高速道路をまっすぐ進むと、別の路線に入ってしまうというJCTがいくつか存在します。なかには、後から開通した路線のほうが分岐を介さない「本線」的な扱いのケースや、JCTの分岐が変更されるケースもあります。
高速道路をまっすぐ走っていると、その先のJCTで別の路線に入ってしまう、というケースが存在します。同じ路線を走り続けるには、JCTで分岐線へ入らなければならない、といった場所です。
たとえば首都高5号池袋線とC2中央環状線。5号線を都心から埼玉方面へ向かうと、熊野町JCTで左側にC2が合流し、2車線+2車線の4車線になります。そこから約500m先の板橋JCTで両路線が分かれますが、5号線からの2車線はC2に、C2からの2車線は5号線に通じているため、同じ路線を直進するには必ず車線変更が必要です。
6号線とC2が合流・分岐する堀切JCT~小菅JCTも同様の構造ですが、ここは2018年2月、前出の熊野町JCT~板橋JCT間は同3月まで、いずれもJCTとJCTのあいだが3車線だったため、車線移動するクルマが錯綜し慢性的な渋滞が発生していました。
首都高 熊野町JCT~板橋JCT間。5号線から5号線へ、C2からC2へ向かう際には、この区間で必ず車線変更しなければならない(画像:photolibrary)。
NEXCO東日本の高速道路では、たとえば東北道から八戸道が分岐する安代JCT(岩手県八幡平市)が挙げられます。東北道は東京方面から青森ICまでですが、盛岡方面から安代JCTをまっすぐ進むと、そのまま八戸道へ入る構造になっています。つまり東北道~八戸道ルートが「本線」のような扱いで、東北道の弘前・青森方面へ向かうには分岐線へ入らなければなりません。
この区間は東北道が1982(昭和57)年に開通しており、八戸道が接続したのは、それから7年後のことです。
「建設当時の予測では、八戸道のほうが交通量が多いと考えられたのでしょう」。NEXCO東日本東北支社はこのように話します。
同支社によると、もともと昭和30年代から東北道(東北縦貫自動車道弘前線)の計画があり、八戸道(東北縦貫自動車道八戸線)は後から追加され、当初は盛岡が分岐点として考えられていたそうです。これが1987(昭和62)年に国の高規格幹線道路網が策定された際、岩手県八幡平(旧・安代町)へ変更されたのだそう。安代JCTの構造は、その当時の交通量予測に基づくと推測されるものの、構造決定についての確たる資料はないといいます。
安代JCTのように、後から開通した路線が「本線」扱いになり、最近になってJCTの分岐が変更されたケースもあります。中国道から山陽道が分岐していた神戸JCTがそれで、2018年3月、新たに新名神高速(高槻JCT~神戸JCT)が接続したことで、関西圏を通過して東西を行き来するクルマなどが、従来の名神・中国道(吹田JCT)経由から新名神~山陽道ルートなどへ移りました。

神戸JCT。右上から左下へ延びる中国道に、山陽道が右下へ分岐していたが、左上から新名神が接続した(画像:NEXCO西日本)。
これにより、山陽道の岡山方面から来た場合の分岐が変化しています。従来はまっすぐ中国道の吹田方面へ向かっていましたが、山陽道から新名神へ向かうルートが「本線」扱いになり、中国道の吹田方面は左から分岐、中国道の津山方面は、その分岐路の途中からさらに分岐するという構造に変わりました。
高速道路各社は、もし分岐を間違えて本来向かうべきル―トから外れたとわかった場合、最寄りのICで料金所のスタッフに申し出るよう呼び掛けています。ICの構造にもよりますが、係員の指示に従う形でUターンさせてもらえます。間違いに気づいて高速道路上でUターンしたり、逆走したりする行為は、絶対にしてはいけません。