3日間開催となる今週の中央競馬。その3日目には、GIマイルチャンピオンシップ(11月23日/京都・芝1600m)のステップレース、GⅡスワンS(10月13日/京都・芝1400m)が行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は2勝、2着2回、3着1回。そこまで信頼度は高くない。一方で、ふた桁人気馬など穴馬の台頭が目立ち、波乱含みの一戦であることは間違いない。実際、3連単では10万円超えの高額配当が過去10年で5回も飛び出している。

 そして今年も、波乱ムードが充満している。GI朝日杯フューチュリティS(京都・芝1600m)の勝ち馬アドマイヤズーム(牡3歳)が人気の中心となりそうだが、前走のGINHKマイルC(5月11日/東京・芝1600m)では14着と惨敗を喫している。今回はそこからの巻き返しが見込まれているが、デイリー馬三郎の吉田順一記者は「前走の敗戦は、オーバーペースに巻き込まれたことや、落鉄の影響があったのは確かですが......」と言って、それには懐疑的な目を向ける。

「先週から始まった京都開催は、土日ともに渋った馬場で行なわれましたが、コーナーで芝の塊が少し飛んだ程度で済んでいました。日曜日はやや重の馬場状態ながら、良馬場並みの時計が出ていたことには驚きました。そうなると、今週も天気が大崩れしなければ、時計の速い決着が多くなりそうです。

 その点を踏まえると、アドマイヤズームは速い時計での決着は未知数。まだ心身ともに成長の余地を残しており、初距離のうえ、時計の速い舞台設定では、不安のほうが大きいです」

 では、どんなタイプが狙い目となるのか。

吉田記者はこう分析する。

京都競馬場はリニューアルしてから月日が経っておらず、路盤はまだまだ踏み固められていないのが現状です。それでも、徐々に安定してきているのは明らか。その馬場状態を踏まえれば、マイル実績のある有力馬よりも、1200mや1400mで持ち時計のある馬を狙うのが正解ではないかと思っています」

 そこで、吉田記者はこの距離の重賞で3勝を挙げている馬を推奨する。

ウインマーベル(牡6歳)です。展開と馬場を考慮すれば、連軸は同馬で大丈夫でしょう。

【競馬予想】高速決着が予想されるスワンSで狙える2頭 重視す...の画像はこちら >>
 3歳時には芝1200mのGIスプリンターズS(中山)2着の実績があり、スプリント戦の持ちタイムは1分07秒2。芝1400m戦も4勝、2着1回、着外3回という実績があり、持ち時計は1分19秒3と申し分ありません。

 今年はスプリンターズSをスキップ。ここを目標に、8月31日から順調に乗り込まれているのも好感が持てます。

 前走のGI安田記念(6月8日/東京・芝1600m)は5着も、ペースを緩めたことでキレ負けしたことは、陣営も承知のうえ。この距離ならよどみのない流れに乗って、勝ち負けを演出できる算段です。

 ハナにこだわるタイプではありませんし、平均ペース以上で適度に上がりを要する展開に持ち込めれば、自ずと結果はついてくるでしょう」

 吉田記者はもう1頭、気になる馬がいるという。ショウナンザナドゥ(牝3歳)だ。

「前走のGⅡセントウルS(9月7日/阪神・芝1200m)は馬場状態を考慮すれば、全体的にやや時計を要した印象がありますが、それでも1分7秒8という時計をマークして5着と健闘したのは立派。テンに速いメンバーがそろうなか、初めての芝1200m戦で中団後方からしっかり脚を伸ばしてきましたし、その忙しい競馬を経験したことが今回に生きるはずです。

 重賞勝ちを決めたGⅡフィリーズレビュー(3月8日/阪神・芝1400m)では、中団からの差し切りでしたが、前走の経験からの行き脚を加味すれば、今回は好位で運べると見ます。であれば、速い決着になっても、流れ込みは可能でしょう。

 GⅢクイーンC(9着。2月15日/東京・芝1600m)まではパドックで終始チャカチャカしていて、その後のフィリーズレビュー、GI桜花賞(10着。4月13日/阪神・芝1600m)、NHKマイルC(16着)では、ホライゾネットの馬具で何とか抑え込むといった状態にありました。

 しかし、セントウルS時のパドックでは馬具に頼ることなく、二人曳きでゆったりと周回。それができるということが、気性の成長を物語っています。芝1400mの時計勝負は同馬の資質からすると、好転する見立て。

絶好の狙い目だと思いますよ」

 今年も秋のマイルGIを見据えた好メンバーがそろったスワンS。実力伯仲の一戦とあって、再び高配当が飛び出してもおかしくない。それを演出するのが、ここに挙げた2頭の可能性は十分にある。

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