車体が前後に2台つながった、全長約18mの連節バス。これまで輸入車が使われてきましたが、国産モデルの登場で、導入が具体化した地域もあります。

国産の連節バス、「東京オリンピック・パラリンピック」前には営業運転が始まります。

全長18m超バス いまは輸入車のみ

 2019年5月に、いすゞと日野から発表された国産モデルの「連節バス」。その導入に向けた検討が各地で進んでおり、試走も行われています。

 連節バスは、2台以上の車体が幌などでつながっているバスのことで、2020年1月現在、日本においては全長18mから19mほどの2連節車が走っています。通常の大型路線バスと比べて約1.5倍の輸送力を持つことから、通勤・通学時の混雑解消などを目的に各地で導入されていますが、それらはメルセデス・ベンツやスカニア(スウェーデン)、ネオプラン(ドイツ)などの輸入車です。

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三重県伊勢市内を走るいすゞの連節バス「エルガデュオ」。三重交通が2019年9月に試走を実施した(画像:三重交通)。

 そうしたなか、横浜市交通局では日野のモデル4台を導入し、横浜駅と山下公園周辺を結ぶ路線で2020年6月から運行する予定です。2019年から試走が行われていましたが、2020年1月には、青い塗装が施された実車も初めて納入されました。これからナンバーを取得し、実運行に向けたラッピングなどを施したうえで、「ベイサイドブルー」という名称で運行するといいます。

 このほか、三重県では三重交通が伊勢市内で、三岐鉄道が四日市市内でそれぞれ2021年春に導入を予定しており、前者はすでに実地で試走を行っています。三重交通はいすゞ、三岐鉄道は日野のモデルをそれぞれ導入する見込みだそうです。

「国産」導入の後押しに 何がメリットなのか

 三重交通は連節バスの導入について、「以前から検討していましたが、国産モデルの発表を受けて一挙に話が進んだことは間違いない」といいます。その最大のメリットは、部品調達が容易なことといい、横浜市交通局や三岐鉄道も口を揃えます。

 また、いすゞや日野は国産モデルの連節バスについて「日本の道路事情に合ったサイズ」という点も強調しています。たとえば、日本で最も多く走っているメルセデス・ベンツの連節バスの車幅は2550mmで、日本の規格を50mm上回っていますが(国土交通省により特認)、国産モデルは保安基準内の2495mmです。なお輸入車でもスカニアは、車幅も日本の規格に合わせたものを販売しています。

 三重交通は、「連節バスの予定運行ルートに片側1車線の道路も含まれるので、車幅は狭いほうがよいでしょう」と話します。

全長18m「連節バス」全国的に運行拡大か? いすゞ・日野の国産車登場で変わった状況

「日野ブルーリボン ハイブリッド連節バス」(画像:日野自動車)。

 ちなみに東京都内を走る連節バスは2020年1月現在、神奈川中央交通による町田市内の路線のみですが、「東京オリンピック・パラリンピック」前には、23区内でも見られるようになります。臨海地域の新しい交通機関「東京BRT」として、京成バスが晴海と虎ノ門のあいだを結ぶ路線からプレ運行を開始する予定で、こちらも国産モデルを投入するとのことです。

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