高木豊のドラフト総括 セ・リーグ 前編

 10月23日に開催されたドラフト会議。阪神が3球団競合の抽選を引き当て、最注目のスラッガー・立石正広(創価大)の交渉権を獲得。

巨人は事前に1位指名を公表していた、社会人No.1左腕・竹丸和幸(鷺宮製作所)の一本釣りに成功した。

 そのほか、セ・リーグ各球団は補強ポイントに見合う指名ができたのか。かつて大洋(現DeNA)の主力選手として活躍し、現在は野球解説者やYouTuberとしても活動する高木豊氏が、各球団のドラフトを【◎、〇、△】で評価した。

【プロ野球】高木豊がセ・リーグのドラフトを3段階で採点 創価...の画像はこちら >>

◆阪神【◎】

1位 立石正広(内野手/創価大)

2位 谷端将伍(内野手/日本大)

3位 岡城快生(外野手/筑波大)

4位 早瀬朔(投手/神村学園高)

5位 能登嵩都(投手/オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ)

 ドラフトの目玉である大学No.1スラッガーの立石を、競合の末に引き当て、2位には将来の中軸候補として谷端、3位には走攻守の三拍子が揃った岡城を指名した。

「やはり立石を引き当てたことが大きいです。流動的だった6番バッターを固定できますし、佐藤輝明がメジャーに挑戦したとしてもサードの穴が埋まります。1番から6番までが固定できて、打線は磐石になります。ドラフト2位の谷端がショートを守り、サードの立石との三遊間が近い将来に成立する可能性もありますね。

 3位も野手を指名していますが、やはり阪神はピッチャーに余裕があるんでしょう。野手の競争が激しくなることはいいことですし、いい補強をしているなと。佐藤のメジャー挑戦、近本もFAでどうなるかわかりません。そういう意味で3位も野手を指名したと思います」

◆DeNA【〇】

1位 小田康一郎(内野手/青山学院大)

2位 島田舜也(投手/東洋大)

3位 宮下朝陽(内野手/東洋大)

4位 片山皓心(投手/Honda)

5位 成瀬脩人(内野手/NTT西日本)

 1位はサプライズで佐々木麟太郎(内野手/米スタンフォード大)を指名するも、抽選で外した。

外れ1位で指名した小田は打撃センス抜群。2位の島田は最速155キロの球威のある真っすぐが魅力だ。

「佐々木を指名したのは、おそらく2027年のDHを考えてのことだったと思います。それくらい彼のバッティングを評価していたのでしょう。外れ1位で指名した小田は、バッティングはそこそこですが、守備力が高い。内野手を補強しておきたかったんでしょう。

 タイラー・オースティンが抜ける可能性があり、牧秀悟がファースト、宮﨑敏郎と筒香嘉智は DHなどで併用する形になっていくでしょうし、石上泰輝や林琢真らとの競争になると思います。それと、森敬斗が外野にコンバートされているんですよね。そう考えると、やはり内野手が補強ポイントだったんでしょう。

 2位の島田はスケール感があっていいですね。ただ、投げる時に体の開きが少し早く、バッターからボールが見えやすい欠点があります。フィニッシュの強さはあるので、投球フォームが修正できれば戦力になると思います。

先発候補だと思いますが、球が速いので中継ぎもできるはず。3位の宮下は、粗削りだけどパンチ力がありますね」

◆巨人【〇】

1位 竹丸和幸(投手/鷺宮製作所)

2位 田和廉(投手/早稲田大)

3位 山城京平(投手/亜細亜大)

4位 皆川岳飛(外野手/中央大)

5位 小濱佑斗(内野手/沖縄電力)

6位 藤井健翔(内野手/浦和学院高)

 社会人No.1左腕の呼び声高い竹丸の一本釣りに成功。2位に変則右腕の田和、3位に左腕の山城と上位3人は投手を指名。補強ポイントが明確だった。

「先発投手が不足しているので、竹丸を一本釣りできたのは大きいです。岡本和真がメジャー挑戦でいなくなるのに野手じゃないのか、という考え方もあると思います。ただ、日本人で岡本の代わりになる選手はなかなかいません。外国人助っ人を補強する考えがあるなら、投手を中心に指名したことも理解できます。

 あと、変則右腕の田和を指名していますが、今のバッターたちのスイングの軌道は"あおり打ち"が多いので、サイドスローの投手を打つのは難しい。真っすぐが150キロ以上出て、スライダーの曲がりもいい。中継ぎでの起用を想定していると思いますし、面白い存在になると思います。早稲田大で小宮山悟監督(元ロッテほか)に鍛えられて頭を使った投球もできるでしょうし、非常にいいと思います。

 4位の皆川もいいですよ。パンチ力がありますし、肩がかなり強くて足も速い。まだまだ伸びそうな選手ですし、センターにうってつけかもしれません。丸佳浩の代わりができるようになるとチームにとって大きいです」

(後編:中日を高く評価 一方でヤクルトは「勝負に出てもよかったんじゃないか」|「中日・広島・ヤクルト」編>>)

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

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