どんな遊びでも、同好の集まりというものは必ず存在する。以前に文面で紹介したが、私は投げ釣りを始めて約50年、大してうまくもなれずに半世紀を過ごしてしまったのだが、30~40代にかけて、投げ釣りのクラブに所属して活動していた。

このときの経験が、今ののんびり釣行主体のキス釣りやハゼ釣りに非常に役立っている。今回は、その当時を思い返しながら、釣りクラブの良さについて読者の皆様方にお伝えしたい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)

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釣りクラブってどんな集まり?

釣りに様々なジャンルがあるように、釣りクラブにも船釣りのクラブ、磯釣りのクラブ、投げ釣りのクラブ、ルアーフィッシングのチームなど、ジャンル別に分かれている。また、広く一般に会員を募集しているクラブや、同じ会社や仕事場でできたクラブなど、そのメンバー構成も様々である。

クラブとしての活動内容も様々で、仲間内でワイワイ楽しむことをモットーとしているクラブや、トーナメントで上位入賞することに力を注いでいるクラブ、大物狙いに情熱を燃やしているクラブなど、多彩だ。

釣りクラブのメリット

場内での釣りクラブを除けば、メンバーの年齢や仕事はさまざまだ。そのようなメンバーが、そのジャンルの釣りが好き、うまくなりたい、そういった気持ち一つでつながっているのが釣りクラブである。

『釣りクラブ』って何? 【活動内容・メリット・ルール・入会方法を解説】
『釣りクラブ』って何? 【活動内容・メリット・ルール・入会方法を解説】
サーフの様子(提供:TSURINEWSライター牧野博)

多少、キャリアの長い人や技量の優れた人には遠慮してしまう部分もあるが、仕事場のような気づかいや忖度は基本的に必要のない世界である。

教えてもらえる

しかし逆の見方もできる。何かのスポーツや芸事を体得した方ならよくわかると思うが、だれかに教えてもらったり、他の人の形を見たりしてトレーニングするというプロセスは絶対に必要だと思う。

私が投げ釣りのクラブに入ってまずマスターしたいと思ったのは、キャスティング。キャスティングというのは、録画しない限り自身のフォームを自分で見ることができないので、こんなときは熟練したクラブのメンバーに見てもらえるというメリットがある。このことは後述したい。

豊富な情報が手に入る

実釣面では例会でさまざまなポイントに行けたり、穴場を教えてもらえたり、クラブ員のなかに釣具店のスタッフの人がいたりする場合には竿やリールの新製品の情報なども早くキャッチすることができるといったメリットもあるなど、そのジャンルの釣りのスキルを体得するときに、釣りクラブの活動は力強い味方になってくれる。

釣りクラブのルール

例会(月ごとの釣り会)はスタートや検量(釣果の測定、例えば大物狙いなら1匹長寸、2匹長寸など、キスの数釣りなら匹数や総重量などを測る)の時間が決められるので、それを守ることが必要である。月例会に参加申し込みをしていたのに、仕事の都合などで急に参加できなくなったということもあると思う。

そんなときは事前に携帯やメールでクラブの会長や副会長の人に連絡すること。ドタキャンは良くない。

役割分担

また、クラブ内でいろいろな役割分担をする。私は事故防止委員という役割で、年一回、同じ地区の他の投げ釣りクラブと合同で行う普通救命講習のときに心肺蘇生法などを実演することもあった。全体をまとめる会長さんや副会長さんはかなり大変だが、クラブ経験の長い人が担当していた。

しかし、実際の釣り以外にこのようにクラブの活動にかかわるいろいろな行事を分け合いながらやる面白さは釣りクラブならではだといえる。

投げ釣りクラブ

今、携帯やスマホ、PCなどのツールが発達しているので、昔に比べ関東と関西の投げ釣りの世界も交流が広がっているが、それでも地域的な差異があって面白い。出典はないが、日本の投げ釣り発祥の地は関東、特に西湘海岸だといわれている。その流れがあり、いまでも関東の投げ釣りはサーフでのキス釣りが主体である。

一方、関西の場合は置き竿でのカレイやチヌ、マダイ狙い、キスでも夜釣りの型狙いがかつて主流だった。また、関西でも特に四国の徳島地区は、長いサーフと黒潮の接岸という好条件に恵まれ、一投多獲のキスの数釣りで古くから名をはせている。こうした投げ釣りの地域差は当然その地区の投げ釣りクラブの釣行内容に反映される。

また、投げのコロダイやハマフエフキなどの大型魚狙いは、関西のキャスターが確立し、関東にもひろまっていった投げのジャンルといえるだろう。

キャスティング技術が向上

回顧録になってしまうが、クラブに入ってから私の釣りがどのように変わったか、少し紹介してみようと思う。

前述したが、私が投げ釣りクラブに入った目的の一つは、キャスティング技術を向上させることだった。投げ釣りと他のジャンルの釣りが大きく異なる点は、実際のポイントまでの距離が何mか、何色かということにかかわらず、仕掛けの投擲、キャスティングが大きな要素をしめているということである。

投げ釣りの世界には、スポーツキャスティングといって、陸上のコートで飛距離を競う競技があり、種目別に道糸とオモリの号数、力糸の有無、投法(置き投法、スイング投法)など、竿とリール以外は細かくレギュレーションが決められている。

私は、関東に住んでいた時に投げ釣りのクラブに入会して、実釣での遠投を先輩方に教えてもらい、転勤・転職で関西に移ってからは実釣と、スポーツキャスティングにも取り組んだ。全国規模の大会に出場した経験もある。これはまさに実力の世界で、上位に入ることはできなかったが、よく飛ばす人のフォームや体の動かし方を見て研究し、自分のキャスティングの練習に取り込む……そんなことに40代前後の時に熱中した。

キャスティングは実釣と違い、力のバランスや体の動作のいい、悪いがストレートに結果に出る(飛距離や方向性など)。なかなか竿を曲げられずに苦しかったこともあったが、それでもストレートに投げることが楽しい、面白いと感じることができ、その取り組みはその後の実釣に大きな力になってくれた。

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実釣に役立つ技術

例えば実釣で120m(約5色)の距離を投げる場合、スポーツキャスティングに取り組んでからは、以前に比べ力まずに楽に投げられるようになった。当然、方向性も良くなるし、疲れにくくなる。

さらに、自身でよりはっきりと実感できたことは、ミスキャストでオモリを飛ばしてしまったり、道糸のガイド絡みや仕掛けを絡ませるといったライントラブルが激減したことである。

『釣りクラブ』って何? 【活動内容・メリット・ルール・入会方法を解説】
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サーフの様子(提供:TSURINEWSライター牧野博)

キャスティングのトラブルを減らすことができると、釣果は確実に安定・向上する。とくにキャスティングが大きな位置をしめている投げ釣りの場合にはそれがいえる。

遠投だけでなく、ニアポイントで秋ギスやハゼを狙う場合も、トラブルの少ない投げ方をマスターしていれば、短時間でも効率よく釣ることができるのである。

いまも投げ釣りを続けているが、40代の時に比べ、飛距離はそんなに低下していない。当時と比べ、竿はさらに細身軽量になり、投げやすくなっていることは確かであるが、クラブでのスポーツキャスティングの取り組みは、キャスティングという投げ釣りの基本的な技術を、確実に私に定着させてくれたと思っている。

投げ釣りクラブ入会方法

投げ釣りクラブに入りたいと思った場合、インターネットや釣り専門紙などの情報をもとに、自分に合ったクラブを探すことができる。そこの連絡先とコンタクトを取って、入部することができる。

ゲスト参加も可能

また、初めて投げ釣りクラブに興味をもった場合、ゲスト参加させてもらうという方法がある。

ある程度の規模で活動しているクラブなら、サイトを持っていて、そこに月例会の様子や連絡先なども記載されている場合が多い。とりあえずそこで連絡を取り、月例会などにゲスト参加させてもらって雰囲気を確かめることが可能だ。また、近くに同じ釣り(例えば投げ釣り)を楽しんでおられる知り合いの方がおられ、その方がどこかのクラブ員だったなら、その方からクラブの会長さんに連絡してもらってゲスト参加させてもらうという方法もある。

釣りの楽しみ方が広がる

釣りというのは気軽に始められて一人でも、複数人数でも楽しむことができるという、他にない特徴を持った趣味である。その中に釣りクラブという楽しみ方が加われば、自身の釣りの世界がより幅広く、深くなる。釣りに入門し、ある程度経験してこだわってみたいジャンルが見えてきたアングラーにとっては、技術が向上し、楽しい釣行が体験できると思う。

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<牧野博/TSURINEWSライター>

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