新型コロナの世界的感染拡大が続くなか、航空メーカーもマスクなどの救援物資の航空輸送に協力しています。ボーイングはB747「ジャンボ」を改造した異形の巨大機を投入する一方で、エアバスは新鋭機を投入しています。
世界で新型コロナウィルスの感染拡大が続いているなか、マスクや医療品といった救援物資を、飛行機で輸送するケースが見られます。
そしてこの救援物資の航空輸送を行っているのは、航空会社だけではありません。世界の2大航空機メーカーとも呼ばれる、アメリカのボーイング、ヨーロッパのエアバスもそれぞれ、自社が保有する飛行機を投入し、輸送を行っています。
「ドリームリフター」ことボーイング747-400LCF型機(2020年2月、乗りものニュース編集部撮影)。
アメリカのトランプ大統領は現地時間3月27日(土)、ボーイングの保有する貨物機「ドリームリフター」こと747-400LCF型機を、援助物資を輸送するために使用する方針を表明しています。
「ドリームリフター」は、日本でも馴染み深い「ジャンボ」ことボーイング747-400型機を改造したもので、「ジャンボ」の特徴であるコブ「アッパーデッキ」の後部がさらに大きく膨らんだユニークな形の貨物機です。この膨らみ部分は、小型自動車「ミニクーパー」を80台搭載できる巨大な貨物室となっています。
この「ドリームリフター」は、ボーイング787型機のパーツを輸送するために作られた、世界でも4機しかないモデルですが、このうちの3機が、医療関係者に向けた物資輸送の役割を担うとのことです。今後の運航スケジュールは公開されていませんが、ボーイング・ジャパンによると同モデルが飛行機のパーツ以外を搭載するのは、今回が初といいます。
ちなみに「ドリームリフター」は平時、787型機の多くのパーツが日本の中部地方で作られていることから、中部空港に頻繁に飛来しています。
救援物資輸送 エアバスは新鋭テスト機導入 ベルーガも一方エアバスは2020年4月7日(火)時点で3度、ヨーロッパ諸国に向けマスクを運ぶ救援物資輸送フライトを行っており、新鋭旅客機などを投入しています。

中国から救援物資のマスクを輸送しトゥールーズに到着したA350-1000型機(画像:エアバス)。
2020年3月後半に行われた同社初の救援物資輸送フライトで用いられたのは、同社の最新シリーズのひとつ「A330neo」の短胴型、A330-800型機のテスト機です。この機には、中国の天津で約200万枚のマスクが搭載され、そこから本社があるフランスのトゥールーズへ現地時間3月27日(金)に到着、そののち、マスクの多くがスペインとフランスの当局に引き渡されました。
同じく4月4日(土)にトゥールーズへ到着した、直近のマスク輸送フライト第3便では、「A330neo」と並ぶ最新シリーズのひとつ「A350XWB」の長胴型、A350-1000型機のテスト機がこれを担当し、天津から約400万枚のマスクを運んでいます。これらは、フランス、ドイツ、スペイン、イギリスの政府に引き渡される予定としています。
なおエアバスによると、マスクをトゥールーズからヨーロッパ圏内の各国に運ぶ際には、同社の軍用輸送機A400M型機や、エアバス版「ドリームリフター」ともいえる「ベルーガ」が用いられているそうです。
このほか、先述のとおり航空会社でも援助物資を運ぶフライトは見られます。また、旅客便をメインとする航空会社のなかには、航空旅客が減るなかで収入を確保するため、余った旅客型機を用いて、客室の座席のうえに物資を載せ貨物便として運航するといった、新たな取り組みも始まっています。