ヨーロッパ31か国もの路線が“乗り放題”のきっぷ「Eurail Pass(ユーレイルパス)」。これを使い、欧州で鉄道の旅をしてきました。

日本とはまた違う文化、魅力を持つヨーロッパの鉄道。始まりはイタリア・ローマです。

31か国乗り放題のきっぷ

 鉄道ファンには有名な、ヨーロッパのきっぷがあります。「Eurail Pass(ユーレイルパス)」。かんたんにいえば、ヨーロッパ31カ国もの鉄道で利用できる“乗り放題パス”です。

ヨーロッパ鉄道旅行の魅力「Eurail Pass」で確かめに...の画像はこちら >>

ローマ・テルミニ駅に到着した「レオナルド・エクスプレス」(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 ヨーロッパ在住者以外が使用できるきっぷで、「鉄道」そのものを楽しめるのは言うまでもありませんが、TGVなどの高速鉄道からローカル線まで鉄道網が発達しているヨーロッパの観光に便利です。

 価格は、2か月のうち任意の10日を選んで使える1等車用「ユーレイル グローバルパス」の場合、大人用(28歳以上)が605米ドル(約6万6000円)。割引されたシニア用(60歳以上)も用意されており、こちらは546米ドル(約5万9600円)。

ヨーロッパ鉄道旅行の魅力「Eurail Pass」で確かめに行く 31か国で乗れるきっぷ

「ユーレイル グローバルパス」には、チケットホルダーやガイド、路線図なども付属する(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 乗る列車などによって追加料金が必要なこともありますが、“乗り放題”のため旅程の自由度が高く、路線図を眺めながらあっちに行こうか、いやこっちに行こうかなどと、「旅をつくる楽しさ」を存分に味わえるのも特徴です。列車に乗車中、気になった途中の駅で降りてしまう、なんてことも容易でしょう。

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ローマの地下鉄(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 また私(恵 知仁:鉄道ライター)は、逆のことを言うようですが、「ある程度の不自由さ」が、「鉄道の旅」の持つ魅力のひとつだと思います。はからずも発生した列車待ちの時間に、駅や街において食や物、人との思わぬ出会いがあったりするほか、特に何も無いなら無いで、遠い異国の、ごく普通の日常風景のなかでボンヤリしている時間は、それはそれで旅情を感じたりします。移動が便利だと、こういう時間はなかなかありません。

いざ、実際にヨーロッパへ 最初の列車は「レオナルド・エクスプレス」

 この1等車用「ユーレイル グローバルパス」を使い、2019年8月末から9月にかけて、実際に「ヨーロッパ鉄道の旅」へ出かけました。私自身が「ユーレイルパス」の存在を知ったのは、小学生か中学生のころ。それから約30年を経て、憧れていた旅が実現しました。

 その始まりは、イタリアのローマ。フィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)。そこから「レオナルド・エクスプレス」で、ローマの中心部にあるテルミニ駅へ向かいます。

ヨーロッパ鉄道旅行の魅力「Eurail Pass」で確かめに行く 31か国で乗れるきっぷ

空港駅で発車を待つ「レオナルド・エクスプレス」。車両はアルストム(仏)製(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 イタリア国旗と同じ「赤」「白」「緑」の列車は空港と街を32分、ノンストップで連絡。「ユーレイル グローバルパス」で乗車可能です(1等車用パスに限る)。

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「レオナルド・エクスプレス」車窓に現れた、往時の水道橋とトラム(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 同じような乗客が集まる空港アクセス列車で、所要時間も短いながら、車窓には石積みの水道橋とその下を走るレトロな路面電車(トラム)などが現れ、ヨーロッパ旅行の始まりを盛り上げてくれました。

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目の前にそれがあるローマ地下鉄B線のコロッセオ駅(2019年8月、恵 知仁撮影)。

 翌日は、ローマでバチカン美術館、コロッセオを観光。そして午後、イタリアの高速鉄道「Frecciarossa(フレチャロッサ)」でフィレンツェを目指します。

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