秋の波止は小物から大物まで狙える絶好シーズンです。今回は、釣った小魚をエサにヒラメやマゴチなどを狙う「ブッコミ飲ませ釣り」を紹介。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
「ブッコミ飲ませ釣り」とは
秋の波止回りは夏場から釣れ続く小アジや小サバ、イワシなどの小型回遊魚が盛んに釣れます。そして、それら小魚を追ってハマチなどの大型回遊魚が波止回りにやってきます。と、同時に普段から波止回りに身を潜めている魚食性のヒラメやマゴチなど、あまり回遊をしない魚の活性も上がることになります。
回遊魚狙いは海底付近ではなく、中層や表層近くを狙うことが多いので、エサを中層で止めておくことができるウキ釣りがメインです。対して、ヒラメやマゴチといった海底に潜む魚をメインに狙う場合、ちょい投げや投げ釣りのように重めのオモリで海底に仕掛けを沈めて待つ、ブッコミスタイルの飲ませ釣りを多用します。
ブッコミ飲ませのターゲット
ブッコミ飲ませ釣りで狙えるターゲットは、前述のように海底付近に潜んでいるフィッシュイーター(魚食性の魚)です。
ヒラメ
メインターゲットは何といってもヒラメです。ヒラメはあまり水深がないような波止回りでもけっこういて、特にエサとなる小魚の集まりに敏感です。
以前、サビキ釣りをしていると、小アジがまきエサに群れる横(水面から2mほどの深さ)で、小アジの群れを見つめるように浮いていて、サビキに掛かった小アジを猛然と襲う姿を確認しました。また、漁港内で海底が見えているような場所で、よく見るとヒラメが数匹溜まっていて、そこは小アジなどが溜まりやすい地形でした。その際も小アジをエサに海底に落とすやいなや飛びついてきた記憶があります。
マゴチ
もう一つの代表格がマゴチです。マゴチも大きな回遊はしないまでも、エサとなる小魚を探して、海底付近をウロウロしていることが多く、サビキ釣りなどで小魚を寄せていると寄ってくることもありますが、ヒラメに比べると、独自にエサを探して徘徊しているイメージが強いです。

また本来は中層などでエサを探すスズキやハマチ、メジロ、ブリなども時として、海底に入り込んで底の方で食ってくることがあります。
使用する仕掛け
ブッコミ飲ませ釣りで大型魚を狙うための仕掛けは何パターンかあります。一つは通常、キスやカレイを狙った仕掛けスタイルで、テンビンを使ったパターン。もう一つは胴突きスタイルの1本バリです。また、後述しますが、少しかわった釣り方として「エレベーター釣法」なるものも一応はブッコミ飲ませ釣りと言えます。
1. テンビン仕掛け
投げ釣りやちょい投げ用のテンビンを使った仕掛けです。この仕掛けの場合、しっかりと飲み込ませるためにアタリがあって、魚が仕掛けを引っ張った時に送り込ませたいので、遊動仕掛けが基本となります。そして、テンビンに付けるオモリは、エサを安定させるために少し重めがオススメです。こちらは使用するタックルにもよりますが、15~20号程度のオモリは使用したいところです。
2. 孫バリ仕掛け
仕掛けは1本バリ、もしくは孫バリと呼ばれる2本バリを使用します。ヒラメなどの歯が鋭い魚もいるのでハリスは波止であっても5号以上、6~8号を使用する人も多いようです。ハリは1本バリの場合、太軸で青物用のハリか、ヒラメ用のハリが適しています。
孫バリ仕掛けというのは、1本のハリスに親バリと孫バリが付いていて、親バリはターゲットに掛けるためのハリ、孫バリはそれを補助する(親バリまで食い込まなかっでも掛かる)ためのハリというイメージです。

簡単な作り方としてはまず、親バリをハリスに結び、余り糸を長くとっておきます。余り糸の先に孫バリを結びます。

3. 胴突き仕掛け
いわば、胴突き1本バリ仕掛けです。幹糸から枝バリの形でハリスを出します。オモリとエダスの位置で少し浮かせたり、海底にべったりつけたりと多少の調整ができます。ハリスより先は1本バリ、孫バリともにテンビン仕掛けと同じです。ハリスは1m前後で、あまり長く取るとエサの小魚が泳ぎ回って、幹糸などに絡んでしまうことがあるので注意です。
胴突き仕掛けの特徴は、オモリより上からエダスが出ているので、エサの泳ぎやターゲットの反応などが竿先に出やすい点でしょう。ただ、遊動式ではないため、送り込める範疇が決まっていて、エサをくわえた魚が引っ張った時にオモリごと引きずることになるので、違和感を覚えてエサを放してしまうこともあります。
4. エレベーター仕掛け
エレベーター仕掛けというのは、道糸の先にオモリだけを結んで先に海中へ投入し、後でハリス、ハリがついた仕掛けを道糸にスナップなどで引っ掛けて通し、そのまま海中へ滑らせるようにエサを送り込む釣りです。表層から、中層、海底付近まで幅広いタナを探ることができるのですが、釣り人側ではあまり細かな調整は効かないことが多いです。
ハリスの付け根にオモリを打つことで沈みやすくして、海底付近まで沈めることは可能ですが、基本的にエサとなる小魚の泳ぎにお任せとなります。また、大型魚がエサをくわえて走っても、道糸上をハリスが滑るため魚の引っ張りに対してあまり大きく、明確なアタリが出ないことがあります。
ブッコミ飲ませの釣り方
ブッコミ飲ませの釣り方は簡単です。エサを仕掛けに付けて、放り込んで待つだけ。
釣果アップのコツ
ただ、同じ場所にエサを置いておいても大型魚が出会う確率は上がりませんので、少し投げてみたり、投げる場所をかえてみたり、ちょっとずつ場所をかえるように引きずってみたりと、変化をつけてやることが必要です。

また、元気な状態でハリに刺した小魚は、糸(ハリス)に繋がれた状態で泳ぎ回りますが、オモリで固定されているので、比較的弱りが早かったり、休憩でもするかのように海底に寝そべったりして大型魚にアピールしてくれないこともあります。そのため、仕掛けを時々動かしてやります。ちょっとエサの動きが悪くなれば交換しましょう。
アタリがあったら
ブッコミ飲ませ釣りのアタリは非常にバラエティーに富んでいます。ゴソゴソと細かな反応が続くだけだったり、コン、コンと竿先をお辞儀させるだけ、または一気に竿ごと引きずり込むような強烈なアタリだったりします。
回遊魚と違い、海底で居食いをしていることが多いのも海底に潜む大型魚の特徴です。そんな時は、ゆっくりと竿で引っ張って聞いてやると、一気に食い込んで走り出すことも多いようです。

ドラグ設定はユルユルに
また、突然の突っ走りの場合は、すぐさまエサを飲み込んでいることは少なく、口先でエサをくわえて泳ぐパターンが多いです。大きなアタリが出たからといってすぐにアワせるとすっぽ抜けの原因になります。
そのため、ブッコミ飲ませの場合は、アタリを待つ際に歯リールのドラグをユルユルに設定しておき、魚が走ればドラグが滑るようにしておくと食い込みもよくなります。
またドラグをゆるく設定しておくことで、強烈な突っ走り時に竿を持っていかれない効果もあるので、ブッコミ釣りの場合は、ドラグを緩める動作を忘れないようにしておきましょう。その上で、尻手ロープなどで竿をロープで結んでおくなどの2重、3重の備えをしておくとよいでしょう。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
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