関東の南北を直通する上野東京ラインと湘南新宿ライン。その名の通り、上野東京ラインは上野駅と東京駅を通り、湘南新宿ラインは新宿駅を経由。
関東のJR線は、東京駅や上野駅など東京都心のターミナルを中心に、各線が放射状に延びています。2001(平成13)年には、関東の南部と北部を新宿経由で直通する「湘南新宿ライン」が運行を開始。さらに2015年には上野駅や東京駅を通る「上野東京ライン」も運行を開始し、東京都心では南北の直通列車が東西に分かれて通り抜けます。
関東の南北を直通する列車は写真の上野東京ラインのほか湘南新宿ラインなどがある(画像:photolibrary)。
ルートが複数になると、どれが一番早く着くのか気になるところ。2019年6月時点の時刻表を参考に、平日に大宮駅(さいたま市)から横浜駅へ向かう直通列車(南行)の所要時間を調べました。
大宮~横浜間の距離(実際に走るルート)は、上野東京ラインが約59kmで、湘南新宿ラインは約5km長い約64km。所要時間(最短)も上野東京ラインが57分に対し、湘南新宿ラインは4分長い61分です。
ただ、列車によっては所要時間が大きく変わるため、一概にどちらが早く着くとはいえません。しかも、大宮~横浜間では先発の湘南新宿ラインと後続の上野東京ラインが途中で入れ替わるケースが少なく、大半の列車が大宮駅の発車時刻順で横浜駅に到着。
しかし、例外もあります。たとえば、大宮駅を12時12分に発車する逗子行き湘南新宿ラインは、横浜駅には13時18分に到着。一方、大宮発12時13分の熱海行き高崎線(上野東京ライン)の列車は、横浜着が13時12分です。湘南新宿ラインの1分後に発車する後続の上野東京ラインが、横浜駅には6分早く到着します。
湘南新宿ラインが先着するケースも平日南行の場合、先発の湘南新宿ラインと後続の上野東京ラインが横浜駅の到着時点で順番が入れ替わるケースは、28回。大宮~横浜間を直通する湘南新宿ラインは平日の南行が67本ですから、その4割強は上野東京ラインに「抜かれる」ことになります。

湘南新宿ラインが上野東京ラインより早く着くケースもある(2019年5月、草町義和撮影)。
その多くは、湘南新宿ラインが大宮駅を発車してから1~2分後に上野東京ラインが発車するケースですが、1~2分後の発車でも入れ替わらないケースが少しあります。3~6分後では入れ替わらないケースのほうが増え、7分以上の差が開くと、すべてのケースで発車順のまま横浜駅に到着します。大宮駅から横浜駅まで移動するとき、湘南新宿ラインのすぐあとに上野東京ラインの列車があるなら、到着時刻を確認したほうがいいでしょう。
逆に、上野東京ラインのあとに湘南新宿ラインが発車するケースでは、順番が入れ替わるケースがほとんどありません。
大宮駅を17時29分に国府津行き上野東京ラインが発車。続いて1分後の17時30分には小田原行き湘南新宿ラインが発車しますが、横浜着は上野東京ラインが18時34分なのに対し、湘南新宿ラインは3分早い18時31分です。
ちなみに、大宮~横浜間を結ぶ直通列車は京浜東北線もあります。歴史の長い運転系統で、運行本数は大宮~横浜間の直通列車(平日南行)だけでも140本。上野東京ライン(105本)や湘南新宿ライン(67本)より圧倒的に多いです。
ただし、途中すべての駅に停車(日中は田端~浜松町間で快速運転)するため、所要時間は各駅停車が約1時間30分。快速でも約1時間24分です。そのため後続の上野東京ラインか湘南新宿ラインに乗ったほうが、必ず先に到着します。ただし、運行時間帯は上野東京ラインや湘南新宿ラインより広いため、早朝と深夜は京浜東北線を利用するのが唯一の選択肢です。
※誤字を修正しました(9月3日8時12分)。
【地図】「上野東京」「湘南新宿」ルートの違い

上野東京ライン(紫)と湘南新宿ライン(オレンジ)。