JR肥薩線の秘境駅である大畑駅で、高価なものは2万円もする駅弁が登場しました。駅のそばにあるフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌ LOOP」が手掛けていますが、ランチ営業を休止し販売しているといいます。

九州一の高級駅弁? フレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌLOOP」が販売

 急勾配を克服するためスイッチバック設備とループ線のある駅として知られる、JR九州肥薩線の大畑(おこば)駅(熊本県人吉市)で、豪華なフレンチ駅弁3種類が2020年3月12日(木)より販売開始されました。いずれも九州産黒毛和牛ヒレ肉を使ったステーキが入ったもので、価格は5000円、1万円、2万円(いずれも税別)と驚きですが、食べると元気になれそうです。

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大畑駅に隣接するフレンチレストラン「囲炉裏キュイジーヌ LOOP」(右)(2020年3月11日、皆越和也撮影)。

 駅弁を販売しているのは、大畑駅に隣接するフレンチレストラン、囲炉裏キュイジーヌ LOOP(ループ)。2018年9月にオープンした同店はミニコースのランチを営業していましたが、新型コロナウィルスの影響でキャンセルが相次ぎ、ランチ営業を3月5日(木)より休止しています。

「世のなかが凍っているこの時期、精一杯できることは何だろうと考えて、以前から検討していた、秘境駅であり無人駅である大畑駅の駅弁をやろうと始めました」(中島秀豊代表)。

「駅弁」と名乗ることについては、JR九州にも承諾を得たそうです。最高2万円という価格は、駅弁としては高価なものですが、前述のように九州産黒毛和牛のステーキをメインとし、人吉球磨地方で収穫された野菜などの素材がふんだんに使われており、納得の内容です。

 5000円と1万円の駅弁は、レストランの囲炉裏で丁寧に時間をかけて焼かれた牛肉を使った「和牛ヒレサンド」で、5000円のものには150g(75g×2)のヒレを使用し、1万円のものには300g(100g×3)のヒレを使用。ヒレサンドのソースには、「山うにとうふ」(豆腐の味噌漬け)、黒ニンニク、橙酢を使っています。

 いずれにも、地元の野菜を使ったサラダ、鮎の甘露煮をバーニャカウダ風に仕上げたディップ、デザートとして苺を載せたギモーブ(生マシュマロ)が彩りを添え、また5000円のものにはそれらに加え、地元の卵と野菜を使ったオムレツが脇を飾ります。

東京で腕を磨いた細谷シェフ 2万円の駅弁の中身とは

 2万円の駅弁は、こちらも囲炉裏で焼かれた600gの牛ヒレ肉が丸ごとと、見た目も鮮やかなたっぷりの野菜サラダ、そしてステーキ用ソース、サラダ用ディップ、レモンピューレが添えられています。

ヒレ肉は柔らかいので、自宅のフォークやナイフで食べる直前に切り分けてほしいとのことです。

無人駅の秘境駅に「駅弁」 新型コロナに対抗 スイッチバックとループ線の肥薩線大畑駅

5000円、1万円、2万円と、3種類の駅弁が用意されている(2020年3月11日、皆越和也撮影)。

 駅弁を考案して作り上げた細谷将嗣シェフは北九州の出身で、東京などで腕を磨きました。「新型コロナウィルスの影響で暗い世のなかになっているので、この駅弁で明るくハッピーになっていただければうれしいです」と話します。

 駅弁は前日17時までに予約が必要ですが、当日でも素材に余裕があれば応対してくれるそうです。駅弁販売の時間は11時から15時。また人吉市とその周辺には配達も可能で、大口注文であれば熊本市内へも配達できるそうです。

 レストランは3月31日(火)まで休業中なので、駅弁を店内でいただくことはできませんが、列車のなかはもちろん、きれいな空気の流れる駅のベンチや、これから見頃を迎える駅脇の桜並木の下でいただくのも、ぜいたくかもしれません。また、ハレの日が続くこの時期にも喜ばれる食事になることでしょう。

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