これまで関東発着が中心だった羽田空港の高速バス路線が、大きく拡充されます。国際線ターミナル近くにできる新しいバスターミナルに、東海や東北、信越地方など、より遠方から空港へ乗り入れる路線が多数計画されています。

国際線ターミナルに隣接して新バスターミナル開業

 羽田空港の高速バス路線が、2020年春に大きく拡充されます。これまでは遠いところでも栃木県群馬県など、関東発着の便が中心でしたが、新たに羽田空港と東海や東北、信越地方とを結ぶ便が誕生します。

 背景には、3月29日に実施される国際線の増便があり、同日にはジェイアールバス東北が、仙台と羽田空港とを結ぶ「仙台・羽田号」の運行を開始します。同社によると、外国人観光客の増加も見込まれることから、仙台とのあいだに直行便を開設し、東北地方全体への誘客に資する目的があるそうです。

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羽田空港の新しいバスターミナルが開設される複合施設「羽田エアポートガーデン」のイメージ。国際線ターミナル隣接地に建設(画像:住友不動産)。

 そして4月21日、国際線増便にともなう空港の機能強化の一環として、国際線ターミナルへ隣接して複合施設「羽田エアポートガーデン」がオープンします。同施設は1日およそ800便の乗り入れに対応するというバスターミナルを有しており、施設オープンの同日から高速バス各社の便が運行を開始します。

 そのなかの1社、ウィラーが運行するのは、6つの地域と羽田空港とを結ぶ直行便です。内訳は、新設されるしずてつジャストライン(静岡市)と共同運行の静岡線、伊豆箱根バス(静岡県三島市)および東海バスオレンジシャトル(同・沼津市)と共同運行の三島線「三島羽田シャトル」のほか、既存の首都圏発着便の一部が羽田エアポートガーデンへ乗り入れる名古屋線、仙台線、新潟線、長野線の4つです。

「新バスターミナルの開業を機に、これまでより離れた都市への直通便を開設することで、現地へお住まいの方にも、羽田空港を近くに感じていただけると考えています」(ウィラー)

 なおジェイアールバス東北、ウィラーともに、羽田空港へ乗り入れるのは初めてのことです。

まだまだ伸びる羽田の高速バス路線網

 新設されるジェイアールバス東北の仙台線は、羽田空港内で国内線の第2、第1ターミナル、そして国際線の第3ターミナルを順に経由していきますが、ウィラーの便は、羽田エアポートガーデンのみに発着します。

 ジェイアールバス東北によると、空港施設により近い既存のターミナルに乗り入れることが「強み」だといいます。一方のウィラーは、三島や静岡といった羽田空港から比較的近い場所も含め、6路線すべてに夜行便を設定している点が特徴とのこと。早朝や夜間に発着する航空便との接続を考慮したそうです。

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新たに静岡~羽田空港線を開設するウィラーと、しずてつジャストラインの車両(画像:ウィラー)。

 また三重交通などが運行する、三重県の鳥羽・伊勢とさいたまとを結ぶ高速バスも、同じく4月21日から、横浜経由の便が羽田エアポートガーデンに乗り入れます。羽田エアポートガーデンの事業主体である住友不動産によると、このように既存便の一部経路を変更して羽田エアポートガーデンに立ち寄るケースも今後、増えるといいます。

 なお、住友不動産によると2020年2月末時点で、羽田エアポートガーデンへ乗り入れる計画の路線は約70あるとのこと。同施設とおおよそ関東以遠とを結ぶ中距離、長距離路線が多いそうですが、東京都心部など空港近郊とを結ぶ路線もあり、また既存の空港バスターミナルと羽田エアポートガーデンの双方を経由する便も登場する予定だそうです。

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