F1第8戦モナコGPレビュー(前編)
モナコは予選がすべて──。
狭く曲がり抜くねったモナコの市街地サーキットでは、実質的にオーバーテイクは不可能だ。
そのモナコGPの予選で、Q2のアタックを決められず12位に終わった角田裕毅(レッドブル)は憮然とした表情だった。
「力は出しきってないですね。ここまではクリーンな流れできていただけに、この予選結果にはとてもフラストレーションを感じます」アタックを終えた瞬間、角田は無線で「こうなるのはわかっていた、フェアじゃないよ」と怒りを露わにした。
それがどういう意味だったのか。
角田は「それは言いたいんですけど、言えないです。ごめんなさい」とコメントを避けた。
ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)のストップで赤旗が出され、残り10分8秒で予選は再開。そこから角田は、一度はコースインしようとエンジンに火を入れたものの、ガレージアウト直前で中止となる。
「トラックエボリューション(グリップレベルの向上)を最大限に生かそう」
レースエンジニアのリチャード・ウッドが語ったとおり、路面のグリップが最もよくなるセッションの終了直前にアタックを決めようという狙いだ。極めて僅差の争いだけに、そのわずかな差もプラスに働くからだ。
残り7分でコースインした角田は、タイヤをじっくりと温めるために2周してからアタックに入った、そして再びゆっくりと2周かけてタイヤを冷まし、セッション終了直前に最後のアタックに入る。
しかし、タイヤのグリップ感はいまひとつで、ターン1やターン11、ターン15などでマシンの不安定さが目立った。1回目のタイムを更新することができず12位に終わってしまった。
それに対する「こうなるのはわかっていた」という角田の発言から察するに、角田は1アタックに賭けてセッションの最後に新品タイヤのピークを使いたかった。しかし、チームの戦略と合致せず、それが冒頭の苛立ちへとつながったのだろう。
【モナコはひと筋縄ではいかない】
予選でほぼ、すべてが決まってしまうことはわかっていた。それだけになおさらだが、苛立ちの理由はそれだけではなかった。
金曜からの走行で、今回はマックス・フェルスタッペンとかなり近いところまでいけるという手応えがあったからだ。
「ペース自体は割とよかったですし(フェルスタッペン対比で)今までで一番よかったと思います。FP1からFP3まではコンスタントに、マックスと近いところで走れる速さはありました。その点はポジティブな収穫だったと思います。
ただ、それを生かしきれなかったのが残念です。モナコはひと筋縄ではいかないとわかっていたとはいえ、かなりとっ散らかってしまって......ああいう結果になってしまいました。
本当にQ2の意味があるのは最後の1周だけ。そこに関して、僕自身はもう少しうまくやれたところもあったと思います。だけど最後に、路面コンディションが最もよかった時に最適な状態のタイヤで走れなかったりだとか、すべてがうまくまとめられませんでした」
◆つづく>>