コロナ禍で平時より旅行しにくい状況が続くなか、JALが試している「リモートトリップ」。ライブ配信をメインとしつつ「味覚」「嗅覚」でも楽しめるような工夫が凝らされています。
新型コロナウイルスの影響で、「大手を振って旅行をする」ということが難しいともいえるなか、JAL(日本航空)がテクノロジーを駆使した新たな旅行方法にトライしています。
JAL「リモートトリップ」配信の様子(2020年9月12日、乗りものニュース編集部撮影)。
JALが2020年9月12日(土)に実施したのは「リモートトリップ」。今回が2度目の実施となるイベントですが、これはいわばバーチャルとリアルを融合させた旅行スタイルです。
事前申し込みをした利用者は、パソコンなどのデバイスを通じて、地方の風景や観光地のライブ配信を鑑賞します。しかし、これはあくまでバーチャル。「味覚」や「嗅覚」の部分までカバーすることはできません。JALの「リモートトリップ」の目玉はここから。地域特産の「食」が利用者の手元に届くことで、「味覚」「嗅覚」の面でも現地の気分を味わえるというものです。
そして航空会社らしく、羽田から現地までのデジタルフライトも再現されています。機内で提供されているJALのドリンク用の紙コップなど、実際に機内で配布されている物品も事前に届きます。
第1回は7月、隠岐島(島根県)を舞台に実施されました。今回の舞台は八戸市(青森県)です。実施当日、その裏側を取材しました。
リモートトリップ当日の様子 裏側とは…今回の「リモートトリップ」八戸編の所要時間は2時間ほど。30分程度の「デジタルフライト」と、1時間30分ほどの「リモート八戸旅行」を組み合わせたものです。先述の通り、利用者には事前に日本酒やりんごジュース、八戸地方で広く食べられている「南部せんべい」などの特産品が配送されています。「リモート八戸旅行」では、日本酒の酒蔵観光や現地特有の南部せんべいの食べ方(鯖缶を乗せて食べる)のレクチャーもなされます。
JALからは、青森県出身のCA(客室乗務員)をメインガイドに、パイロットなどが配信に参加。内容も初回のものと比べて、大幅にアップデートされています。企画の中心となったJALデジタルイノベーション推進部 下川朋美さんは、その点を次のように話します。

JAL「リモートトリップ」企画の中心となったJALデジタルイノベーション推進部 下川朋美さん(2020年9月12日、乗りものニュース編集部撮影)。
「今回はJALらしさを出すため、現地にゆかりのあるスタッフに参加していただきました。
なお下川さんは、今後「リモートトリップ」は継続して実施できればと話します。次回以降は、「チャット機能などを使って『よりお客様とのコミュニケーションを図る』ということにチャレンジしたい」とも。ちなみにJALによると、次回は北海道などでの実施を検討しているそうです。