屋外で魚を調理するとき、もし手頃な竹林があれば「青竹」を利用することを考えてもいいかもしれません。
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青竹は器にも調理器具にもなる
日本の風景のいち要素として無視できないのが竹林。孟宗竹や真竹などの大型の竹類が風に揺れているのは爽やかで心地よい景色です。

竹は成長が早く、繊維が縦に真っすぐ伸びるという特徴があります。そのため加工しやすいことから古くから様々な道具に使われてきました。例えばキャンプなどで、竹を輪切りにしただけの簡易的なコップで飲み物を飲んだことがあるという人は少なくないのではないでしょうか。節の外側で切り、半分に割れば立派なお皿にもなります。
そして更に、青竹は水分が多いことから熱伝導率が低く、直火にかけても燃えないという特徴もあります。そのため内部に食材を入れて火にくべることで、鍋や蒸し器のように用いることもできます。
魚の「青竹焼き」とは
この「調理器具としての竹」を利用して作られる料理があります。最も代表的なものが、中華の「青竹焼き」です。

青竹をある程度の長さで切り、端の節だけ残して残りの節を全部抜きます。そうして「底のある筒」になった青竹の中に食材と調味料を入れ、丸ごと火にくべるのです。
この方法で特によく調理されるのが、竹筒に入りやすい細長い形状をした魚。青竹の熱伝導率の低さによってじっくりと加熱され、ふっくらと蒸し上がるのです。
コイでやってみた
先日、茨城に住む知人から誘いを受け、この「魚の青竹焼き」に挑戦してみました。
使う魚は、現地では古くから食用とされてきたコイ。用水路にいたものをタモ網ですくい、特に泥抜きなどはしません。鱗と内臓を取り、塩をあてて陰干しし、少し水分を抜いてから竹筒に入れて火にかけます。

1時間ほど加熱したら、竹を割って完成。泥臭さなどが懸念されましたが、竹の爽やかな風味にカバーされて全く気になりません。
ふっくらと蒸し上がったコイは柔らかくてみずみずしく、臭みはないのはもちろん、竹から出るほんのり甘いエキスが絡んでとても美味。塩味しかつけていないとは思えないほど複雑な風味で、青竹焼きという調理法の奥深さを思い知らされた気分でした。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>