【芝2000mのスペシャリストに期待】
7月20日(日)、小倉競馬場で3歳以上馬によるGⅢ小倉記念(芝2000m)が行なわれる。
このレースは今年で61回目を迎える伝統のハンデ戦。昨年は中京で行なわれたため、小倉開催は2年ぶり。
では、このレースを血統的視点から分析していこう。過去約10年の小倉・芝2000mの成績を見ると、勝利数ではディープインパクトが35勝、ハービンジャーが31勝と続くが、勝率で目を引くのが、18.4%(38戦7勝)と高い数字を誇るシルバーステートだ。これは、シルバーステート産駒の「全競馬場の芝2000m成績」のなかで最も高い勝率となっている。
今回、出走予定のシルバーステート産駒はリカンカブール(セン6歳、栗東・田中克典厩舎)。同馬は昨年のGⅢ中山金杯(中山・芝2000m)の勝ち馬で、これまでの5勝はすべて芝2000mというスペシャリスト。この小倉・芝2000mでは3歳2月の未勝利戦、3歳8月の足立山特別に勝利し、前走の小倉日経オープンは5着と、3戦2勝の成績を残している。
足立山特別でマークした1分57秒6は、1勝クラスでは異例の好タイム。このタイムを今回と同じ夏の小倉でマークしているのは、大きなアピールポイントと言える。前回の敗戦は気になるが、初めて斤量59kgを背負った影響が出たのだろう。今回は1kg減の58kgで出走できるので、条件はよくなる。
臨戦過程もいい。今回は約5カ月半ぶりとなるが、同馬は休み明けのレースで実績がある。4歳時には、約6カ月半ぶりの出走で昇級初戦だった西宮S(阪神・芝2000m)を鮮やかな差し切りで制している。
もうひとつ大きなポイントが、リカンカブールがこの休養期間中に去勢し、セン馬になったという点だ。このレースはセン馬の成績がよく、2018年トリオンフ、2013年メイショウナルトと2勝。さらに2022年には、ヒンドゥタイムズが10番人気2着、2021年にはスーパーフェザーが8番人気3着など、人気薄の激走も目立っている。ヒンドゥタイムズも6歳時に、セン馬となって初のレースだった。
また、シルバーステート産駒といえば、同じ6歳世代のセイウンハーデスが、今年5月のGⅢエプソムC(東京・芝1800m)を1分43秒9の好タイムで快勝。同馬は2年ぶりの重賞制覇で、6歳を迎えての成長力を示した。リカンカブールにもさまざまな条件が揃っているため、久々の重賞勝ちに期待する。
【牝系の勢いで大駆けしそうなのは?】
もう1頭はカネフラ(牡5歳、栗東・高橋康之厩舎)を推す。同馬を推す理由は"牝系の勢い"にある。
前走のGⅢ新潟大賞典(新潟・芝2000m)は7着だったが、昇級初戦の重賞初挑戦で展開も不向きながら、4コーナー15番手から悪くない伸びを見せていた。小倉では1戦して8着とコース実績はないものの、本格化前の3歳2月の走りだけに気にする必要はないだろう。
鞍上は、プロ野球の試合で初の始球式を務めて注目度が上がった永島まなみ騎手。同馬とは4戦2勝の成績を残しているコンビで、大駆けに期待する。
以上、今年の小倉記念は、シルバーステート産駒リカンカブール、"旬"の牝系のカネフラの2頭に期待する。