新宿と池袋の近辺で「環状5号線」のトンネル工事が進行中です。環状5号線は大部分が明治通りに相当しますが、計画から70年を経てなお存在する未開通区間が、ようやくつながろうとしています。

「明治通り≒環状5号線」 環5に未開通区間あり

 2020年6月現在、新宿と池袋の近辺で、それぞれトンネル建設を含む道路の新設工事が行われています。いずれも「環状5号線」の工事です。

 環状5号線は、その大部分が「明治通り」に相当する都市計画道路です。明治通りは港区の古川橋交差点から北西へ、渋谷、新宿、池袋の3大ターミナル駅付近を経由しつつ、北区や墨田区を経て、東京湾岸道路の夢の島交差点(江東区)までを環状に結びます。

 しかし、都市計画道路としての環状5号線には、いまなおふたつの未開通区間が存在します。それが冒頭に述べた新宿と池袋の2か所で、これらをつなぐための工事が進められているのです。

明治通りに口を開けたトンネル どこへ? 未完の環状5号線 新...の画像はこちら >>

明治通り、千駄ヶ谷5丁目付近に口を開けた環状5号線のトンネル(2020年6月、中島洋平撮影)。

 未開通区間の場所は新宿側が、新宿高島屋付近から新宿御苑の北西端までの約800mです。ここは御苑の環境保全などのため、もともと地上に片側2車線道路をつくる計画が変更され、外回りは地下トンネル、内回りは地上の2層構造とすることで、道路用地を縮小したということです。6月現在、明治通りの千駄ヶ谷5丁目付近には、道路の中央部にそのトンネルの入口が見えています。

 池袋側は、明治通りの学習院下交差点から東京メトロ雑司ヶ谷駅を経て、豊島区役所付近に至る約1.4kmです。こちらのルートは地上に都電、地下に東京メトロ副都心線が走っており、副都心線のトンネルの上部に本線の道路トンネルが、地上の都電の両脇に側道が構築されています。

計画決定は70年以上前 いつ開通?

 環状5号線はもともと、関東大震災後の復興道路のひとつとして構想され、いま工事中の区間はいずれも、1946(昭和21)年に都市計画が決定しています。新宿側は、それから60年後の2006(平成18)年、池袋側は2011(平成23)年、それぞれトンネル構造とする都市計画変更が認可されたことで、事業が動き出しました。

 東京都建設局によると、現時点で開通時期は未定とのこと。新宿側は前出のとおり、明治通りにトンネルが口を開けており、内部もほぼ完成しているといいますが、池袋側は明治通りにその口も見えていません。今後、都電に並行する坂道(都電の区間でいえば学習院下~鬼子母神間)の中腹が開削され、トンネルと接続する見込みです。

 なお、どちらの区間も、巨大ターミナルである新宿駅および池袋駅近くを通過する交通をバイパスさせ、両駅周辺の混雑緩和につながることが期待されているといいます。

明治通りに口を開けたトンネル どこへ? 未完の環状5号線 新宿と池袋で進む大工事

明治通り、学習院下付近を望む。このあたりに環状5号線のトンネルが接続する(2020年6月、中島洋平撮影)。

 ちなみに、都市計画道路としての環状5号線は次の通り、「環5ノ1」「環5ノ2」の2区間に分かれています。

・環5ノ1:天現寺橋交差点(港区/渋谷区境)~飛鳥山交差点(北区)
・環5ノ2:王子三丁目交差点(北区)~溝田橋交差点(同)~宮地交差点(荒川区)

 環状5号線としては、おおむね明治通りの西半分(王子三丁目~溝田橋間は明治通りではない)を指し、明治通りの東半分は環状4号線および別の都道です。また、新宿駅周辺で明治通りは環状5号線の支線に、港区内(古川橋~天現寺橋)および池袋駅周辺、王子駅周辺(飛鳥山~溝田橋)は、環状5号線ではない都道に、その名がついています。

 東京都建設局によると、新宿と池袋付近における環状5号線の「本線」が開通して、明治通りの名がそちらの区間に移るかどうかは、決まっていないそうです。

編集部おすすめ