2024年「お花見、歓迎会・懇親会に関するアンケート」調査


 新型コロナの5類移行からほぼ1年。今年の桜開花には人が押し寄せ、各地でコロナ前の賑やかなお花見が戻ったように見えたが、実際は様子が異なる。
 東京商工リサーチ(TSR)が4月上旬に実施した企業向けアンケート調査で、2024年の「お花見、歓迎会・懇親会」の開催率は29.1%で3割に届かなかった。

コロナ禍前(2019年)を22.7ポイント下回り、前年(2023年)からは1.2ポイントの改善にとどまった。コロナ禍で浸透した生活様式の変化が定着しているとみられる。会社や職場単位での開催が減り、今年の賑わいは訪日外国人客によるインバウンド需要、そして仲間や家族など自由な雰囲気でのお花見を楽しむ人々が中心だったようだ。

 コロナ禍前の2019年の「お花見、歓迎会・懇親会」開催率は51.8%だった。コロナ禍の2022年は5.3%に激減したが、2023年はコロナ禍の落ち着きや桜の開花の早まりもあって、27.9%に急回復した。ところが、5類移行後初の開催となった2024年は、2023年とほぼ同水準だった。


 都道府県別の開催率は、山形県の47.2%がトップ。上位5県のうち、東北が2県、九州が2県を占め、宴会に対する姿勢には地域差が出たようだ。

 お花見に加え、就職や異動による歓迎会など、コロナ禍前の春先は宴会需要が活発だった。だが、コロナ禍で環境が一変し、元に戻る兆しはみえず、コロナ禍に入社した社員は社内での宴会経験がないケースも少なくない。慣習的な行事は、一度途切れるとなかなか再開は難しいようだ。ケータリングや飲食店、カラオケなど、5類移行で「お花見、歓迎会・懇親会」の二次会需要を期待した事業者にとっては、好調と花冷えが交差した春だったかもしれない。


※本調査は、2024年4月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,578社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
※2023年春以前のデータは『2023年「お花見、歓迎会・懇親会に関するアンケート」調査』(2023年4月18日リリース)より。

Q1.「お花見」または「歓迎会・懇親会」の開催状況はいかがですか?(択一回答)

開催率、2年連続で3割を下回る
 2024年に「お花見、歓迎会・懇親会」を開催した(予定含む)企業は29.1%(4,578社中、1,336社)だった。2023年(2023年4月調査)の27.9%からはわずか1.2ポイントの上昇にとどまり、コロナ禍前の51.8%を22.7ポイント下回った。コロナ禍での生活様式の変化が浸透し、開催する企業の割合は回復が進んでいない。
 規模別では、大企業の開催率は36.7%(403社中、148社)なのに対し、中小企業は28.4%(4,175社中、1,188社)にとどまり、大企業が8.3ポイント上回った。


 コロナ禍前(2019年)は大企業の実施率が63.3%、中小企業が50.1%だったが、コロナ禍の2022年はそれぞれ4.4%、5.5%まで激減した。2023年は大企業が34.8%、中小企業も26.9%に戻したが、以降の回復は鈍く、2024年は1.9ポイント、1.5ポイントずつの上昇にとどまった。
 コロナ禍前の開催率には、大企業が26.6ポイント、中小企業が21.7ポイント届かず、一度変化した生活様式が元に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだ。

「お花見、歓迎会・懇親会」の開催率29.1% 慣習的な開催...の画像はこちら >>


Q2. 貴社では、「歓迎会・懇親会」について、現在制限を設けていますか?(複数回答)

制限なしが9割
 Q1で「今年開催した(予定含む)」と答えた企業のうち、1,324社から回答を得た。
 最多は、開催に伴う「制限は設けていない」の90.4%(1,198社)だった。前回調査(2023年4月)の78.9%を11.5ポイント上回り、開催企業の9割以上はコロナ禍前と同様、制限のない宴会形式で実施していることがわかった。


 一方で、実施に際して何らかの形で制限を設けている企業では、「二次会の開催を制限している」が最多の75社だった。ただ、実施企業全体に占める割合では5.6%にとどまった。以下、「滞在時間に上限を設けている」が40社(構成比3.0%)、「参加人数に上限を設けている」が32社(同2.4%)の順。

「お花見、歓迎会・懇親会」の開催率29.1%  慣習的な開催は限界? 訪日外国人と仲間うちが活況
貴社では「歓迎会・懇親会」について、現在制限を設けていますか? ◇制限なしが9割