屋外にあるにもかかわらず屋根がないエスカレーターがあります。構造上、隙間が多い設備ですが、雨で故障しないのでしょうか。
屋外に設置されたエスカレーターには、屋根がなく雨ざらし状態のものがあります。隙間が多い構造ですが、雨水が入り込むなどして故障しないのでしょうか。メーカーの東芝エレベータとフジテックに聞きました。
三鷹駅前のエスカレーター(2018年10月、乗りものニュース編集部撮影)。
――漏電や故障対策として、どういった工夫がなされているのでしょうか。
電気品に防水コネクターを使用するほか、動力部分である機械室内のモーターなどに水が直接かからないよう、防滴カバーを設置しています。また、錆対策として構造部材の防錆塗装を強化し、板金類をステンレス製にしています。(東芝エレベータ広報室)
制御盤など電気関係の部品は防水型を使用し、結線(編注:電気部品を電線で接続し配線すること)は密閉性の高いボックス内で行っています。あわせて漏電ブレーカーを設置し、感電防止も図っています。防錆対策として、一部の材質に屋内型と比べグレードの高いステンレスを使用しているほか、おもな鋼材の塗装に特殊なメッキを施工しています。モーターとギアを結ぶチェーンなどに自動で給油する機能がありますが、屋内型と比べ給油間隔を短くするなど対策しています。
――エスカレーターは、どのくらいの雨量まで耐えられる仕様なのでしょうか。
多少強い程度の雨ならば問題ありません。設置計画時に、想定される雨量についてお客様と相談し、エスカレーター内に流れ込む雨水の排水量を物件ごとに決めます。運転停止については定量的な基準は設けていませんが、いわゆるゲリラ豪雨などの際は停止していただくようお願いしています。内部が浸水しないよう、エスカレーターの周りに勾配をつけたり溝を設けたりして、建物側の対応も実施しています。(東芝エレベータ広報室)

屋外に設置されたエスカレーター(画像:写真AC)。
エスカレーター内に流入した雨水は、エスカレーター下部に設けた排水口からピットを介し、建物側で準備された排水設備へ流します。建物用途や設置場所により、排水基準は異なります。現場によってはピット内に浸水レベルスイッチを設け、設定以上の雨水が溜まった場合に監視盤へ信号を送り、エスカレーターを停止させたり、排水ポンプを稼働させたりする場合もあります。(フジテック広報室)
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なおフジテックは、降雨時は踏段が濡れて滑りやすくなるほか、利用者が荷物と傘を持っていれば手すりを握れなくなるため、安全を考慮してエスカレーターの使用を制限または中止するよう、設備管理者へお願いしているといいます。