北陸地方を通る道路の国道8号や北陸自動車道、鉄道のJR北陸本線、JR北陸新幹線は、どっちの方向が上りでどっちの方向が下りでしょうか。答えは道路も鉄道も「バラバラ」でした。

道路は国道と高速の上り・下りの方向が逆

 ラジオの道路渋滞情報を聞くと、よく「東名上りは渋滞○km」などと報じられています。この「上り」「下り」は東京へ向かう方向が「上り」、東京から離れる方向が「下り」と思っている人も少なくないかもしれません。しかし実際は、鉄道でも道路でも、路線ごとに起点と終点が定められており、原則として起点方向が「上り」、終点方向が「下り」とされています。

北陸を通る道路と鉄道「上り」「下り」結局どっち? 新幹線は東...の画像はこちら >>

北陸自動車道の「上り線」にある標識。終点の米原まで43km(画像:pixta)。

 では、北陸地方を通る道路や鉄道はどうでしょうか。

 まず、JR北陸新幹線は東京を発着し、現在の終点が金沢であるため、単純に金沢行きが下り、東京行きが上りです。

 しかし東京に至らない国道8号や北陸自動車道、JR北陸本線の上り・下りはバラバラ。国道8号は新潟市を起点とし、京都市に至る道であることから、京都方面行きが下り、新潟方面行きが上りです。

 並走する北陸自動車道も「高速自動車国道の路線を指定する政令」で新潟市が起点、滋賀県の米原市が終点と定められていることから国道8号と同じ……と考えたくなりますが、実際はその逆です。全線が開通した際に新潟方面行きが下り、米原方面行きが上りになるよう、ICの番号やキロポストが整備されました。

鉄道も北陸本線と北陸新幹線は上り・下りの方向が逆

 北陸本線は起点が米原、終点が金沢のため、金沢方面行きが下り、米原方面行きが上りになっています。

かつては、その先の金沢から新潟県の直江津までも北陸本線でしたが、2015(平成27)年に北陸新幹線の長野~金沢間が開業した際、3社の第三セクターに経営が移管されました。金沢~倶利伽羅間はIRいしかわ鉄道、倶利伽羅~市振間はあいの風とやま鉄道、市振~直江津間はえちごトキめき鉄道が継承しています。

 これら経営を移管した区間の上り・下りは、北陸本線時代と同じく、直江津方面行きが下り、金沢(米原)方面行きが上りとなっています。ややこしいことに北陸新幹線とは逆向きです。

 2020年現在、北陸新幹線は、2022年度末の延伸開業を目指して金沢から福井県の敦賀までの区間が建設中です。これが完成すると上り・下りがあべこべの区間も延びることになるでしょう。

 鉄道でも道路でも、このように地域や経由地の実態を鑑みて、たとえば標識や案内放送などで「上り」「下り」を用いず「○○方面」にするといった工夫をしている場合もみられます。

 なお、東京駅をまたいで運行されているJR京浜東北線は、大宮方向を「北行」、大船方向を「南行」と呼び区別しています。東京都心を縦横に走る東京メトロでは「上り」「下り」を使わず、終点方向を「A線」、起点方向を「B線」と呼称しています。

編集部おすすめ