近年異常な暑さが続いている日本列島。今年も7月から8月にかけて、例に漏れることなく強烈な暑さが続く中、避暑地として名高い奈良県・天川村へと釣行した。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・荻野祐樹)
入渓前にまさかのトラブル
奈良県天川村は、天川村漁協さんの企業努力により、国内でも屈指の放流量を誇っている。今回も釣果はカタイだろうと考えていたのだが、予定していなかったトラブルからの幕開けとなった。
今年の春は爆釣
著者は今年の3月27日にも同所を訪れており、その際も悪天候で早上がりする事になったものの、好釣果に恵まれた。
やはり稚魚放流量3トン越え、成魚放流量3トン越えという、年間6トンを超える圧倒的な放流量はダテではなく、魚影の濃さは紛れもない本物。
今回の釣行日は7月31日(木曜日)とまさに「夏の盛り」で、直近は雨もほとんど降っていない。通常であれば厳しい状況となるわけだが、それでも「天川村なら良いアマゴ達に出会えるはずだ」と早朝から張り切って釣行した。
日券が買えない!?
早朝5時に現地に到着した著者は、早速遊漁券(日券)を購入しようと、平日早朝でも唯一遊漁券が変える福西豆腐店さん(水曜定休)に向かったのだが……木曜にもかかわらず、なんとまさかの「定休日」の札を発見!いくら早朝から券が買えるとはいえ、訪れた時間が少々早すぎたようだ。
どうしようか車中で悩んでいると、ほどなくして店主さんが登場。無事遊漁券とミミズ・ブドウムシを購入できた。

どうなることかと思ったが、これで安心して釣りを楽しむことが出来るので、意気揚々と車へと乗り込んだ。
実績のある洞川へ
まずは確実に釣果を得たいという事で、過去に何度も訪れており、ある程度地形を把握できている洞川へと向かった。
前回の実績場から
入渓場所を決める為に川を見て回ったが、時間が早かったこともあり、先行者は皆無だ。選び放題なのでどこから入渓するか少々悩んだが、3月釣行の際に良型が釣れた場所を攻めたいと考え、トンネルを抜けてからしばし走った林道脇に駐車し、斜面を降りて入渓する事にした。

地形が変わっている!
4カ月ぶりに訪れる場所だが、土砂崩れがあったのか、入渓場所にあるはずの巨大な淵は砂利や大きな岩で埋まっており、姿を消していた。

当初の目論見である「淵でボーズ逃れを」が潰えた瞬間だ。これは少々ショックではあったが、きっと他の場所にいるはずだと思い、ヨレや瀬、落ち込みなど、アマゴが定位しているであろう場所に丹念に仕掛けを流していくが……どういう訳か全く釣れない。予想外の展開に、少々焦ってしまう。
凄まじい数の足跡
よくよく考えると、前日に天川村漁協さんのHPを確認した際、「7月30日の釣果」として洞川での二桁釣果がアップされていた。もしかしたらこの場所は前日までにガッツリ攻められた後なのかもしれないのだ。
それを証明するかのように、足元にはおびただしい数のアングラーと思しき足跡があった。こうなるとやはり厳しく、結局このエリアでは小さなアマゴ2匹で終わってしまった。

天川村の本領発揮!
「もしかしたら今日は貧果」で終わるのではないかと焦りを感じ始めた著者。続いてやってきた場所は幸い釣り荒れていなかったのか、徐々にアタリが増え始めた。
流れ込みにいた!
少しだけ高巻きをして訪れた次のエリアは、少々足跡が少ない。これならそこまで荒れていないのではないかと、期待しながら仕掛けを打っていく。
あちこちにクモの巣があり、仕掛けに絡んできて厄介ではあったが、これは前日にアングラーが入っていない証拠とも言える。そんな中、こんな感じの流れ込みがぶつかる場所を発見した。

白泡の向こう側へと投入し、そこから岩と岩の間を丁寧に通してみると、目印を引っ手繰る強烈なアタリ!見事20cmのキープサイズがヒットしてくれた。

魚影が増え始める
最初に入った区画はハヤやカワムツの魚影が大半だったが、この区画からはアユや小型のアマゴがチラホラ見え始めた。それに準じるようにアマゴと思しきアタリも徐々に増え始め、小ぶりながらも5匹程アマゴを追加することが出来た。
良型ニジマス登場!
続いてやってきたのは、過去に良型が出た大岩横の小さな流れ込み。こちらの姿が見えないように川下に立ち、目線よりやや高い位置にある流れ込みへと投入すると、巻き返しに差し掛かった瞬間に目印を大きく引き込むアタリ!
アワセを入れると、明らかにアマゴとは違うパワフルな引き味だ。落ち込みを一段落としてから手前に引き寄せてタモでキャッチしたのは、25cmの太ったニジマス。

以前天川村漁協さんに直接問い合わせた際、洞川の一部保護(禁漁)区画・本流のC&R区間を除く場所で、渓流釣りシーズン中に釣れたニジマスは持ち帰ってOKと教えて頂いたので、今回は土産として持ち帰ることにした。その後もしばし釣り上がったが、思うような反応が無かったので移動することとした。
洞川に戻り良型手中
ここまでである程度の釣果を得たので、やはり求めるのはさらなる良型だ。という事で、洞川を離れて本流へ向かったのだが……やはりそこは避暑地として名高い天川村だった。
あらゆる場所に車
釣りが出来そうな場所を探して、本流沿いを走りながら九尾ダム下へと向かったのだが、川には数多くの観光客、そして道路脇には車だらけ。
さらに、「少々川に降りるのはコツがいりそうだ」という区画まで来ると、今度は数多くのアユ釣り師、アマゴ釣り師が一定のスペースで入渓しており、入る場所が全く無い。結局片道20km以上を走ったにもかかわらず、徒労に終わってしまった。
洞川へとUターン
入る場所がありそうなのはやはり元居た洞川か、源流部か……というレベル。という事で仕方なく来た道をそのまま戻り、再度洞川へ。橋を抜けてすぐの場所から再入渓し、少し釣り下ってみたのだが、川で泳ぐ人があちこちにいたので断念。こればかりは仕方がない……。
斜面を下った先に良型が!
観光客が入らなそうな場所を求めてしばし上流へと車を走らせると、洞川は意外なことにアングラーと思しき車が殆ど無い。これならなんとかなりそうなので、降りられそうな場所を探していると、険しいもののなんとかなりそうな斜面を発見した。
安全面に留意しながら丁寧に降りてみると……なんとここにもアングラーの入渓後が。やはり考える事はみな同じのようだ。それでも雰囲気が大変良かったので、落ち込みやヨレを巻き返しから丁寧に攻めると、まずはよく太った23.5cmが顔を出してくれた。

さらに、畳2畳ほどの落ち込みを発見したので、流れの脇に仕掛けを投入。白泡のラインに沿って流しながら底流れへと仕掛けを入れると、目印をグンと引き込むアタリが出て、やや痩せているものの22cmの良型がヒット!
苦労して降りたかいがあるという物だ。やはり溶存酸素量が多い場所には良型が潜んでいるように思う。

その後もパラパラと追加することが出来たのだが、昼を過ぎると(避暑地とはいえ)すさまじい暑さ。強烈な日差しにも耐えかねて、13時過ぎに納竿とした。
最終釣果
最終釣果は23.5cmまでのアマゴが15匹、ニジマスが2匹。渇水を考えると上出来かもしれない。持ち帰ったアマゴは家族で楽しむ5匹とし、その日のうちにBBQで頂いた。

今後の展望
夏になってから雨が殆ど降っていない影響もあり、洞川は15~20cm近い渇水となっていたが、それでも二桁の釣果を得ることが出来たように、天川村の魚影はすこぶる濃い。
今年はクマの出没が各地で報告されている他、夏場はゲリラ豪雨による急な増水もあり得るので、くれぐれも安全第一で楽しんでいただきたい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>
