恥ずかしがり屋の中年男性が誰にも教えを乞わずに入門できる釣りは結構少なかったりする。今回はそんなおじさまにお勧めの、「岸壁際のジグ単カサゴゲーム」を紹介したい。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部)
釣りの時代到来!?
この春から放映されている某アニメで取り上げられたことで、釣りに密かなブームの兆しが到来しつつある。
さらに今年は、このコロナ禍……。町へ出れば三密を回避するのはなかなか難しい。非常事態宣言は解除されたが、これからはwithコロナの時代。そんな時代の趣味として、釣りを始めたいなと思っている方は孤高のおじさまだけではないのでは?
とはいえ、元来釣りとは親から子へと受け継がれてきたきらいがあり、縁もゆかりもない人がいきなり始めるのはなかなかハードルが高い趣味でもある。始めるのに何を買えばいいの?どこで釣ればいいの?何が釣れるの?周りに釣りを趣味とする人がいればいいが、そんな人物がいないと絶望的に入門しづらい趣味ともいえる。
今回は「これから釣りを始めたい人に最もお勧めだと思う釣り」を、TSURINEWS関西編集部のスタッフが紹介する。ちなみに、釣りは住んでいる地域に依存する趣味である。関西圏では比較的波止釣りが身近に楽しめるが、関東ではそうもいかない事情があるようだ。それでも参考になるエリアは多いと思うので、「釣りやってみたいな……」と少しでも思ったなら、ぜひ一読してほしい。

オススメの釣り
私が入門にオススメする釣りは、ずばり「壁際のジグ単カサゴゲーム」である。その理由は、ターゲットのカサゴは多くの海に生息し、ルアーにも反応がいい。白身でおいしい、生命力が強いのでリリースする場合の魚の扱いも安心。ポイントが絞りやすい。
また、釣りとしてもルアーで釣るためエサが苦手な人も大丈夫。アジやサバなど回遊する魚ではないので、タイミングを見て出かける必要がない。キャストしなくても釣れる、荷物が少ない、初期投資がそれほどでもない、などなど、入門には最適な要素が多いためだ。
カサゴとは
では、カサゴとはいったいどんな魚なのだろう?Wikipediaによると、「カサゴは、日本の北海道南部から朝鮮半島、中国、台湾、および、フィリピンまでの海域に分布し、海岸近くから水深200 mくらいまでの岩礁域に生息する。メバルほど泳ぎ回らず、海底で生活することが多い。昼は物陰に潜み、夜になるとエサを探して泳ぎ出す。肉食性の魚で、ゴカイ、甲殻類、小魚などを大きな口で素早く捕食する。」とある。
ちなみに、カサゴは標準和名。地域によりガシラ(関西)、アラカブ(九州)、ホゴ(四国)、ボッコ(中国地方)などなど、様々な呼び方があることからも、各地でポピュラーな魚であることがうかがえる。釣魚としても、全国どこの波止にでも狙える魚なのではないだろうか?
波止から釣れるサイズは20cm前後が主体。めったに釣れないが、25cmを超える良型が足元から飛び出すこともある。反対に20cm以下の小型はかなり頻繁にサオを曲げてくれる。

必要な道具
では、この釣りに必要な道具を紹介しよう。まずタックルだが、波止用の小物ザオであればどんなものでもOKだ。5000円前後でサオとスピニングリールがセットになったものが釣具店に売られているので、それを買えば問題ない。
今後ライトソルトゲームを始めたいのであれば、入門用のアジングロッドがオススメ。どこのメーカーのものでも、大体1万円くらいでそれなりのものが手に入る。リールは2500番までの入門機を用意しよう。これは5000円以内で買えるはずだ。

あとはライン。ラインにはナイロン、フロロカーボン、PE、エステルと素材によって4種類ある。PEラインとエステルラインはショックリーダーを結ぶ必要があるので、初心者向きではない。選択肢としてはナイロンかフロロカーボンになるが、個人的にはフロロカーボンをオススメする。巻き癖が少々扱いにくいが、細イトを使うこの釣りではそこまで気にならないためだ。
そして、ジグヘッドとワーム。ジグヘッドは1~2g、ワームは1.5~2inchを用意しよう。ジグヘッドは5個入りで400円前後、ワームは形状によって入数がかわるが、6~12個入で400円前後。

サオとリールは壊れない限り使えるし、ラインも早々なくならないしすぐには劣化もしないので、消耗品としてはジグヘッドとワームになる。これらも基本的にロストしたり破損しない限り使えるので、一回の釣行にかかる費用は微々たるものだ。

その他の必要なもの
以上が釣りをするのに必要な道具になるが、これ以外にも必要な物がある。まず絶対に用意したいのが、ハサミやラインカッターである。釣りで使うラインはなかなか丈夫である。際釣りでは細いラインを使うが、それでも手や歯で切るには丈夫にすぎる。釣り具と同じくらい重要なアイテムなので、必ず用意しよう。
できれば用意したいアイテムが、ハリを外す際に使うプライヤー、毒魚やぬめりの多い魚を掛けた際必要なフィッシュグリップ、水汲みバケツ、魚を新鮮に持ち帰るためのクーラーボックス、夜釣りの場合はヘッドライト、夏は虫よけ、そして手をふくためのタオルである。

中でも意外と役立つのが水汲みバケツ。魚を触った手を洗うための海水を汲み上げるのに使うほか、ネットの付いたタイプであれば釣れた魚を生かしたまま泳がしておくことができる。キープかリリースか悩むようなサイズの魚をとりあえず生かしておき、納竿の時にお土産以外の魚をリリースすることもできる。
また、納竿まで魚を生かしておけば、釣りの最中は氷が必要なくなる。納竿後、釣り場近くで氷が調達できて帰途もそれほど時間がかからないというのであればの話だが、保冷力の弱いクールバッグで対応可能。高価でかさばるクーラーボックスを買わなくてもいいということだ。
そして、ライジャケ。なくても釣りはできるが、落水すると命にかかわるので、絶対これは用意しよう。特に一人で釣りをするような場合は、落水を誰にも気づいてもらえない場合もある。

狙うポイント
カサゴは基本的に底の基礎石や岸壁に付いている。特に狙いとなるのは、波の力を分散させるために岸壁にあけられた穴やケーソンの継ぎ目、船の防舷材。それと岸壁に付着した海藻や貝が層になっている付近だ。
釣りというと投げるイメージがあるが、初心者が底の状況の分からない沖に仕掛けを投げても、着底が分からない、付き場が分からない、根掛かりで仕掛けを失うと、いいことは一つもない。

狙う時間帯
続いてカサゴが釣れる時間帯。カサゴもほかの魚と同様に朝夕のマヅメ時によく釣れる傾向はあるが、基本的にいつでも釣れる。とはいえ日中の岸壁際はベラやフグといった厄介な魚が活発で、ワームをかじられることも多い。また、これは私の経験則なので確実ではないが、夜釣りの方が大きい個体が多いように感じる。そして、特に夏場は涼しく快適だ。以上のことから夜の釣行がお勧めというわけだ。
なお、慣れないうちは常夜灯周りで釣りをすることをオススメする。ベイトとなるエサや小魚が集まるので、それを食べるカサゴも付きやすいうえ、イトを結んだりワームを刺したりといった細かい作業もやりやすい。また、足元の状況がよくわかるので、安全ともいえる。
釣り方
では、実際の釣り方について紹介する。
基本
さてさて、いよいよ釣り方だが、これはいたって簡単。利き手の中指と薬指の間にリールフットを挟み込むようにサオを持ち、人差し指は立ててスプールの端に触れるように構える。
そして、ガシラの付き場である足元の岸壁際20cm以内にサオ先を持っていき、そこでベールを起こしてリグ(仕掛け)を落とす。リグが底についたら、今度は水面までゆっくり巻き上げる(リール一回転に1秒くらいかけるつもりで)だけだ。

なお、リグを落とし込む際、数秒人差し指でスプールエッジを押さえてイトを止めたり、巻き上げる際に止めたりすると誘いになる。
うまく魚が釣れたら、どのあたりで釣れたか大体でいいので覚えておくといい。ヒットしてから海面に出るまでどれくらいリールを巻いたかで底の方なのか、上の方なのかが分かる。同じ水深でよく釣れるようなら、そこにガシラが付く何かがあるということ。集中的に攻めれば効率がいい。
アタリはかなり明確に出ることが多いので、カツッときたら軽くサオをあおってアワセを入れよう。その後、できるだけサオ先を沖に出し、魚を壁から引き離すこと。魚は何かしらの障害物に付いていることが多いので、もたもたしているとラインがその障害物に絡んでしまったり、切れたりしてしまうためだ。
うまく壁から引き離したら、後は一気に巻き上げよう。それほど強く引く魚ではないので、難なく浮かすことができるはずだ。そして、サオの弾力を使って陸へ上げよう。
魚を取り込んだら、リールのベールを起こしてラインをフリーにし、魚が暴れた際にサオやリールに力が掛からないようにするのを忘れずに。
釣れないとき
仕掛けを落としたところに魚がいれば、カサゴなら結構な確率でヒットするはずだが、釣れないときも確実にある。そんな時は、少し仕掛けを落とす位置をずらしてみよう。2~3回仕掛けを上下して釣れないのは、そこに魚がいないか、食い気がないと割り切り、魚のいるもしくは食い気のある魚のいるところを狙った方が効率がいいのだ。
食い気があるときはワームで十分食ってくるが、食い気がなくて普通のワームには反応しない時もある。運悪く魚の活性が低い日に当たった時、最後の手段として持っておいて損はしないのが、魚の好む匂いや味の付いたワーム。味覚や嗅覚に訴えるので、動きだけには反応しなかった魚も思わず口と使ってくるだろう。

そして、ここまでやっても口を使ってくれないならば、最終兵器の投入。イシゴカイかアオイソメの出番だ。ムシが苦手なら、サバやサンマの切り身でもいい反応が得られるはずだ。
釣れた魚の扱い方
釣れた魚は、できるだけ魚体に触れないようにハリを外してやろう。掛かりどころにもよるが、ジグヘッドのオモリの部分をつまんで、ハリ先を抜ける角度にして軽く振ってやればポロリと外れることが多い。リリースする魚は海面上でハリを外し、海に帰ってもらおう。

リグを飲み込まれた場合は、プライヤーを使えば比較的簡単に外すことができる。
キープする魚は、水を張った水汲みバケツに入れておこう。ハリ外しに失敗してダメージを与えなければ、2~3時間は水をかえなくても生きている。長時間釣りをする場合、冬場など放っておくと水温が下がる場合は、たまに水をかえてやれば、納竿まで元気だろう。

なお、カサゴはこれで生かすことができるが、魚によってはすぐに死んでしまうものもいるので注意すること。
トラブル対策
だいたいの釣りの流れはこんな感じなのだが、予期せぬことは起こるもの。特に慣れないうちはよく見舞われる。その代表が「予期せず地球を釣ってしまう」ことだろう。つまり根掛かりである。
根掛かり対策
魚ではない何かにハリが掛かったら、とりあえず一度イトを緩めてみよう。ハリが刺さっていない場合はジグヘッドの重さで障害物から外れて巻けるようになる可能性がある。
緩めてみてもやはり掛かったままの場合は、掛かったものが切れないか多少強く引っ張ってみる。軽く引っ掛かっている場合や、海藻などに掛かっている場合は、外れたり、海藻が千切れて回収できるはずだ。
これでもダメな場合は、違う角度から引っ張ってみる。岸壁を狙う今回の場合はあまり役に立たないが、沖へキャストしている場合は、力のかかる角度がかわれば外れることもある。
さて、ここまでやっても取れない場合はラインを切る覚悟で引っ張るしかない。ただし、サオを起こしてラインを引っ張ってもサオの弾力で力が掛からずなかなか切れないうえ、変な力を加えるとサオを破損させてしまう恐れがある。
なので、水中のラインとリールから出るラインがまっすぐになるように引っ張るのがミソとなる。この際、リールのドラグをしっかり締めておかないとドラグが滑って切れないので注意しよう。締めても滑る場合は、スプールを手で押さえるといい。

切る覚悟で引っ張ると、意外と外れることもある。切れてしまったらリグを結び直して再開すればいい。
予期せぬ魚種がヒット
もう一つのトラブルは、予期せぬ魚が掛かった場合。この釣りをしていて、ゲストとして釣れるのは、メバル、アジ、アコウ、ソイといった魚たちだが、たまに嬉しくないゲストも登場する。それがハオコゼだ。
ハオコゼはガシラによく似た魚で、うっかり触ってしまいそうになるが、ヒレに毒を持ち、刺されると猛烈な痛みで釣りどころではなくなってしまう。釣れた魚はしっかり種類を確認してからハリを外すように心がけよう。
怪しいと思ったらフィッシュグリップとプライヤーを使い、魚に触れないようにハリを外したら、海へお帰りいただこう。毒魚憎しと波止に残したままにしておくと、なにかの拍子に触ってひどい目にあう可能性もある。
この釣りに飽きたら
以上が私が入門にオススメする「壁際のジグ単カサゴゲーム」のあらましである。これだけやっていても十分楽しいのだが、そのうち違う釣りもやってみたくなるだろう。そんなときは、沖へキャストして魚の泳層に合わせてルアーを泳がせてやればいい。季節によってメバルやアジを狙うことができる。仕掛けをかえればほかの魚だって十分期待できる。
ぜひ「壁際のジグ単カサゴゲーム」を起点に、いろんな釣りに挑戦してみてほしい。
<中西/TSURINEWS関西編集部>
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