地球温暖化の影響は身近な河川にも及び、少なからず釣りの対象魚の命さえも脅かしている。では、いったいどのようなことが起きているのかを具体的に紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)
養老川で大量の魚の死骸
はもはや身近な問題だ。8月下旬の関東地方も40℃近い最高気温を記録することとなった。おまけにまとまった雨はここ何週間もごぶさただ。この影響からか、地上では米や野菜が不作となり、海ではサンゴが死滅し、北海道ではホッケやハタハタの変わりにブリが豊漁となっている。

8月下旬、もうすぐ9月になるというのに関東では今だ熱中症アラートが出るくらいの危険な暑さが続いている。本格的な雨雲を見たのはいつなのか忘れるくらいの快晴続きだ。そんな中、筆者の地元の養老川へシーバスフィッシングに出かけたが、釣り場に着くと魚の腐敗臭がかなりした。見ると足元で数匹の魚がコンクリート護岸の上で焼かれて白骨化し、これが臭っているようだ。

さらに、潮が上げて来ると下流から大量の魚の死骸が流れて岸に打ち上げられていた。主にクロダイだが、中にはシーバスやフナなども複数確認できた。今までも魚の死骸が流れてくることは珍しくなかったが、これほど大量なのは初めて見た。おそらく酸欠だと思うが、それにしてはボラやサッパ、コノシロなどに影響がないのはなぜだろうと思ってしまう。やはりいつもとは違う川の「異変」を感じる現象だ。
水温が30℃超え
そこで気になるこの日の水温を計ってみた。あくまで表層付近だが、なんと31℃もある。元々冬でも水温の高い養老川だが、軽く30℃を超えるくらい温かい。確かに水を触るとお湯のようだ。

さすがに、海に近い大きな川なので中流域でも通報レベルの魚が死滅することはない。それでもこの水温が川の魚に何らかの影響を与えていることは間違いない。そしてその一番の原因に考えられているのが、雨が降らなすぎるということだ。

雨が降らない日々
この季節の雨はとても重要で、温かくなり過ぎた水温をちょうど良く下げて水中の酸素量を増やしてくれる「恵みの雨」となる。しかし、これほど雨が降らないと直射日光がモロに届く浅場や、水があまり動かない湾奥河川の上流部などはたまったものではない。少ない降水量と30℃を超す水温が続くと魚はその影響をモロに受けてしまうからだ。例えばシーバスの最適な水温は14~18℃と言われているが、それをはるかに超える今の水温では元気がないのうなずける。

さらに、一度釣られて弱ってしまった魚などもそれに当たる。シーバスフィッシングではおなじみのゲストであるボラなどは、汚染に強くても陸地ではとにかく弱りやすい。

9月に入っても天気予報は快晴続きで気温も秋とは思えない数字が並んでいる。つまり、相変わらず「暑い」ということだ。こうなると魚も人間も弱りやすいが、爆釣前線からの秋雨を待ちたいものだ。
<宮坂剛志/TSURINEWSライター>