ここ最近よく耳にするようになったブレードジギング。要はブレードを付けたジグを使ったジギングのことだが、日本海や瀬戸内でよく行われているようだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
ターゲットはサワラ~サゴシ
ブレードジギングでのメインターゲットはサワラ。場所や時期によって若魚であるサゴシがメインになることもある。ご存じの通り、サワラはその鋭い歯でリーダーをスパッと切っていく、ジグ強奪の常習犯。ブレードジギングは、このサワラカッター被害を防ぐために編み出されたともえるメソッドといえる。

ポイント
サワラが狙えるポイントならどこでもできるブレードジギングだが、主に楽しまれているのが日本海側の若狭湾と伊勢湾奥~湾口。京都府の舞鶴湾や福井県の小浜湾は、この時期サワラやサゴシが集結する定番ポイントだが、出船率が低いというデメリットもある。
伊勢湾奥では、大流行したサワラキャスティングの引き出しのひとつとして重宝されている。主にヘビーウエートのシンキングミノーやシンキングペンシルが使われるサワラキャスティングだが、ブレード付きのジグは中層から底層を探るためのメソッドとして用いられているようだ。
いざ実釣へ
さて今回は2月24日に福井県・小浜湾に実釣取材に赴くこととなった。この日は北寄りの風が強めで、沖のポイントは難しいとのこと。小浜湾口のポイントで、終日サワラ狙いになりそうだ。まさに今回のテーマにうってつけの釣行となった。
同行してくれたのは小牧市の原田順司さん、大阪府枚方市の坂根さんの2人。
タックル
昨年からブレードジギングを始めたという原田さんに話を聞くと、タックルはキャストするのでスピニングが基本。リールは巻きスピードが速いXGがお勧めとのこと。この日用意したのはCB‐ONEのSSR633RDSにシマノステラSW4000XG、ラインはよつあみボーンラッシュ1.5号、リーダーはフロロカーボンライン6号を6m。

そう、ブレードジギングに専用タックルはほとんどない。今まで使っていたライトジギングのスピニングタックルの流用で十分なのだ。特に乗合船の場合はキャストするときにアンダースローが必須となる。7ft近いロッドは取り回しが悪くなるので、6ft前後のジギングロッドがベストだ。

ラインは1~1.5号。サワラ、サゴシなら1号で十分だが、ワラサなど良型青物の可能性があるなら1.5号を巻いておくと安心だ。リーダーは6~8号。
ジグ
使用するメタルジグだが、水深によって使い分ける。浅場では40g前後、深ければ80~120gを使う。また浅場でも船が流れるスピードが速ければ、重めのジグを使うなど状況によって使い分ける。できれば小さめのジグを使いたいが、ジグのシルエットが小さければ小さいほど、サワラの歯に当たるリスクも増えることは覚えておきたい。

今回はシャウトのブレードショーテル60~80g、ハヤブサのジャックアイマキマキ40~60g、メガバスのマキッパサワラチューン40gなどを用意した。

メソッドはひたすら速巻き
さて具体的な釣り方だが、極めてシンプルだ。キャスト→着底確認→思い切り速巻き。これだけだ。場合によっては中層まで速巻きした後、再度ボトムまで落としてから速巻きしてもいい。

速巻きスピードだが、とにかく力の限り速く巻くことが基本。舞鶴の某船長などは「リールから煙が出るほど速く巻け」と言うほどだ。速く巻けば巻くほど、カッター被害に遭う確率も下がる。
ただし活性が低い日などは、ややスピードを落としたミディアムスピードが有効になる場合もある。反応はあるのにヒットがない場合は、いろいろな巻きスピードを試してみよう。
開始早々サゴシ乱舞
さて釣行当日、ポイントは小浜の湾口エリア。まだ残る北寄りの風の影響で、沖からは大きなウネリが押し寄せてくる。「水深30m。どうぞ」の船長の声で原田さんはトモからジグをフルキャスト。坂根さんは胴の間から、ベイトタックルでジグを真下に落とす。
船はドテラ流しで、強風でかなりのスピードで流されるため、ラインは自然に前に払い出される。船が速く流れる場合は、無理にキャストする必要はないのだ。

ジグの着底後、ひたすら速巻きする2人。と、1投目から原田さんのロッドが曲がった。あっさり抜き上げたのは、50cmちょっとのサゴシ。続けて坂根さんにもヒットしたが、抜き上げ時にポロリ。

だがその後は2人とも絶好調。次々にサゴシを抜き上げていく。中には60cmを少し超えるぐらいのサゴラと呼ばれるサゴシ大?サワラ小?といったサイズも交じる。

魚探の反応はモリモリで、ボトムから中層までびっしり群れが映し出されている。反応が途切れてヒットがなくなったら再度潮上りして、流し直すとヒットが復活。原田さんはサゴシサイズはリリース、サゴラのみを血抜きしてクーラーに収めていく。
ドラグは緩めの設定
ここで原田さんにブレードジギングの注意点について聞いてみると、真っ先にドラグ設定を挙げてくれた。ドラグはヒットした瞬間、ジリッと鳴くぐらいの設定が理想だそうだ。かなり速巻きしているため、ドラグが固いままだとヒットした瞬間に口切れしてしまうこともあるためだ。

やり取りしているときも、常にドラグがジリジリ滑るぐらいに設定している。

またジグにフロントフックは付けない。テールにトリプルフックかシングルフック1本のセッティングが基本。そのためフッキングミスやファイト中のバラシ、抜き上げ時のポロリも多い。原田さんのお勧めはシングルフック1本。しっかり掛かれば、バレにくいとのことだ。
終盤にはサワラも登場
それでもバラシは多発するが、気にならないほどヒットが続く。ここで船長が「波がマシになったからもうちょい沖に出てみようか」と言う。大島半島の少し先まで船を走らせ、再び湾口に向けて流し始める。水深は20~30mだが、湾内に入っていくにつれどんどん浅くなっていく。

ここで坂根さんに良型がヒット。水面に姿を見せたのは、明らかなサワラサイズだ。

サゴシの中からサワラを選んで釣るのはまず無理だが、強いていえば速く巻けば巻くほど良型の確率が上がるような気がする…と原田さん。どれだけ速く巻けるかがキモになる場面も十分にありそうだ。
可能性は無限大
結局2人でサゴシ、サゴラ、サワラ合わせて50匹以上、リリース多数という結果となった。ちなみにロストしたジグは坂根さんの1個だけ。速巻きのブレードジギングが、いかにカッター防止に有効かよく分かった釣行だった。
また終盤波が落ち着いたタイミングで、根周りを攻めて原田さんがヒラマサをキャッチ。ブレードジギングはサワラだけでなく、青物にも効くようだ。青物を狙う場合、時折ストップを入れてやるのが有効だ。

またマダイやシーバス、根魚にも効くという話もあり、ブレードジギングの可能性はこれからまだまだ広がりそうだ。
今回は水深30mまでの浅場がメインだったが、50mより深い場所が舞台になることもある。そんなときは100gより重いジグが必要になる。市販されているジグは重くても80gまでなので、通常使っているジグにブレードを付けてもいい。ブレードは丸型と楕円型があるが、今のところどちらがいいとも言えない。

ブレード単体では販売されているので、通常のジグをチューンナップしてもいいだろう。
オフショアジギングの新たなカテゴリーとして確立しつつあるブレードジギング、ぜひ一度試してみてほしい。
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<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
▼この釣り船についてあみや渡船
出船場所:おおい町大島
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年3月8日号に掲載された記事を再編集したものになります。