新大阪駅のタクシー乗り場で特徴的だった、おおむね3kmまでの利用を対象とした「近距離」乗り場が廃止されます。そもそもなぜ乗車距離で乗り場が分けられていたのでしょうか。

あわせて「小型」と「中型」の乗り場も統合されます。

新大阪駅ならでは」の近距離乗り場

 JR新大阪駅のタクシー乗り場が、2020年2月1日(土)から大きく変わります。これまで「小型」「中型」「ジャンボ」「近距離」の4か所に乗り場が分かれていたのが、「普通車」「ジャンボ」の2区分に統合され、普通車乗り場が3か所になります。同日に、大阪地区で小型タクシーと中型タクシーの運賃が統一されることに合わせて実施されるものです。

 現在の4つある乗り場のうち近距離乗り場は、「鉄道駅では新大阪ならでは」(大阪タクシー協会)という珍しいものです。おおよそ3kmまでの利用者が対象で、範囲は乗り場の地図でも案内されています。

この乗り場、2004(平成16)年4月にできたものですが、そもそもなぜ設けられ、今回なぜ廃止されるのでしょうか。大阪タクシー協会に聞きました。

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多くのタクシーが行き交う新大阪駅のタクシー乗り場へ通じるスロープ(画像:photolibrary)。

――近距離乗り場はなぜ設けられたのでしょうか?

「近距離利用だと、乗務員に嫌な顔をされる」といったお声を受けたものです。それならばと、お客様が気楽に乗れるよう、専用に乗り場を設けました。

――今回なぜ廃止するのでしょうか?

 だんだん近距離乗り場が混雑するようになったためです。

空いている小型や中型の乗り場へ移ったお客様が、乗務員に「近距離ならあちらですよ」と乗車を拒否されるケースがあり、苦情に発展していました。また台風や地震などの災害時、近距離乗り場にお客様がズラリと並び、タクシープールに車両がいるにもかかわらず、全然タクシーが来ないということもありました。

「もう後戻りはできんで」 乗り場統合の影響は?

――近距離乗り場を廃止して、乗務員の理解は得られるのでしょうか?

 当然ながら乗務員にとっては「当たり」「はずれ」があるわけですが、それはお互い様です。「もう後戻りはできんで」と、各事業者に対し乗務員指導の徹底を伝えています。当面は現場の巡回指導も行い、不適切な対応がないかを監視します。

――小型と中型の運賃区分と乗り場の統合も実施されますが、こちらはどのような影響が出てくると考えられるでしょうか?

 直接的な影響は、それほど大きくはないでしょう。

大阪の場合、小型、中型の差というよりも、事業者ごとに一定の幅のなかで、それぞれの運賃体系や割引サービスを打ち出す傾向があるからです。利用されたいタクシーが決まっていて、それが来るまで後ろの人を先に乗車させて待つ、というお客様はいらっしゃるでしょう。

新大阪駅の名物「近距離タクシー乗り場」廃止へ 混雑しても車両来ず 乗客から不満

小型、中型、近距離タクシー乗り場がひとつに集約される。ジャンボタクシー乗り場はそのまま(画像:近畿運輸局)。

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 ちなみに小型タクシーはトヨタ「コンフォート」など、中型タクシーは「クラウン」などが該当し、前者は乗務員含む5人乗り、後者は6人乗り(前列ベンチシート)というのが一般的でした。しかし、現在は中型も5人乗りの車両が主流になっているため、大きな差はなくなっており、全国的にも運賃区分の統合が進んでいます。