11月14日、水温が下がってチャンスと読み、三重県・錦へ底物狙いで釣行した。残念ながら本命は不発に終わったが、特大カンダイをキャッチしたので、その模様を紹介する。

(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

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底物狙いで錦の磯へ

11月14日、三重県・錦へ向かう。今年は全国的にイシガキダイが湧いており底物初心者には楽しいが、大型イシダイ狙いの私たちは本命にエサが届かないので、水温が低下してイシガキが少なくなることを望んでいる。

前週、釣友と「次に海が荒れて水温が下がったときがチャンス!」と話した。週の前半、海は大荒れとなったが、当日は波がなくなり水温も下がった。チャンス到来と気合を入れて港を目指す。

実績場の双子島の東

午前4時半に船着き場に到着。波・風がなく希望の磯に乗れるそうなので、迷わず双子島の東とリクエストする。

錦は紀伊長島から続く沖磯と東の陸に沿った東磯に分かれる。春のイシダイは圧倒的に沖磯の釣果がいい。5月のGW前後は毎年60cm後半のイシダイが出る。

だが、秋は沖磯・東磯のどちらもサオを曲げてくれる。今回リクエストした双子の東は、10月3日に55cmを頭に3匹のイシダイを上げた場所なので、サイズアップを狙っていた。

磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用
双子島略図(提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

期待の1投目はウツボ

午前6時ごろ双子に上陸。辺りはまだ薄暗い。目を凝らしてピトンを打ち込む穴を探す。

さあ、釣り開始だ!大ぶりのヤドカリをセットして1投目を投げる。

2本のサオをセットし、モーニングコーヒーを飲みながらサオ先を注視する。この時間が一番好きだ。ワクワクが止まらない。

磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用
当日の仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

干潮時間は8時すぎ。ここから潮止まりまでの1時間半が勝負だ。すぐにサオ先がチョンチョン、チョンチョンと動く。そして揺れながらググッと30cmほど曲がる。「よし、入れ!」とつぶやく。

しかしサオ先はそのまま戻り、この動きを繰り返している。仕掛けを上げると大きなウツボが海面を割った。錦名物・最初のウツボだ。

生きエサを使うと必ず最初の数回はウツボの洗礼を受ける。

まきエサをまいて足元狙い

3匹ウツボをやっつけたところでアタリが止まった。ここまで前回アタリのあったカウンター65mと45mにセットし、カメノテ、ジンガサ、フジツボ、カラス貝などを、ナイフで取ってはパラパラと足元にまいていた。

これらのまきエサが効くころかと思い、右のサオを足元18mにセットする。

双子の西に渡礁していた常連の安井君が山越えで様子を見に来た。ウニでやっているが全くかじられないとのこと。

磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用
双子で2本竿をセット(提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

ドラグ滑らす大物ヒット

そのとき、サオ先がフワフワと動いた。あっ、アタった。安井君とサオ先を見つめる。2回ほどサオ先がアタって戻ったとき「またウツボくさいね。イシダイならもうサオが突っ込んでいるはず」と言った途端、サオはグーっともたれ掛かり、一瞬間を置いて一気に海中に突き刺さった。

わりと強めに締めていたドラグからミチイトがズルズル出ていく。「でかい!」と直感してサオを起こす。しかし、体ごと持っていかれ、またサオ先は海中に。

これは記録級のイシダイかも…。

巨大カンダイ浮上

腰を完全に落とし、あと5cmで尻餅という態勢で体重を全て後ろに掛けてこん身の力でリールを巻く。底物釣りでは魚が人間を上回った瞬間に根に入られ全てが終わる。隣で安井君が「すごい、すごい!」と声を上げている。

サオを上げては巻く。ポンピングを繰り返すが、ヤツは信じられない力を出し、またサオ先が海中にキスをする。

やっとの思いで海面を割った怪物は赤い!そう巨大カンダイ(コブダイ)だった。70cmのイシダイを想像していた私の力が一気に抜けた。

安井君がタモですくい上げてくれ、重さを計測すると84cm9.4kg。イシダイではなかった悔しさと、15年ぶりに対面する巨大カンダイを獲ったうれしさが交錯する。

磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用
怪物の正体はカンダイ(コブダイ)(提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

その後は潮が悪く、アタリのないまま終了した。磯のゴミを拾い、割れたサザエの殻を掃除して迎えの船に乗った。

刺し身とアラ汁で絶品

帰宅後、魚をさばいたが、太く強い骨は包丁では歯が立たずのこぎりを使った。

胃の中を検査すると、カメノテが原型のまま30個以上出てきた。

朝から足元にカメノテ等をパラパラまき続けたこと。まきエサが効いたころに足元狙いに変えたこと。カメノテが落ちてくるたびに拾っていたカンダイは警戒心なく食べたのだと納得した。

カンダイの刺し身とアラ汁は、くさみがなくプリプリした触感で、私が釣って食べる魚の中で最もおいしいと改めて実感した。カンダイが釣れたら、ぜひ食べることをお勧めする。これほどおいしい魚を私は知らない。

磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用
貝も砕く歯が並び迫力満点(提供:週刊つりニュース中部版APC・松本浩)

<週刊つりニュース中部版APC・松本浩/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース中部版』2021年12月3日号に掲載された記事を再編集したものになります。The post 磯での底物釣りで本命イシダイ不発も84cm9.4kg特大カンダイを御用 first appeared on TSURINEWS.
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