箱根駅伝2025
全チーム紹介 後編
(全チーム紹介 前編:総合優勝をつかみ取るのは?「3強」など有力6大学の戦力をチェック>>)
【シード校のなかで、上位を狙えそうな大学も】
前編では総合優勝争いを繰り広げそうな大学を紹介したが、後編はシード権争い、「下剋上」が期待できそうなチームなど、残りの大学を紹介する。
東洋大は昨季、全日本14位から箱根4位に急上昇。今季も出雲11位、全日本13位と苦戦したが、箱根の目標を「4位以内」とした。
順当なら今回も2区は梅崎、3区は小林、9区は吉田で、岸本は往路に入る可能性もあるようだ。5区は松井海斗と宮崎優の"1年生コンビ"が希望しており、ルーキーを抜擢する可能性も十分。元5000m高校記録保持者の石田洸介(4年)が快走すれば、20年連続シードに手が届くだろう。
法政大は前回6位に入り、3大会連続のシード権を獲得した。全日本大学駅伝には3年連続で出場できなかったが、今季は出雲駅伝で9位。得意な箱根駅伝では、「トップファイブ」を目指している。
今季は大島史也(3年)が5000m(13 分 35 秒 33)と10000m( 28 分 10 秒 01)で法大記録を塗り替えるなどエースに成長。山区間もしっかり準備ができているようで、前回6区で区間賞に輝いた武田和馬(4年)を往路にまわすことができるという。今回も意外性のあるレースを見せてくれそうだ。
前回9位の帝京大は、過去最高となる「総合3位」を目標に掲げている。前回は5区が区間20位に沈みながら、往路12位から総合9位まで浮上した。今季は出雲と全日本で8位に入るなど、安定感のある戦いを見せている。
前回2区で16位に終わった山中博生(4年)が全日本2区で4位に入るなど力をつけており、"花の2区"で好走の期待が高い。ほかにも前回9区・3位の小林大晟(4年)、同3区・9位の柴戸遼太(3年)、同8区・8位の島田晃希(3年)らが主要区間を担いそうだ。5区をうまく乗りきることができれば、面白い戦いができるだろう。
【激しいシード権争いを演じそうなのは?】
前回10位に入り、9年ぶりのシード権を獲得したのが大東文化大だ。今季は出雲10位、全日本は前年の7位を下回る11位と苦戦している。しかし棟方一楽(2年)が上尾シティハーフマラソンで、U20日本記録となる1時間1分38秒で優勝するなどチームは調子を上げている印象だ。全日本8区・6位の西代雄豪(4年)、前回1区・13位の西川千青(4年)、出雲1区・5位の入濵輝大(3年)、全日本1区・5位の大濱逞真(1年)らを軸に2年連続のシード権獲得にチャレンジする。
立教大は、最も勢いのあるチームと言っていいだろう。4月に髙林祐介駅伝監督が就任して、スピード型のチームにスタミナが加わった。箱根駅伝予選会をトップで通過すると、約2週間後の全日本は初出場で7位に食い込み、シード権を獲得している。
予選会を2位で通過した専修大は、予選会で個人3位となったダンカン・マイナ(1年)、同21位の新井友裕(3年)、同26位の上山詩樹(2年)が軸のチーム。2年ぶりの参戦で山は読めない部分があるが、「主力3人を軸に前半から勝負できる位置で進めて、シード権に絡むレースをしたい」と長谷川淳監督は意気込んでいる。
前回23位に沈んだ山梨学院大は、2月から大崎悟史駅伝監督が就任した。連続出場が危ぶまれたなかで、予選会を3位で突破。チームは自信をつけている。"花の2区"はケニア人留学生が争い、1区と3区は日本人エース格の平八重充希(3年)、主将・村上大樹らを配置して、前半から流れをつかむ作戦だ。5区には前回11位でまとめた弓削征慶(3年)が控えており、往路を10位以内で折り返して、シード権を目指していく。
日本体育大は77回連続の出場。前回は1区が最下位スタートとなり、往路は21位と苦しんだが、復路は11位と健闘した(総合16位)。
川崎勇二監督が赴任して40年目を迎える中央学院大は、絶対エースの吉田礼志(4年)でトップ争いに加わりたい。前回は1区が20位と出遅れているだけに、好スタートを切って、2区で区間賞を目指している吉田で浮上するのが戦略だ。選手たちは「5位以内」という大きな目標を掲げているが、どこまで近づけるのか。
【虎視眈々と「下剋上」を狙うチームも】
前回13位の中央大は、主軸の数人を温存した箱根予選会を6位で通過。トップスリーを目指した全日本はまさかの12位に終わっている。藤原正和駅伝監督は目標を「3位」から「7位」に下方修正したが、チームはMARCH対抗戦10000mで好タイムを続出。吉居駿恭(3年)が27分44秒48、本間颯(2年)が27分46秒60、岡田開成(1年)が28分08秒51をマークして、エントリー10000m上位10人の平均タイムは28分15秒62でトップにつけている。
10000m27分52秒38の溜池一太(3年)は2区を希望しており、前回7区・区間賞の吉居、全日本2区で12人抜きを披露した岡田も往路の候補。6区には前回5位の浦田優斗(4年)が控えている。
日本大は予選会で2年連続の個人トップに輝いたシャドラック・キップケメイ(2年)に注目だ。前回は2区で区間10位と伸び悩んだが、同3区4位の安藤風羽(4年)とともに往路で流れを作るだろう。前回走ったメンバー7人が残っているだけに、新雅弘駅伝監督は「前回の15位をひとつでも上回りたい」と話している。
東京国際大は順当なら、5000m(13分00秒17)、10000m(27分06秒88)、ハーフマラソン(59分32秒)で日本学生記録を保持するリチャード・エティーリ(2年)が初登場する。2区か3区での起用が有力だが、キャリア初の駅伝で実力をどこまで発揮できるのか。そんな"最強留学生"と、9位に入った全日本で3区を4位と好走した佐藤榛紀(4年)を軸に、チームは過去最高5位を目指す。
予選会を9位で通過して、全日本は14位だった神奈川大。目標は「シード権獲得」だが、今年1月から指揮を執る中野剛監督は、「まだそこまでの力はありません。ただ、近い将来に獲得するために今回から狙っていきたい」と冷静だ。箱根経験者は宮本陽叶(3年)、酒井健成(3年)、新妻玲旺(2年)の3人しかいないが、新時代に向かっていく。
箱根予選会を1秒差のギリギリでくぐりぬけたのが順天堂大だ。
前回2区の浅井皓貴(4年)、同3区の海老澤憲伸(4年)、同4区の吉岡大翔(2年)が往路の候補で、川原が5区に抜擢される可能性もある。今回は1、2年生のエントリーが10名を占めており、長門俊介駅伝監督は「今季のチームスローガンである"下克上"を果たせるように上位に食らいついていきたい」と気合十分だ。
関東学生連合は古川大晃(東京大大学院D4年)と秋吉拓真(東京大3年)の"東大コンビ"が注目を浴びている。10000mで28分11 秒20を持つ片川祐大(亜細亜大4年)ら実力者もおり、予選会上位10名の成績は予選会トップ相当の記録に該当。目標は「8位入賞(相当)」で、小指徹監督(東京農業大)は、「往路は10番目以内をキープして、復路は粘り強くつないで、目標を達成したい」と話している。
第101回箱根駅伝は2025年1月2日、朝8時にスタート。全21チームのドラマが間もなく始まる。