4月3日、東京都内のNHKで土曜ドラマ「パーセント」のマスコミ向け試写会と取材会が行われ、出演者の伊藤万理華と和合由依が取材に応じた。

 土曜ドラマ「パーセント」は、多様性実現を掲げるテレビ局を舞台に、新しい時代のドラマ作りを目指す新人女性プロデューサー・吉澤未来(伊藤)と俳優を目指す車いすの高校生・宮島ハル(和合)の奮闘を描く物語。

 第1回の試写会後に会見に応じた伊藤は、和合のほかにも障がい者の俳優が多数出演する本作について、プロデューサー直筆の手紙と共に出演依頼を受けたものの、最初は「どういう気持ちで挑もうかと、心の構えがあった」と打ち明けた。だが、実際に和合たちと顔を合わせたことで、「人といい作品を作るというただそれだけの誠実な気持ちでやればいいんだ」という思いに至ったとのこと。さらに、「このドラマをやる前と後では、生き方が大きく変わった」と語った。

 一方の和合は、東京パラリンピック開会式で「片翼の小さな飛行機」という大役を演じ、大舞台は経験済み。だが、これがドラマ初出演ということで、せりふのある役を演じるのは初めてだったらしく、「プロの役者さんたちに自分がついていける演技ができるのか、不安だった」と撮影前の心境を振り返った。

 そんな本人の思いとは裏腹に、伊藤は初対面から物おじせずに話しかけてきた和合の姿や伸び伸びとした演技に大いに刺激を受けたらしく、「自分が初めてお芝居に触れた時、映像現場でときめいたときの感覚を、由依ちゃんを見て思い出した」という。

 その言葉に「うれしすぎる」と喜びを爆発させた和合も、「初めてのドラマの現場でたくさん話しかけてくださって、うれしかった」と伊藤の印象を語り、撮影については「やりたいことを全部、精いっぱいできたので、すごくよかった」と満足そうに振り返り、笑顔を見せた。

 また、健常者と障がい者が一緒にドラマを作り上げていく姿を描いた本作では、障がい者と健常者の壁が大きなテーマになっている。この点についての考えを尋ねられると、「数年前から男性役や中性的な役のオファーを受ける機会が増え、マイノリティーについて考えるようになった」という伊藤は、「『障がい者と健常者の間の壁』よりも意識していたこと」として、次のように語った。

 「この人だから一緒にやってほしいんだという、数合わせやカテゴライズの中の1人ではなく、その人にしかない魅力があるからということで、これから先も対話できたら」。さらに、「今まで感じていたことをこの作品で消化できた気がして、改めて勉強にもなった」と続けた。

 一方、「私が生きてきた15年間で、障がい者と健常者を分けるような考え方が身近になかった」という和合は、ハルと同じように特別支援学校には入らず、健常者と一緒に中学校生活を送ってきたらしく、劇中での描き方に「違和感はなかった」という。

 会見の最後、撮影の裏話として、劇中で冒頭から未来が熱中するUFOキャッチャーについて伊藤は、「(同席した)プロデューサーの南野(彩子)さんの趣味」と打ち明け、撮影前に南野プロデューサーから指導を受け、「由依ちゃんの好きなキャラクターのぬいぐるみを取って、プレゼントした」と、和合とのコミュニケーションにも役立ったことを告白。UFOキャッチャーの奥深さを学んだらしく、「今後もUFOキャッチャーのシーンがあるので、注目して下さい」とアピールした。

土曜ドラマ「パーセント」は、5月11日(土)放送開始(全4回)

総合 午後10時

BSP4K 午前9時25分

再放送 総合 翌週水曜日 午前0時35分