上に移転する具体的な検討が進んでいます。