渋谷駅ハチ公前広場に設置され、「青ガエル観光案内所」として使用されている元東急5000系電車「青ガエル」。同じ場所に銅像が建つ「忠犬ハチ公」の故郷である秋田県大館市へ、それを移設するプロジェクトが動き出しました。

渋谷駅の大規模開発が進むなか、元東急5000系「青ガエル」も変化

 渋谷駅ハチ公前広場に置かれ、観光案内所として使われている元東急5000系電車(通称「青ガエル」)。その移設プロジェクトが動き出し、2020年2月9日(日)に記者発表会が行われました。

 移設先は、秋田県の北部に位置する大館(おおだて)市。いま「青ガエル」が置かれている渋谷駅前の広場、そこに銅像が建つ秋田犬「忠犬ハチ公」の生まれ故郷です。

 現在、渋谷駅周辺では「100年に一度」ともされる大規模再開発が進行中。そうしたなか、渋谷区が所有する「青ガエル」の今後の活用について模索された結果、同区と「忠犬ハチ公」が縁の交流がある大館市へ移設し、両市区の親交の象徴として活用を目指すことになったといいます。

渋谷駅ハチ公前広場の電車 「ハチ公の故郷」秋田大館に移設へ ...の画像はこちら >>

渋谷駅ハチ公前広場の元東急5000系電車「青ガエル」(画像:渋谷区観光協会)。

 東急5000系電車は1954(昭和29)年、東横線でデビュー。丸みを帯びた下ぶくれの前面形状、緑色の塗装から「青ガエル」と呼ばれるようになります。東急線からは1986(昭和61)年に引退しましたが、譲渡された車両が引き続き長野や静岡などの鉄道会社で走行。そして2016年まで熊本電鉄で使用されていたものを最後に、全車両が現役から退きました。

 渋谷駅ハチ公前広場に設置されている車両は、2006(平成18)年に渋谷区が東急より譲り受けたもので、「青ガエル観光案内所」として利用されています。

元東急5000系「青ガエル」 大館市の「秋田犬の里」へ 移設は5月から

「青ガエル」は今後、2020年5月下旬から6月上旬にかけて、渋谷駅ハチ公前広場から移設。7月より、大館市観光交流施設「秋田犬の里」芝生広場にて、「忠犬ハチ公」を中心にした渋谷と大館の歴史に関する展示をしながら、施設来場者の休憩場所として使用する計画だそうです。

 渋谷区では、「『忠犬ハチ公』像と共に渋谷の象徴となっている『青ガエル』移設により、大館市との繋がりを強化し、同市の『忠犬ハチ公のふる里』としての知名度を高めると共に、さらなる観光客の誘致に繋がること」を期待しているといいます。

渋谷駅ハチ公前広場の電車 「ハチ公の故郷」秋田大館に移設へ 東急5000系「青ガエル」

「青ガエル」移設先の秋田県大館市「秋田犬の里」(画像:渋谷区観光協会)。

 秋田犬のハチは1923(大正12)年11月、秋田県大館市で生まれたのち、列車に揺られて東京へ。翌1924(大正13年)1月、東大農学部の上野英三郎博士のもとへやって来ます。

 ハチはとてもかわいがられたといい、上野博士を渋谷駅に送り迎えするようになりますが、1925(大正14)年5月、上野博士が大学で急逝。渋谷駅前で帰らぬ上野博士を待ち続けたことから、「忠犬ハチ公」として生前に銅像が渋谷駅前に建立されるなど、広く知られるようになりました。

 ちなみに秋田のJR大館駅前でも渋谷駅と同様に、「忠犬ハチ公」の銅像が駅利用者を出迎えていました(その銅像は2019年、JR大館駅近くの「秋田犬の里」に移設)。

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