カヤックフィッシング歴4年の筆者がSUP(スタンドアップパドル)を購入。人生初のSUP釣行記と併せて、カヤックとの比較視点で6つの感想を紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・池下洋平)

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SUPフィッシングに人生初挑戦

近年注目が高まっているカヤックフィッシングやSUPフィッシング。筆者はカヤックフィッシング歴4年ほどとなる。釣果はもちろん、魅力が満載のカヤックフィッシングだが、準備、片付けなどを考えると、丸一日を要してしまう。

小さな子供を持つ一家の主として、週末の一日を1人で遊び倒すということは、なかなか許されないのが現状だ。そこでこの度、手に入れたのがSUPである。「朝マヅメだけちょっと浮いてこようか!」という都合の良い願望をカタチにできる道具だと判断し購入した。

人生初の『SUP』フィッシングで良型マダイ カヤックとの違いも紹介
筆者が購入したSUP(提供:WEBライター・池下洋平)

カヤックと違う「視点の高さ」

7月初旬、午前5時半。カヤックで5回ほど浮いたことのあるポイントにSUPを浮かべた。SUPで釣りをするのは今回が初めてだ。コンセプトは「手軽にプチオフショア」なので、極力軽装備で臨んだ。タックルはエギングロッドに3000番のリールの1セットのみ。魚探なしでキャスティングタイラバをメインに行う。

人生初の『SUP』フィッシングで良型マダイ カヤックとの違いも紹介
魚探、クーラーを積まない軽装備(提供:WEBライター・池下洋平)

当日は新しい門出を祝福してくれるような天候。暑くも寒くもない曇りでベタ凪の海。

良い釣行になりそうだ。出航してすぐに気づいたカヤックとの違いは、視点が高いので移動が実感しやすい点だ。カヤックだと、気づかないうちに流されていることが多々あるが、SUPだと移動をより体感できるのでポイントへの復帰も早い。

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鏡のような水面(提供:WEBライター・池下洋平)

タイラバでカサゴ手中

魚探がないので直感勝負となる。カヤックフィッシングで釣れた実績ポイントの近くでタイラバをキャストし、2mほど巻いてカーブフォールを繰り返す。海に出て30分ほど経った頃、小気味良いアタリを優しくアワせてフィッシュオン。記念すべきSUPフィッシングのファーストフィッシュはカサゴだ。普段より愛おしく見える。

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まずはカサゴがヒット(提供:WEBライター・池下洋平)

2尾目は極小マダイ

その後、アタリはあるものの乗らない時間が続く。やはり普段のバーチカルなタイラバと異なり、斜めに引っ張るので乗りにくいのだろうか?そんなことを考えていると、フォール中の違和感を捉えて、極小マダイをゲット。SUP初マダイだ。

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極小マダイもヒット(提供:WEBライター・池下洋平)

タイラバやジギングをしていて、「アタらないなあ」と思って上げてみるとアシストフックが絡まっていた…なんてことが良くあるが、キャスティングスタイルなので毎回、回収するため、そんな異変にも毎投気づくことができる。

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フックがネクタイに刺さる(提供:WEBライター・池下洋平)

リリースサイズのキジハタ浮上

少しポイントを移動しながら続けていると、コツッとアタってヌウッと重くなる。この感じは…やはりキジハタだ。リリースサイズだったが…。

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リリースサイズのキジハタ(提供:WEBライター・池下洋平)

良型マダイをキャッチ

ラインを結び直していると、突然SUPが流れ始めた。風はない。潮が動き始めたのだ。これはチャンス到来。すぐさま潮下方向へキャスト。2回目の巻き上げ時にコココッとアタり、ググッと重くなった。これはマダイだ。しかも大きい。

前述の通り、SUPは視点が高いので移動を感じやすい。大物とのやり取りをしている中で、グングン引っ張られているのがよく分かる。数分のファイトの後、魚体が見えて困惑した。ランディングのことを考えていなかったのだ。

立ったままSUPボードの横にネットを突っ込むのは不安定過ぎるので、膝立ちの姿勢でランディング。

2度ほど失敗したが、3度目の正直でネットイン。短時間釣行を前提としているのでクーラーボックスは車に置いてきた。ストリンガーに繋いでボードの横に牽引する。その後、出航した砂浜近くのポイントで小型マダイを1尾追加し、午前8時半頃に納竿となった。

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何とかランディング成功(提供:WEBライター・池下洋平)

カヤックとSUPフィッシング6つの違い

初めてSUPフィッシングに挑戦してみて、カヤックフィッシングとは似て非なるものだと感じた。この日の釣りを通じて実感したカヤックフィッシングとの違いなど6つのポイントについて紹介したい。

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筆者愛用のカヤック(提供:WEBライター・池下洋平)

1.釣り方の違い

カヤックフィッシングは魚探を見ながらターゲットが居そうな場所へ、ピンポイントにルアーを落とす釣りがメインとなるが、SUPフィッシングでは(筆者の場合は)キャスティングをメインに行うので、魚の居そうな場所を広範囲に探る釣りとなる。言わば陸っぱりの延長のようなものなので、ボウズも十分にあり得る。今回は運良く釣れたが…。

2.推進力の違い

推進力はカヤックに軍配。SUPは左右に持ちかえながら漕ぐ上、竿を持つためにはパドルをボード上に置く手間があるので手返しが悪いと感じた。

3.安定性の違い

安定性はカヤックと同じで、幅が広ければ広いほど推進力と引きかえに安定する。

4.動きの自由度の違い

海上での自由度はSUPが勝っている。カヤックだと座りっぱなしで、同じ姿勢のまま身動きが取れないが、SUPだと立ったり座ったり寝そべったりできる。カヤックだと釣りを終えて上陸する際に、膝や腰が痛くなりやすく、実際腰痛が原因で引退される人も居る。その点、SUPは良いと感じた。

5.準備&片付け

準備と片付けは装備が少ない分、SUPの方がちょっぴり楽チン。車載もカヤックに比べると、ちょっぴり軽量なため、コツをつかめば楽になりそう。ただし、インフレイタブルの場合は、空気を入れる準備時間が結構かかるらしい。

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レジャー感強めのビジュアル(提供:WEBライター・池下洋平)

6.濡れ方

水に浸かる身体の部分は、SUPが明らかに多い。もちろんカヤックもSUPも沈するリスクと隣合わせなので、水に触れるのを恐れていてはいけない。しかし、平常時、特に冬場は極力水に触れる部分を少なくしたい。

その点、カヤックは出航時にうまく乗れば脛(すね)くらいまでの浸水で済むが、SUPはフィンが付いているので確実に膝くらいまで海に浸かるので、冬場はドライスーツの着用が必要だろう。

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フィンがありごく浅場まで乗れない(提供:WEBライター・池下洋平)

SUPフィッシングの注意点

最後にSUPフィッシングの注意点について。

SUPフィッシングでは、船の引き波などには注意が必要で、横から波を受けるとバランスを崩しやすい。カヤックでも同じだが、立っているSUPの方が危険だと感じた。周囲から目立つようにフラッグを活用することが望ましい。

SUPボードは当たり前だが1枚の板なので、タックルなどをロストするリスクがある。

必要に応じてリーシュコードやフロートを取り付ける対策を行うべきだろう。また、カヤックフィッシング同様、ブイなどの漁具には不用意に近づかないようにし、地元の方々と良好な関係を築くことが大切だ。

まとめ

筆者のようにちょっと海に出て「釣れても釣れなくてもいいや」という「手軽にプチオフショア」のコンセプトで行う目的にはSUPは適していると思う。しかし時間をかけてじっくり釣りをしたいなら、カヤックをオススメしたい。SUPは立ってバランスを取りながら釣りをするので、釣りに集中できない時間も多い。

「座ればいいんじゃないか?」という意見はもっともだが、それならなおさらカヤックで良いと思う。筆者は今後もその日の目的によってカヤックとSUPを使い分けていきたいと感じた。

これからカヤックフィッシングやSUPフィッシングを始める方は「周りの誰かが買ったから自分も買う」という衝動買いではなく、自分のスタイルに合わせて慎重に選び、後悔のないよう楽しんでいただきたい。

<池下洋平/TSURINEWS・WEBライター>

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