海の生物の中で、危険なイメージのある「サメ」は実は魚類。哺乳類に分類されるイルカやシャチとの違いや見分け方について紹介しましょう。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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サメってどんな生き物?

サメと聞くと「獰猛で危険な海の生物」というイメージを抱く人も多いかもしれません。サメ(鮫)は、軟骨魚綱・板鰓亜綱に属する魚類のうち、えらの溝が(鰓裂)が体の側面に開く生き物のことを言い、広く「軟骨魚類」と呼ばれています。

同じ軟骨魚類にはこの鰓裂が下面に開くものも存在し、それらはエイと呼んで区別しています。したがってサメとエイは非常に近い種類の生き物と言えるでしょう。

人に危害を加えるサメはほんの一部

サメを題材にした映画と言えば「ジョーズ」でしょう。

この映画が公開されたことにより、サメが人に危害を加える生き物だというイメージが付いてしまった人も多いと思いますが、実はほとんどのサメは人に危害を加えません。むしろほとんどのサメは臆病で、人には近づいてきません。

確かに人を殺傷してしまうような被害も起きてはいますが、人に危害を加えるおそれのあるのは20~30種程度とされ、サメ類全体の1割にも満たないのです。その中でも特に危険なのはホオジロザメやイタチザメなどに代表される鋭い歯と力強いあごを持つ種です。

長い歴史の中では沖合で船が沈没することによってサメに襲われるケースもありましたが、これは様々な要因が重なってしまった事故と言えるでしょう。

サメは「哺乳類」ではなく「魚類」 イルカやシャチとの違いとは?
美しいシルエット(出典:PhotoAC)

サカナとの違い

サメはサカナの仲間とは言いましたが、細かく言えば私たちがよく知るマグロやタイなどとは異なります。

骨の違い

一つは軟骨魚類の体のすべての骨が弾力性のある「軟骨」でできてることです。

一方で私たちがよく知る「サカナ」であるマグロやタイは骨に石灰質が多く含まれ硬い骨をもっており「硬骨魚類」と呼ばれています。

浮袋の有無

もう一つの違いは、サメには浮袋が存在しません。浮袋というのは水中での浮力に関する器官で、浮き袋に入っているガスの体積を調節することで、水中での姿勢を維持しています。

しかしサメにはこの浮袋はなく、その代わりに体重の1/4にもなるほど大きな肝臓を追っています。この肝臓には海水より比重の軽い油(肝油)がたくさん蓄えられており、浮力を得ています。

シャチやイルカとの違い

海にはサメとよく似た生き物がいます。例えばシャチやクジラ、イルカなどがそうでしょう。しかし、これらの生き物は魚類の仲間であるサメとは違い、私たちヒトと同じ哺乳類です。

尾ビレの付き方

彼らが魚類か哺乳類かを判断する方法はいくつかありますが、一番簡単な見分け方は尾ビレの付き方です。

魚類は、尾びれが垂直について、左右に尾っぽを振って泳ぎます。サカナを思い浮かべてもらうとイメージしやすいかもしれません。

 一方、哺乳類であるイルカやシャチは水平に付いています。水泳で使うドルフィンキックから由来しているように、尾びれを上下に振って泳ぐのです。

この違いをみれば哺乳類なのか魚類なのかは一目瞭然です。

サメは「哺乳類」ではなく「魚類」 イルカやシャチとの違いとは?
尾びれの向きがサメとは異なる(出典:PhotoAC)

サメの種の7割が胎生

アジやマダイなど、一般な魚類は卵を産む卵生の動物です。

しかしサメの場合、世界に存在する500種類以上のうち3割くらいしか卵を産みません。残りの7割は哺乳類と同じように赤ちゃんがお腹の中から出てくる胎生のような様式なのです。

中にはお腹の中で卵をふ化させる「卵胎生」という様式をとるものや、哺乳類と同じようにへその緒で繋がった状態で出産する胎生のものまでいるのです。

古代のサメは〇〇m?

現代に生きるサメの中で最大のものは、美ら海水族館や海遊館にもいるジンベイザメです。全長も約10mとクジラに匹敵するほどの巨体を持っています。

しかし、古代に生きるサメの中にはもっと大きなものが存在しました。そのサメの名は「メガロドン」と言い、約360万年前に絶滅したとされていますが、その全長は約18mにもなったとか。

ジンベイザメの約2倍にもなる巨体はクジラをエサにしていたと言います。そんな巨大なサメがもし今も海に生きていたとしたら、気軽に海水浴なんてできなかったかもしれませんね。

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現存する最大のサメ「ジンベイザメ」(出典:PhotoAC)

サメには安易に近づかない

人に危害を加えるサメは少ないと言っても、鋭い歯を持ち、臆病ながらもどう猛な性格を隠し持っています。血の臭いを嗅いだサメは興奮状態になり、相手がどんなに大きくても噛みついてくることがあるそうです。

不容易にサメに近づくことは慎むべきでしょう。

<近藤 俊/サカナ研究所>

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