2023年クラシック候補たち
第10回:タスティエーラ

 クラシック本番を目前にして、いまだ混戦模様の3歳牡馬戦線。そんななか、GI皐月賞(中山・芝2000m)のトライアル戦、GII弥生賞(3月5日/中山・芝2000m)を制して有力候補に躍り出た素質馬がいる。

 美浦トレセンの堀宣行厩舎に所属するタスティエーラ(牡3歳/父サトノクラウン)である。

弥生賞を快勝したタスティエーラ「どんな競馬もできる」と陣営は...の画像はこちら >>

クラシックの有力候補に挙げられる素質馬タスティエーラ

 同馬は、昨秋の2歳新馬(11月27日/東京・芝1800m)でデビュー。断然の1番人気に推されると、いきなり衝撃的な走りを見せた。

 スタートから押していって2番手につけ、道中はリズムよく追走。直線に入って先頭に並びかけ、坂下で世界的な名手であるライアン・ムーア騎手が気合いを入れると、一気に秘めた末脚を炸裂させた。結局、33秒5の上がりをマークして後続を突き放し、3馬身半差をつけての圧勝劇を演じた。

 その強さから、2戦目には「クラシックの登竜門」とされるGIII共同通信杯(2月12日/東京・芝1800m)に果敢に挑んだ。ここでも好スタートから好位5番手でレースを進め、直線は外から脚を伸ばした。だが、さすがに好メンバーぞろいとあって、先に抜けだした面々を捕えきれず4着に終わった。

 それでも、改めて素質の高さを示したのが、3戦目の弥生賞。ここでも好位3~4番手でレースを運んで3コーナー過ぎから徐々に進出。直線、坂下で先頭に立つと、最後は2着以下に1馬身差をつけてトップでゴール板を通過した。

 こうしてクラシックへの切符を手にしたタスティエーラ。陣営は早くからこの馬の能力を買っていたという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「タスティエーラは、デビュー前から同厩舎が管理していたGⅠ馬サリオスや、他の準オープン馬など格上馬と一緒に追い切りを敢行。にもかかわらず、『動きはヒケを取らなかった』とスタッフは目を細めていました。

 実はこの馬、DDSPというノド鳴りの症状があるのですが、その点についても陣営はまったく心配しておらず、『現状ではレースに影響していない』と強気な姿勢を見せていました」

 また、陣営はタスティエーラのレースぶりについても、全幅の信頼を置いているという。

トラックマンが続ける。

「厩舎スタッフは、『折り合いに問題なく、どんな競馬もできる』ときっぱり。スッと反応して加速するタイプで、『中山競馬場のような小回りコースは合っている』とも話していました。普段は多少神経質な面があるようなので、『その点を十分ケアしながら、本番に向かいたい』とのことです」

 次は、いよいよ本番の皐月賞(4月16日)に向かうタスティエーラ。確かな能力と優秀なレースぶりを武器にして、クラシックでも戴冠を果たすことができるのか、注目である。