【秋のGⅠ全体を占うステップレース】
9月21日(日)、中山競馬場で3歳以上馬によるGⅡオールカマー(芝2200m)が行なわれる。
このレースは、11月2日に行なわれるGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)の重要なステップレース。2018年のレイデオロはオールカマーと天皇賞・秋を連勝している。
近年は天皇賞・秋に限らず、秋のGⅠ戦線全体のステップレースになっている感があり、2022年の勝ち馬ジェラルディーナは続くGⅠエリザベス女王杯(阪神・芝2200m)を勝利し、GⅠ有馬記念(中山・芝2500m)で3着に入っている。秋のGⅠ戦線を占う上でも必見のレースだ。
それでは、血統的視点からこのレースを占ってみよう。先週のGⅡセントライト記念でも触れたように、この「中山・2200m」は特殊な条件で、実力馬が取りこぼすことも多い。2023年はGⅠ3勝のタイトルホルダーが2着。2022年も、同じくGⅠ3勝のデアリングタクトが6着と敗れており、人気馬の実績に惑わされないようにしたい。
この条件で成績が上がる種牡馬は何頭かいるが、今回の出走馬の父で注目したいのがルーラーシップだ。現在、JRAサイアーランキングで7位のルーラーシップだが、過去10年の中山・芝2200m成績では勝利数3位の11勝。勝率も11.8%と高い数字を残している。
重賞では、2018年GⅡアメリカJCCを勝ったダンビュライト、2019年GⅡセントライト記念を勝ったリオンリオンで2勝。オールカマーでは、2022年にロバートソンキーが6番人気で2着に入っている。
今年出走するルーラーシップ産駒は2頭いるが、筆者が上に見たいのはホーエリート(牝4歳、美浦・田島俊明厩舎)だ。
ホーエリート自身も中山は得意だ。今年1月、芝2200mの迎春Sを1馬身1/4差で快勝したほか、今年のGⅢ中山牝馬S(芝1800m)で2着、昨年のGⅢフラワーC(芝1800m)で2着と、4戦して1着2回、2着2回と好成績を収めている。
今回は、GⅡ目黒記念(東京・芝2500m)2着から約3カ月半ぶりの出走。4歳を迎えた今年は牡馬混合の同レースでも2着に入るなど力をつけており、秋を迎えさらなる飛躍が期待される。
【もう1頭のルーラーシップ産駒は実績は劣るが......】
もう1頭もルーラーシップ産駒のワイドエンペラー(牡7歳、栗東・藤岡健一厩舎)を推す。
同馬のいとこヴェルデグリーン(父ジャングルポケット)は、2013年のこのレースを9番人気で勝利したほか、アメリカJCCも勝利した「中山・芝2200m」のスペシャリスト。さらに全兄サンリヴァルは、GⅠ皐月賞(中山・芝2000m)を9番人気で2着と、中山で穴をあける血統だ。
ワイドエンペラーは、5月のメトロポリタンS10着から約4カ月ぶりの実戦。重賞では3戦して6着が最高で、中山でも3戦未勝利と、ここに入るとやや厳しい感もあるが、この血統の背景からは狙いたくなる存在だ。
以上、今年のオールカマーはルーラーシップ産駒の2頭、ホーエリートとワイドエンペラーに期待する。