9月12日に、須磨一文字にノマセ釣りで青物を狙って釣行した。バラシもあったがうまくハマチ57cmを仕留めたので、その模様をお伝えしたい。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一...の画像はこちら >>

秋のノマセ釣り

今年の大阪湾沿岸の釣況は全体的に好調で、特に回遊魚は青物から大サバ、中アジに至るまで、ほぼ切れ目なくどこからか何がしかの釣果情報が伝わっている。9月に入るとサワラ、メジロに加え、タチウオのはしりの便りも聞こえてきて、秋の回遊魚のトップシーズンに向けて視界良好のようだ。

しかし、これまでの釣果の大半はルアーマンたちによるもので、ノマセ釣りはまだ本格化していないようだ。そこでルアーは門外漢の私が選んだのは、少ないながらもノマセ釣りでの釣果もあがっていた須磨・垂水エリア。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
須磨一文字内向き全景(提供:WEBライター・伴野慶幸)

須磨一文字の特徴

須磨一文字は正式名称を「須磨港南防波堤」といい、須磨港と須磨ヨットハーバーの出入口に蓋をするかのように作られた全長524mの沖防波堤で、陸地からは至近距離にある。防波堤の構造は、内向き(陸向き)は全域が垂直ケーソン構造で足場は広く安全度は高いものの、多くの釣り人は外向き(沖向き)に好んで釣り座を構える。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
須磨一文字略図(作図:WEBライター・伴野慶幸)

両端にはテトラが積まれており、テトラのない所は垂直ケーソン構造となっている。潮流は波止に並行して東西に流れるが、波止の形状が若干くの字に折れていることと、両端に積まれたテトラによって、部分的に潮流に変化をもたらしている。この潮流を読んで釣りをすることが釣果につながると、今回のノマセ釣りでも実感した。

外向きの上は幅が1mぐらいと狭く、海面との高低差は約5mなので安全面には特に注意し、タモ網の柄は6m以上ほしい。所々に外向きに上るための梯子が立てかけてあるが、固定されていないので、上る前には必ず梯子の立て掛け方と脚の接地面を確認して、十分に注意する必要がある。

波止際の水深は干満にもよるがおよそ12mと深い。なお、須磨・垂水エリアの釣り場・渡船の基本情報などは、以前の投稿をご覧いただきたい。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
須磨一文字の釣り場(提供:WEBライター・伴野慶幸)

渡船紹介

須磨一文字に渡しているのは渡船・須磨丸。公式フェイスブックでは基本情報と釣果情報を随時発信している。

専用駐車場はないので、近辺の須磨ヨットハーバーの有料駐車場に先に立ち寄って駐車してから、東向きにある受付場に向かい、乗船手続きをする。乗船場は受付場のすぐ東に見える。利用時には救命胴衣を着用のほか、新型コロナウイルス感染防止の観点からマスクの着用も心がけたい。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
須磨丸の乗船受け付け場(提供:WEBライター・伴野慶幸)

エサ、釣具、氷などは販売していないので、近くのエサ光を利用すると便利だ。須磨丸と協力関係にあり、須磨一文字の情報にも精通している。私は当日、朝4時にエサ光に立ち寄りアミエビを購入し、朝4時半の便で波止に渡った。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
渡船・須磨丸(提供:WEBライター・伴野慶幸)

まずはアジを確保

誤算だったのが須磨一文字の人気ぶり。回遊魚のベストポイント東側だけでなく、その他の目ぼしい釣り座も、1番船で渡っていた先客達が入っていたので、私は波止の中ほどの、ルアーマン2人の間に釣り座を構えることになった。

夜が明けた6時前からノマセ釣りのエサとなる小アジ釣りを開始。ウキサビキ釣りのタックルは磯ザオ5号5.4mにミチイト6号を巻いたスピニングリールの組み合わせだ。まきエサカゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介する。サビキはフラッシュ仕様のサバ皮のハリ6号、ミキイト3号、ハリス1.5号の小アジ釣り向けのノーマルなものを選んだ。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
サビキ仕掛け(提供:WEBライター・伴野慶幸)

タナは底から1m程度上に設定し、投入地点はサオ2本分ぐらい先のちょい沖程度にとどめた。

これらの狙いがドンピシャで、幸いなことに開始30分程度で十分な小アジを確保できた。小アジはスカリバケツに入れて活かしておき、使う分だけをビニールバケツに小分けする。

時間が経つにつれイワシが交じりだしたが、こちらは夜のお惣菜にと取り分けてクーラーに保管する。最後のほうにはイワシしか釣れなくなったが、その巻き上げの途中で、波止際までイワシを追ってきたハマチの姿が見えた。実はこの時の様子を覚えていたことが、釣果への大きなヒントになった。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
イワシが鈴なり(提供:WEBライター・伴野慶幸)

ノマセ釣りのタックル

少し出遅れた感はあったが、7時半ごろからノマセ釣りに切りかえる。タックルはサオとリールはサビキ釣りと同じで、接続する自作のノマセ仕掛けは、クッションゴムの先には、カン付き丸セイゴ12号とカン付きチヌ1号の親バリと孫バリの2本バリ。小アジの掛け方は、親バリは背掛け、孫バリは尾ビレの近くに刺す。

タナは2ヒロ半からスタートし、沖向き30mぐらいに仕掛けを投入する。両隣はルアーマンだったので、左右に広くは流せず、こまめに打ち返してトラブルを避けるよう心掛けた。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
活きアジをエサにノマセ釣り(提供:WEBライター・伴野慶幸)

潮のヨレを狙う作戦へ

朝7時前には各所で青物がヒットしている様子。回遊している今のタイミングを逃すまいと気を引き締めてノマセ釣りを続行する。

しかし、8時を過ぎると、波止が沈滞ムードに陥った。私も焦りが募るものの、やみくもに打ち返したところで釣果にはつながらない。

何かヒントを掘り出そうと、今までの経験や今日の状況などを、色々と思い返してみた。

頭に浮かんだのは、朝に波止際までイワシを追ったハマチの様子。青物は潮の動きが速いところよりも、潮がヨレて緩んでいる所を回っているのではないだろうかと感じた。そこで、正面方向に小アジを単調に投げ込むのではなく、自分の釣り座から海面を見て潮の流れの緩んでいる所を見つけて、そこに投下するように心がけた。この切りかえで、小アジが活きた状態で、潮に負けずに少し長めに海にとどまるようになった。

ついにヒットするも…

すると10時半前、突然ひったくるようにサオ先が曲がった。

あわてて体制を整えてリールのベールを起こすと、パラパラパラとミチイトが勢いよく走り出て行った。スッポ抜けを防ぐために、十分余裕をもって魚を走らせてから、サオを起こして巻き上げに転じると、強い手応え。ついにヒット!

ところが途中で何かに引っ掛かり、ミチイトが巻けなくなってしまった。「さっきの船の漁具に引っ掛った?」と、朝にバラシがあったノマセ釣りの人から声がかかった。スッポ抜けを防ごうと魚を十分に走らせたことが裏目に出るとは、大誤算…。泣く泣く仕掛けを引き切るしかなかった。

2度目のアタリ

一旦は沈んだ気持ちを奮い起こし再トライ。いったんサオを置いて梯子を下ってスカリバケツに向かった矢先に、バタンとサオが大揺れした。

2度目のアタリだ。

慌ててサオを手に取って魚を走らせにかかったが、走らせ過ぎると先ほどの二の舞になる。思い切って取り込みに転じると、魚はグングンと力強い引きをサオに伝えてくれた。

ドラグを調整してバラさないよう細心の注意をはらいながら、やりとりを続けていると、「浮かせて空気吸わせたらこっちのもんですよ」と励ましてくれながら、先ほどの釣り人がタモを持って助太刀に寄ってきてくれた。心強い味方を得て、慎重に波止際に寄せてくると、海面に鮮やかな緑色の背中が見えた。ハマチだ!

ハマチ57cmをゲット!

少々手こずったが、助っ人の手慣れたタモの差し入れ所に魚は無事収まりフィニッシュ。感謝感激の面持ちでお礼を言いつつ、今シーズン初のノマセ釣りで手にした獲物を目の前にして喜びに浸った。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
キープした魚たち(提供:WEBライター・伴野慶幸)

これを機に納竿し、12時の迎えの便に乗り込んだ。船長には釣果の写真を撮ってもらった。最終釣果は57cmのハマチ1匹と、活きエサで残った小アジ多数、別にキープしたイワシ多数。帰宅後はハマチのバター焼き、イワシの煮付け、小アジの唐揚げと、釣り人冥利に尽きる夕食を家族と共に堪能した。

沖堤ノマセ釣りで57cmハマチ手中 秋のシーズン開幕【須磨一文字】
ハマチのバター焼きとイワシの煮付け(提供:WEBライター・伴野慶幸)

<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>

▼この釣り場について
須磨丸

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