上位6チームが2022年北京五輪の出場枠を獲得できる、カーリング女子世界選手権がカナダ・カルガリーで開催された。日本代表として出場した北海道銀行フォルティウスは、ラウンドロビン(総当たり予選)の13試合を戦って5勝8敗の11位。

今大会での五輪出場枠の獲得はならなかった。

 北海道銀行は初戦のデンマーク戦こそ快勝し白星で発進したが、そこからスコットランド、中国相手に連敗し、4戦目のチェコ戦で勝利するも、続くスイス戦に敗れて黒星が先行した。さらにその後、ロシア、アメリカ、ドイツ、韓国といった、技術的には互角であろう相手にいずれも1点差の惜敗。中盤の4連敗が痛かった。

北海道銀行はなぜ世界で勝てなかったのか。ロコ・ソラーレとの「...の画像はこちら >>

カーリング女子世界選手権に挑んだ北海道銀行。スキップの吉村紗也香は自身の決定力も課題のひとつに挙げた

「勝ちきれない試合が多かった」と振り返ったのは、リードの船山弓枝だ。
その原因のひとつに、「ミスの大きさ」が挙げられる。

 刻一刻とコンディションが変わる氷の上で、クセのある石を数センチ単位でコントロールしなければいけないカーリングは、ミスがつきもの。だからこそ、そのミスを致命的なものにしないで最小限にとどめるための、戦略的な備えとチームとしての瞬時の判断が求められる。

 例えば、ハウス内を狙ってドローショットを放つ場合、相手のガードストーンにつかまりそうな状況であれば、投げた石と当たりそうな石を効果的に残すようなプランもチーム内で共有。そのうえで、投げた石の状況を見ながら、当初の狙いどおりいくか、後者のプランに変えるか、適切かつ素早い判断をくださなければいけない。

 その他にもあらゆる場面で、自軍が投じた石が相手の有利な形に作用しそうになったら、スイープの強弱などによって、AプランからBプランへと移行する必要がある。

 ところが、北海道銀行は敗戦した多くの試合で、そうしたAプランからBプランへの変更が遅れたショットが目立った。あるいは、Bプランを十分に用意できていなかった場面もあったかもしれない。

 その結果、相手の次のショットの難易度を下げたり、相手のビッグエンドを生み出すきっかけを作ったりしてしまった。妙な日本語ではあるが、北海道銀行には"ミスの質の向上"が課題として挙げられる。

 とはいえ、逆に言えばエンドコントロールとリスク管理さえできれば、北海道銀行の上位進出の可能性は十分にあった。

「世界との差はあったけれど、手応えも感じている。

自分たちなら絶対にできる、という自信もある」

 そんな、サードの小野寺佳歩の言葉も決して強がりではないだろう。

 実際、ラウンドロビンにおける北海道銀行のショット成功率は、出場14チーム中5位。ラウンドロビンのベストゲームとも言える強豪カナダとの対戦では、先攻で得点を奪うスチールを決め、相手に1点を取らせる"フォース"も記録した。さらに後攻では、複数得点を2エンドで生み出すなど、チームとしての潜在能力の高さを示した。

 それだけに、目標としていた6チームによるクオリファイ(プレーオフ進出)を果たせず、五輪の出場枠を獲得できなかったことは残念でならない。日本が五輪の出場枠を得られるかどうかは、12月開催予定の最終予選に持ち越されることになった。

「目標としてきたところに遠く及ばず、悔しい気持ちでいっぱいですが、この成績が、チームとしてこの大会に向けて準備してきた結果。そのことをしっかりと受け止めて、9月に向けてイチからがんばっていきたい」

 そう語ったのは、セカンドの近江谷杏菜。彼女が口にした「9月」というのは、9月10日から北海道稚内市で行なわれる、ロコ・ソラーレとの日本代表決定戦のことだ。

 再び世界へ、そして五輪に挑むためには、そこで勝利し、再度日本代表にならなければならない。

 運命の"稚内決戦"まで4カ月。来季のこととはいえ、残された時間はそれほど多くない。

この夏の過ごし方で、明暗が分かれるだろう

 4年がかりの五輪レースも、いよいよクライマックスを迎える。