外環道唯一のPAである新倉PAを拡張し「SA化」するとの構想を、地元の和光市が掲げています。外環道の東名高速までの延伸を視野に入れたものですが、どのような構想なのでしょうか。
埼玉県和光市が2019年12月、同市に位置する外環道 新倉PA(パーキングエリア)の拡張に向け、関係各所と検討を進めていくことを発表しました。松本武洋市長はこれを「(仮称)和光SA構想」と称し、「サービスエリア(SA)化」を目指すとしています。
新倉PAは外環道で唯一のPAです。内・外回り共用の比較的小さなエリアで、ガソリンスタンドはなく、商業施設もコンビニエンスストア1軒しかありません。松本市長は自身のブログで、現在進められている外環道「関越~東名」区間の延伸による交通量の増加を考えると、「新倉PAの拡大というレベルでは、そのニーズに対応することは不可能に違いありません」との見解を示しています。
外環道 新倉PA周辺。和光市はPAの拡張に、隣接する3ヘクタールの未利用地を活用する(画像:和光市)。
外環道は2018年に千葉区間(三郷南IC~高谷JCT)が開通しましたが、この区間に休憩施設は設けられず、今後の東名高速までの延伸区間にも設置予定はありません。新倉PAから外環道を千葉方面へ進み、東関東道を利用した場合、次の休憩施設は50km以上離れた湾岸幕張PAという状況です。外環道の東名延伸後は東名の港北PAまで、約35kmのあいだ休憩施設がありません。区間によっては、外環道を挟んで100km近くのあいだ給油できなくなることもあり、外環道と交わる高速道路の上り線では「燃料切れ注意」の案内も見られます。
NEXCO東日本としても、新倉PAを拡張したい意向があり、和光市は水面下で作戦を練ってきたといいます。
新倉PAの「和光SA化構想」について、和光市の都市整備課に話を聞きました。
――「SA化」とは、具体的にどのようなことでしょうか?
新倉PAの東側に隣接する3ヘクタールの未利用地を活用し、PAを拡張するとともに、地域振興の拠点としても整備していく計画です。現在のPAと同じような高さに空中地盤を設けて土地を立体的に活用し、既存エリアと橋でつなぐといった可能性もあります。なお「SA化」というのは、市民にわかりやすくイメージしてもらうために、当方であえて使った言葉で、道路施設としてのSAの定義とは異なります。
――どのような施設を作る構想なのでしょうか?
このあたりは区画整理により企業立地が進んだものの、日常の買い物などに困っていた地域で、飲食店が少ないという声も寄せられています。また、周辺には農地も多く残っていますが、農産物の販売拠点が不足しており、これら課題を解消するために何かできないか、ずっと考えていました。道路施設としてのPAを、周辺住民も買い物や食事で利用したり、地元の物産を市外の人へPRしたりする場にしたいと考えています。
――事業を進めるうえで、どのような課題がありますでしょうか?
まずは道路施設としてPAを拡張するための認可を、国から早期に受けることです。それなしでは、地域振興拠点も具体化してきませんので、最優先で進めます。

新倉PAがある和光市の位置。外環道の東名延伸により、市のアクセス性が高まるとしている(画像:和光市)。
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実は外環道では、新倉PAの拡張以外にPAの新設計画もあります。埼玉県内の草加ICと外環三郷西ICのあいだ、八潮市の東埼玉道路(国道4号)が交わる位置に、内回り・外回り共用の(仮称)外環八潮PAが設けられる見込みで、2019年9月には地権者へ向けた事業説明会も行われました。NEXCO東日本はこれにより、外環道における休憩施設間の距離を20kmから30km程度にするとしています。