秋のGIシリーズはここ3戦、菊花賞、天皇賞・秋、エリザベス女王杯と1番人気が勝利を飾っている。はたして、今週行なわれるGIマイルチャンピオンシップ(以下、マイルCS。

11月23日/京都・芝1600m)はどうか。

 同レースでは過去3年、1番人気が馬券圏外に沈んでいる。過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着1回、3着1回と、その信頼度は決して高くない。それゆえ、3連単ではしばしば好配当が生まれている。

 そして今年、1番人気に目されているのは、春のマイルGI安田記念(6月8日/東京・芝1600m)を制したジャンタルマンタル(牡4歳)。秋の始動戦となったGⅡ富士S(10月18日/東京・芝1600m)でも、59kgの斤量を背負いながら半馬身差の2着と奮闘した。

 そうした状況を受けて、「今回のマイルCSは、実績的にジャンタルマンタル、ソウルラッシュ(牡7歳)、アスコリピチェーノ(牝4歳)ら、マイルGI馬が人気を集める一戦になるでしょう」とデイリー馬三郎の吉田順一記者。続けて、これら3頭が中心となる展開面についても触れる。

「平均的なラップを刻みたいウインマーベル(牡6歳)が主導権を握り、それに続くのが富士Sでジャンタルマンタル以下を押さえ切ったガイアフォース(牡6歳)あたり。それらのあとに安定した立ち回りができるジャンタルマンタルが続いて、同馬を目標にソウルラッシュ、アスコリピチェーノが最後に末脚を伸ばしてくる、といった形でしょうか」

 地力ある有力どころによる上位混戦と言えそうだが、秋の開催8週目を迎える京都競馬場の馬場状態はどうなのか。その点について、吉田記者はこう語る。

「京都の外回りコースは、3~4角の芝についてはそれほど凸凹が目立ちませんが、直線はかなり凸凹が目立つ現状。

それでも先週土曜日の2歳重賞、GⅡデイリー杯2歳S(芝1600m)は1分33秒1のレコード決着となりました。向正面や直線では各馬がラチ沿いを通らず、馬場のいいところまで出す競馬でしたが、凸凹はあってもクッション値が高く、時計が出やすい馬場にあると言えるでしょう。

 それに、今週からは仮柵を設けたCコースを使用。天候も安定していることも加味すれば、流れ次第では1分31秒台から1分32秒台前半の決着になる可能性は高いです」

 では、そんな馬場にあって狙い目となるのはどんなタイプか。吉田記者はこんな見解を示す。

「持ち時計の有無はもちろんですが、時計の出やすい馬場設定を鑑みれば、マイル以上の距離にも実績があって今回距離を短縮して臨んでくる馬より、1400mぐらいの距離がベターでスピードやキレ味に秀でた馬を狙うのが正解かもしれません」

 そこで、吉田記者は人気馬たちを脅かす伏兵候補を2頭、ピックアップした。

「1頭目は、GⅡスワンS(10月13日/京都・芝1400m)をレコード勝ちしたオフトレイル(牡4歳)です。同馬は上質の決め脚があり、発馬を決めた2走前のGⅢ関屋記念(7月27日/新潟・芝1600m)2着時のようなポジション(中団)を確保できれば、一発の魅力があります。

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 1週前追い切りでは、ハードに追われて活気十分。前肢をよく伸ばして、機敏な脚取りを見せていました。今週の追い切りでも弾むフットワークで、シャープな末脚を繰り出して、ますます快調。一瞬の爆発力をうまく引き出せれば、まとめて面倒を見るシーンがあってもおかしくありません」

 吉田記者が注目するもう1頭は、初の芝マイル戦となった昨年のレースで3着入線を果たしたウインマーベルだ。

「前走のスワンS(4着)は好位で運びましたが、前半3ハロン33秒5のハイペースに巻き込まれたことが、最後にもうひと伸びできなかった要因ではないでしょうか。しかし今回は、単騎逃げが見込めるメンバー構成。昨年以上に自分の形やペースで運べそうなのは、大きな利があると感じます。

 好位のジャンタルマンタルが、多くの有力馬が待機する差し勢を意識して仕掛けるタイミングが遅れてくれれば、粘り込みの可能性は一段と増します。年齢的な衰えは感じませんし、ここ2週の攻め気配も上々。この馬らしい躍動感のある走りを披露し、波乱を演出しそうなムードが漂っています」

 高速決着必至の秋のマイル王決定戦。実力秘めた好メンバーが顔をそろえた白熱の一戦から目が離せない。

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