【注目はレイデオロ産駒】
2月16日(日)、東京競馬場で3歳馬によるGⅢ共同通信杯(芝1800m)が行なわれる。
このレースは「牡馬クラシック」の登竜門的レースで、ここから多くの名馬が生まれている。2021年は、勝ち馬エフフォーリアがGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)を、3着馬シャフリヤールがGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)を勝利。
レースを血統的視点から占っていこう。今回は「2、3歳戦に強い牝系」をテーマに見ていく。
同牝系の馬は活躍時期が重なるケースも多く、前述の日本ダービー馬シャフリヤールは、全兄が皐月賞馬アルアイン。やはり同牝系の、昨年のGⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)を勝ったステレンボッシュ、GⅠ菊花賞(京都・芝3000m)を勝ったアーバンシック、GⅠ有馬記念(中山・芝2500m)を勝ったレガレイラの3頭は2、3歳の早い時期から頭角を現し、いずれも3歳時にGⅠを制している。
今回、このテーマで推したい馬がカラマティアノス(牡3歳、美浦・奥村武厩舎)だ。同馬は叔父にGⅡ弥生賞ディープインパクト記念(中山・芝2000m)を勝ったサトノフラッグ、叔母に桜花賞、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)2着のサトノレイナスがいる血統だ。
父レイデオロは日本ダービー馬で、4歳時にGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)を勝利。2歳時にもデビューから無傷の3連勝でGⅡホープフルS(中山・芝2000m)を勝ったように、早い時期からトップクラスの力を見せていた。
産駒は2世代が出走し、まだ重賞勝ち馬は出ていないが、初年度産駒アドマイヤテラが菊花賞3着。すみれS(阪神・芝2200m)を制したサンライズアース、白百合S(京都・芝1800m)を制したミナデオロなど、3歳のリステッド競馬の勝ち馬も出ている。
2世代目の産駒からは、ウォーターガーベラがGⅢシンザン記念(中京・芝1600m)で14番人気ながら3着に入った。
カラマティアノスの戦歴を振り返ってみよう。昨年7月の新馬戦(新潟・芝1800m)、2戦目の未勝利戦(中山・芝1800m)はいずれも3着だったが、10月13日の未勝利戦(東京・芝1800m)で初勝利。続く、こうやまき賞(中京・芝1600m)も勝ち、今回はそれ以来2カ月半ぶりの実戦となる。
これまでのレースを見ると、スタートが苦手で後ろからの競馬になりがちだが、過去3戦連続で上がり3Fはメンバー中最速タイムを記録しているように末脚は安定。しかも、未勝利戦、こうやまき賞ともにスローペースで展開不向きながら勝ち切っており、着差やタイム以上の評価をしてよさそうだ。東京競馬場で勝利しているのも強みで、重賞のメンバーに入っても自慢の末脚を伸ばしてくるだろう。
【もう1頭は重賞初出走で初勝利を狙う】
もう1頭はワンモアスマイル(牡3歳、栗東・藤岡健一厩舎)を推す。本馬は祖母がGⅡフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)を勝ったワンカラットで、その妹ジュエラーは桜花賞馬。母ワントゥワンは5歳時にGⅢ関屋記念(新潟・芝1600m)2着など重賞で活躍したが、3歳時には紅梅S(京都・芝1400m)で、後のオークス馬シンハライトとハナ差の2着という競馬をしており、3歳1月時点で重賞級の実力を示していた。
父ブリックスアンドモルタルの産駒は、アンモシエラが昨年の地方交流GⅠJBCレディスクラシック(佐賀・ダート1860m)を勝利。芝では、ゴンバデカーブースがGⅢサウジアラビアロイヤルC(東京・芝1600m)を勝利している。コース別成績を見ると東京が12勝と最多で、距離は1600mが7勝で最多だが、1800mも3勝、2着6回と連対率は1600mを上回る30%という数字を残している。
ワンモアスマイルはここまで1勝だが、オープンや1勝クラスでも3着以内に入り、5戦1勝、2着3回、3着1回という安定した成績。昨年9月の野路菊S(中京・芝2000m)は3着だったが、そのレースの1着は後にGⅢ京都2歳S(京都・芝2000m)を勝ったエリキング。2着に入ったのは、後にホープフルSで2着に入ったジョバンニと相手が悪かった。強い相手と戦った経験値は今回に生きるはずだ。
以上、今年の共同通信杯は、レイデオロ産駒カラマティアノス、ブリックスアンドモルタル産駒ワンモアスマイルに期待する。