【さらに写真を見る】PRIZMAX・ワンマンライブの様子
ミャンマー出身で海外でも活躍する俳優・森崎ウィンをボーカルに擁する超国際派7人組ダンスボーカルユニット・PRIZMAXが、12月29日にワンマンライブ『PRIZMAX Live Level 9~CIRCUS WINTER EDITION~』を豊洲PITにて開催した。この日は年内でグループ脱退&芸能界引退する福本有希のラストステージということもあり、昼夜2公演で合計なんと37曲を披露する濃密なステージを展開。
ダンサブルなオーバーチュアから連なるように森崎の澄んだ声が朗々と響き渡り、ステージの中央に立つ彼の上下左右で島田翼、福本、清水大樹、小川史記と4人のパフォーマーに次々とスポットが。彼らの気合いの入ったソロダンスが続いた先に照明があがり、色鮮やかなコーラスを添えるケビンと森英寿が姿を現すという「Light The Night」で、この日のステージはドラマティックに幕開けた。今のPRIZMAXが持つ強さを目と耳で体感させるナンバーを皮切りに、「Come on,Put Your Hands up!」という森崎の号令からは、一糸乱れぬタフなシンクロダンスで「DADADADADADA」を。さらに「ホリック、もっとイケんだろ!」「かかってこい!」とフロアを煽り立てて、福本がアクロバティックな動きで魅せる「Are you ready?」と、躍動感あふれるパフォーマンスでペンライトを掲げるホリックの目と心を奪ってゆく。



MCではリーダーの清水が「今日はこの7人で責任を持って“今年楽しかった!”と思わせられるライブを創っていくから!」と1部で約束し、2部では「みなさん、瞬きを限りなく少なく、最後まで見てくれたらと思います」と念押し。そして自他共にPRIZMAXの“王子”と認める福本が、最後となる自己紹介で「俺の可愛い可愛い豊洲PITのハニーたち! 今日ここにいるダーリンと何しに来たんだっけ?」とホリックたちに問えば、凄まじい勢いと音量で「デート!」と返る。それを真似て森崎が「ハニーたち!」と呼びかけると、今年3月に現メンバーとなっての第一作目「DANCE」をドロップ。フロアに向かって大きく腕を突き出すゾンビダンス等、7人体制となって威力を増したダイナミックなパフォーマンス力には、ただただ圧倒されるばかりだ。
しかし、私服テイストのラフな衣装に着替えてからはムード一変。ポップな「カフェオレ」では森がマジックで出した花を奪われて失恋したり、アンニュイな「Angel」では失った愛への未練を漂わせたりと、架空のPRIZMAX CAFEで繰り広げられる7人7様の恋模様を、女性ダンサーも交えてストーリー性豊かに描き出してゆく。ここで驚かされたのが、今年3月に加入した新メンバー3人の活躍ぶり。





一連の恋物語の結末を示唆するかのように「I hate you」が狂おしいほどの激情を映したパフォーマンスで贈られると、島田のプロデュース曲「rewind」を路上で7人が歌い踊る映像を挟んでは、PRIZMAXの持ち味である大人びた色気の光るナンバーを次々に投下。華やかなスーツ衣装に着替えて、ステージ上段から森崎の歌声が降り注ぐ「yours」を切なく、「WHO」をラテンのリズムでパッショネイトに届け、マイクスタンドを前に踊る「Truth」ではホリックたちと大きく左右に手を振って想いを通じ合わせてゆく。また、二部ではケビンがボーカルを牽引する「Sweet Goodbye」も新鮮だったが、何より驚かせたのが事務所の後輩グループ楽曲のカバー。昼公演ではM!LKの「コーヒーが飲めません」を清水&小川のラップも交えつつ、彼らならではのオシャレでソウルフルなアレンジにより、タイトルとは真逆のビターな魅力を全開に。夜公演ではSUPER★DRAGONの「Don’t Let Me Down」を完全ジャズアレンジで披露して、ホリックたちの大歓声を呼んだ。

さらに後半戦では、PRIZMAXのハイクオリティかつバラエティ豊かなパフォーマンス力が色濃く発揮されて、センターステージに置かれたベッドを中心に、女性ダンサーとハード&セクシーなダンスを繰り広げた「BAD LOVE」では場内から悲鳴が。反面、二階の窓辺で森崎とケビンが歌いステージで清水がラップする「I want your love」に、ケビンと森が歌いながら寝転ぶベッドにルームウェア姿の島田と小川が雪崩れ込む「GO!」など、ハッピー&キュートな空気感でホリックを沸かせる場面もあった。


そしてモニターに前回のワンマンから今日にいたるまでの舞台裏映像が流れ、“all you need is love”と映し出された文字から披露されたのは、12月18日に発売されたばかりの最新シングル「愛をクダサイ」。全員が白の衣装を身にまとって森崎からケビン、森と歌い繋ぐセンチメンタルなメロディラインに清水の“前”を見据えたラップと、艶のある歌心をフィーチャーしたナンバーは、柔らかな動きの中にも想いの籠ったダンスと相まって、長年で培ってきたPRIZMAXらしさを感じさせてくれる。また、出会いと別れを想起させるリリックが今の彼らの状況ともマッチして、想いとパフォーマンスのシンクロ率をグッと高めていたのも特筆すべき点。そして「最後ホリックの底力見せてもらっていいかな!?」という清水の煽りから、人気曲「Mysterious Eyes」がダンサブルに投下されると、フロアのペンライトも勢いよく振られて、メンバーと共にクラップを弾けさせる。「ホリック、ラスト1曲ついてこれますか!?」という森崎の煽りから、もう一つの最新シングル表題曲「Beginning」をドロップ。ライトで赤く染まるステージの上、歌、ラップ、ダンスが混然一体となって襲いくるド迫力のナンバーは、まるでPRIZMAXの未来をこじ開けるような力に満ちていた。

しかし、これで最後になるのをホリックたちが許すわけがない。
「ハニーたち、楽しかったですか? 幸せですか? 15年間芸能界やってきて、2013年からPRIZMAXをやってきて。メンバー、スタッフ、何よりハニーたちと会えたことが本当に幸せです。芸能界はやめますけどハニーたちのダーリンはやめないので、夢の中に出たらイチャイチャしてくれますか? 泣くのは今日だけでいいですか?」
福本らしい挨拶で会場の哀しみを振り払おうとすると、「有希さん、本当にお疲れさまでした」と伝えた清水も「悲しいこと寂しいことではあるけど、これをネガティブではなく、それぞれプラスに持っていける人間になって、2020年を迎えられたらなと思ってます」と前向きに宣言。そして「次の曲はケビンが作曲し、(福本)有希が作詞して、振り付けはフミ(小川)と僕も少し手伝ったかな。で、VTRを作ってくれたのが森と(島田)翼。歌のディレクションは(森崎)ウィンっていう、7人全員で作り上げた楽曲です」と、未発表曲の「絆」をライブ初披露した。レコーディングやリハーサル、撮影等のオフショット映像が流れ、ピアノがリードするバラード曲をケビン、森、森崎と想いを込めて歌い繋ぎ、その前で4人のパフォ−マーがゆったりと踊る様は、ダンスというよりも“祈り”のよう。“7つの奇跡”“仲間がいるからこそ進める”というリリックが胸に刺さり、二部では“出会ってくれて本当にありがとう”というフレーズに至って、遂に森崎は涙に声を詰まらせてしまう。それは福本本人だけでなく他メンバーも同様で、曲が終わると皆、涙に濡れた顔で福本にハグ。だが、涙の中で終わっては前を向くことはできない。



「最後、みんなで一つになれるこの曲やっていい?」と森崎が問うて、ラストソングに贈られたのは「Three Things」。7人で一列になったりと、フォーメーションから楽しさをかき立てるナンバーに森崎は泣き笑い顔になって、大声で「ゆーちゃん、お疲れ!」と言い放った。最後は一列に並び、繋いだ手をあげて「本日はありがとうございました!」とマイクレスで叫んで一礼した7人の顔に浮かんでいたのは、明日を見据える清々しい希望の光。PRIZMAXと福本有希の未来が、さらなる輝きに包まれることを願ってやまない。

文:清水素子
最新リリース情報
シングル「愛をクダサイ/Beginning」
2019年12月18日(水)発売
【通常盤】
品番:ZXRC-1224
価格:¥1,100(税込)
仕様:CD ONLY / プレイパス対応
収録:M1.愛をクダサイ / M2.Beginning