「昭和レトロ」の懐かしい雰囲気が漂う国鉄型の普通列車用ディーゼルカー「キハ40系」。かつては全国各地のJR線で見られましたが、新型車両の導入で運転路線が徐々に減っています。
JR東日本が普通列車用として開発した新型ディーゼルカー「GV-E400系」が2019年8月19日(月)、新潟エリアで営業運転を開始します。これに伴い、同エリアの信越本線・磐越西線・羽越本線で使われてきた「キハ40系」は、2019年度中に引退する予定です。
国鉄時代に製造されたキハ40系ディーゼルカー(2017年6月、草町義和撮影)。
キハ40系は、国鉄時代の1977(昭和52)年にデビューした普通列車用のディーゼルカーです。1982(昭和57)年までに888両が製造されました。
車内には4人掛けのボックスシートがあり、デビュー時は冷房装置を搭載せず、天井に扇風機を設置。昔懐かしい「国鉄型」の面影を残しています。1987(昭和62)年の国鉄分割民営化時には、事故で廃車になった1両を除く887両がJR旅客6社に引き継がれ、いまも非電化路線(線路上の電線が無く、電車と電気機関車が走れない路線)を中心に活躍しています。
しかし、2000年代に入ると老朽化のため徐々に数を減らし、JR東海が引き継いだキハ40系は2016年までに引退。それ以外の5社ではまだ活躍が続いているものの、関東エリアのJR線からは2017年に姿を消しています。2018年には青森県と岩手県の太平洋沿いを走る八戸線のキハ40系が、観光列車用の改造車を除いて引退。
また、GV-E400系のほかにもJR北海道のH100形やJR九州のYC1形など、JR各社が新型ディーゼルカーの開発を進めており、キハ40系の置き換えが、これから本格化すると見られます。国鉄時代に大量生産され、全国どこにいっても見られたキハ40系も、数年後にはごく一部の路線でしか見られなくなるかもしれません。
全車引退が近付くキハ40系、どこを走っている?キハ40系(観光用や特急用に改造された車両を除く)の普通列車が運行されているおもなJR線は、2019年4月1日時点で次の通りです(ジェー・アール・アール編『JR気動車客車編成表 2019』などによる)。すべての普通列車がキハ40系で運転されている路線と、一部の普通列車のみキハ40系で運転されている路線があります。
JR北海道・函館本線 函館~長万部~小樽
・函館本線 岩見沢~旭川
・札沼線 石狩当別~新十津川
・千歳線 千歳~南千歳
・石勝線 南千歳~新夕張
・室蘭本線
・日高本線
・留萌本線
・根室本線
・宗谷本線
・石北本線
・釧網本線
・津軽線
・五能線
・奥羽本線 弘前~青森
・奥羽本線 秋田~東能代
・男鹿線
・羽越本線 新津~酒田(2019年度中に引退)
・信越本線 新津~新潟(2019年度中に引退)
・磐越西線 会津若松~新津(2019年度中に引退)
・只見線
・城端線
・氷見線
・播但線 寺前~和田山
・津山線
・吉備線
・山陰本線 豊岡~幡生
・山陽本線 幡生~下関
・因美線
・境線
・芸備線 広島~三次
・岩徳線
・山陽本線 櫛ケ浜~徳山
・山口線
・高徳線
・徳島線
・鳴門線
・牟岐線
・鹿児島本線 熊本~八代
・日豊本線 小倉~城野
・日田彦山線
・長崎本線 佐賀~久保田
・唐津線
・筑肥線 山本~伊万里
・筑豊本線 桂川~原田
・久大本線 夜明~日田~大分
・豊肥本線 大分~豊後荻
・豊肥本線 肥後大津~熊本
・日豊本線 高鍋~鹿児島
・鹿児島本線 鹿児島中央~鹿児島
・日南線
・吉都線
・三角線
・肥薩線
・指宿枕崎線