サマー2000シリーズ第2戦のGIII七夕賞(福島・芝2000m)が7月13日に行なわれる。
過去10年の結果を振り返ってみると、3連単はすべて万馬券。
「七夕賞は、とにかく1番人気が振るわない重賞です。過去10年で、勝ったのは2017年のゼーヴィントだけ。そのゼーヴィントにしても、1月のアメリカジョッキークラブC(2着。中山・芝2200m)以来の休み明けでの勝利でしたが、その年は12頭立てと、七夕賞にしては頭数がそろわず、波乱が起こる要素が軽減されていました」
小田記者はさらに出走各馬のハンデに着目し、このレースの傾向についてこんな見解を示す。
「過去10年で、前走1着馬の優勝はありません。それはおそらく、前走で勝ったことによってハンデが重くなってしまっているのが影響しているのではないしょうか。
また、過去10年のハンデ別の成績を見てみると、成績がいい順に57kg(7勝、2着3回、3着0回、着外24回)、54kg(2勝、2着1回、3着2回、着外18回)、57.5kg(1勝、2着0回、3着1回、着外3回)。ハンデ57kgが圧倒的に強く、優勝馬が出ているのは、この3つのハンデだけです。
一方で、大不振なのがハンデ56kg。意外にも勝ち馬がおらず、0勝、2着1回、3着0回、着外22回と好成績を残せていません。
こうした状況を踏まえて、小田記者は今年の出走メンバーについてこう分析する。
「今年は、前走でGIII新潟大賞典(5月17日/新潟・芝2000m)を制したシリウスコルト(牡4歳)が上位人気に推されそうですが、斤量は前走から一気に1.5kg増。ハンデ58.5kgというのは、相当厳しいと見ます。
昨夏のGIII小倉記念(中京・芝2000m)を勝ったリフレーミング(牡7歳)も、ハンデ58kg。福島での実績はあるとはいえ、前走から1kg増というのはきついかもしれません。
ハンデ57.5kgのドゥラドーレス(牡6歳)、パラレルヴィジョン(牡6歳)は何とか狙える範囲ですが、決して有利とは言えません。そういう意味では、悩みどころ......。
理想ハンデの57kgは、シルトホルン(牡5歳)のみ。ただ、同馬は過去10年勝ち馬がいない前走1着馬。その点をどう見るか、でしょうか」
では、今年の波乱の主役となるのは、どの馬か。小田記者は「オッズ妙味も考慮して、ハンデの恩恵がある穴馬に注目したい」と言って、2頭の名前を挙げた。
「1頭目は、ニシノレヴナント(せん5歳)。前走のGII目黒記念(6月1日/東京・芝2500m)15着で人気急落は必至でしょう。
ただ、目黒記念当日はCコース替わり1週目とあって、特に"内&前"に行った馬が活躍。同じ日に行なわれた日本ダービーでも13番枠から早めに好位3番手を確保したクロワデュノールが完勝しました。そんななか、ニシノレヴナントは大外18番枠を引いた時点で、正直苦戦は否めませんでした。実際、10番人気と戦前の評価も低調。レースでは序盤で脚を使って好位で運びましたが、最終的に枠のロスが響いて、最後の直線では脚をなくした形となりました。
それでも、2走前のオープン特別・大阪-ハンブルクC(4月13日/阪神・芝2600m)では、今回と同じ斤量55kgで目黒記念も制した人気のアドマイヤテラにコンマ1秒差の2着と好走しています。
昨秋には、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)に出走。10着に敗れはしましたが、ここでも大外枠発走の不利がありながら、上がり3ハロン33秒0の末脚を繰り出して、勝ったドウデュースとはコンマ7秒差。GIIIなら通用する能力を示しています。
先週の追い切りでは、Wコースでラスト1ハロン10秒9をマーク。
小田記者が推奨するもう1頭は、セブンマジシャン(牡5歳)だ。
「現在3勝クラスのセブンマジシャンは格上挑戦の身ですが、まずは好走例の多いハンデ54kgというのが魅力。近走も大負けしておらず、前走の3勝クラス・花のみちS(6月15日/阪神・芝1600m)では、初のマイル挑戦ながらブリンカー効果もあって置かれることなく、中団を追走。最後に脚を使って、2着に入りました。
3歳時にはGIII京成杯(中山・芝2000m)3着や、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)4着など重賞で見せ場を作っていて、格下感はありません。福島と同形態の小回り・小倉で、勝ちきれないまでも好走例は何度もあります。前走から斤量4kg減という優位性を生かせれば、チャンスは十分です」
夏の「福島名物」七夕賞は、今年も高配当が飛び出すのか。ここに挙げた軽ハンデが魅力の2頭が斤量を背負った人気馬を出し抜いて、その一端を担ってもおかしくない。