ANAのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」は、短い滑走路への対応力が強み。それが生きたのは旧石垣空港の「ロケットスタート」とパイロットは話します。
1995(平成7)年にANK(エアーニッポン。ANAグループで2012年にANAと合併)で就航し、2020年に退役予定であるANAウイングス所有のボーイング737-500型機「スーパードルフィン」。この機体の強みは、短い滑走路でも離着陸できることです。
ANAウイングスのボーイング737-500型機「スーパードルフィン」(2019年8月、乗りものニュース編集部撮影)。
福岡空港で2019年9月に開催された「スーパードルフィン退役記念ファン感謝祭」。登場した「スーパードルフィン」のパイロットは、その強みが生かされた空港のひとつが、沖縄県の「旧石垣空港」と話します。
旧石垣空港の滑走路は、ジェット旅客機が発着できる最低ラインの1500m。ジェット旅客機が就航する日本の主要な空港の滑走路は、2000mから4000mまでの長さが一般的。福岡空港は2800m、那覇空港は3000mです。
「スーパードルフィン」のパイロットによると、この旧石垣空港では特殊ともいえる離陸をしていたそうです。
通常はエンジン出力を徐々に上げて、離陸滑走を始める飛行機。
「ロケットスタート」のとき、客室で感じる音や加速感はやはり通常とは異なり、これは「旧石垣空港名物」でもありました。
石垣の「ロケットスタート」は解消 現在はどこで体験できる?旧石垣空港は2013(平成25)年に閉鎖。2000mの滑走路を持つ新空港の運用が始まりました。大型機であるボーイング777型機も離着陸できる長さです。ANAグループでは2019年10月現在、羽田~石垣線の一部にボーイング777型機を投入しています。

2013年に開港した新石垣空港(画像:写真AC)。
これにより石垣での「ロケットスタート」も見られなくなり、「スーパードルフィン」をはじめとする石垣発着機は、他の空港と同じような離陸方法になりました。
ちなみに現在、「スーパードルフィン」の就航路線に限定すると、滑走路が一番短いのは北海道の利尻空港です。長さは1800m。夏季のみの季節運行ですが一日1便、新千歳空港とのあいだを結んでいます。
またいまも、「スーパードルフィン」ではありませんが、一部の機種が「ロケットスタート」で離陸する空港もあります。