2025年4月度「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況
2025年4月度の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産は、27件(前年同月比57.1%減)だった。30件を下回ったのは、2022年6月(27件)以来、34カ月ぶり。
コロナ禍の資金繰り支援策で倒産抑制に大きな効果を示したゼロゼロ融資は、2024年4月に返済のピークを迎えた。業績低迷が続く企業には返済が負担になるとの見方があったが、利用後の倒産は2024年6月から2025年3月まで11カ月連続で前年同月を下回っている。なお、2020年7月からの累計は1,928件に達した。
「ゼロゼロ融資」は、急激な業績悪化で窮境状態に陥った企業の資金繰り維持に効果をみせた。だが、コロナ禍が落ち着くと同時に、物価高や人手不足、人件費上昇に見舞われた。
返済開始が最後のピークを迎えた2024年4月に合わせ、政府はコロナ借換保証やコロナ特別貸付などの資金繰り支援策を同年6月まで設定した。
返済開始までの据え置き期間は、借換保証を受けた企業の約8割が2年以内に設定し、今夏以降、返済が始まる企業の動向が注目される。なお、政府は2025年4月以降も経営改善サポート保証など、コロナに限定しない支援策を打ち出している。
日本銀行の政策金利引き上げによって「金利のある世界」に戻り、借入金利は上昇局面にある。また、米国の「トランプ関税」の行方次第では、自動車関連業界だけでなく、様々な業種に影響が広がる可能性が高く、経営環境の変化に予断を許さない状況だ。
借換保証を利用できなかった企業に対し、金融機関が返済猶予(リスケ)に応じるケースもあるが、抜本的な経営改善には至らないケースも少なくない。単なる先送りとしないためにも企業と金融機関が相互信頼を築き、経営全般に踏み込んだ支援が求められる。
※ 本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていた企業の倒産(法的・私的)を集計、分析した。