特別対談 DeNA・藤浪晋太郎×オリックス・森友哉(後編) 

 小学校時代から対戦を重ね、大阪桐蔭ではバッテリーを組み、甲子園春夏連覇。そんな藤浪晋太郎と森友哉も、気がつけば共に30代に入った。

学童野球の頃には想像もしなかった「引き際」や「モチベーション」という言葉が、今では自然に会話に出てくる。ふたりがそれぞれ見据える"次の山"とは。

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【学童野球時代から対戦】

── ところでふたりは、学年は1つ違いますが、学童野球の頃から対戦があったそうですね。

藤浪 同じ地区(大阪府堺市)だったので、チーム同士の対戦は、その頃からありましたね。

── 投手・藤浪、打者・森の初対決は覚えていますか。

藤浪 さすがにそこは覚えてないです。

 初対決は覚えてないですけど、一度、デッドボールを当てられたのは覚えています(笑)。茶山台の学校のグラウンドで。

藤浪 茶山台の小学校?

 たしかそうです。あの頃、みんな背番号はボタンで留めていたんですけど、たぶんボールが背中をかすめて、背番号が取れたんです。

藤浪 それは覚えてない(笑)。

── その頃から対戦を重ね、高校時代に聞いた時には、「藤浪さんにはけっこう強かったです」と話していた覚えがあります。

 そんなこと言ってました? いや、打った印象はあんまりないです。

小学校の時は、そんなに対戦はなかったですし......。それより藤浪さんの弟のチームとは対戦が多くて、そっちのほうがいろいろと覚えていますね。弟は野手で、僕はピッチャーで。試合はけっこう勝っていましたね。

藤浪 自分は、森にはトータルで打たれている印象が強いですね。中学のボーイズの時も、春の全国をかけた予選で森のチームに負けたんですけど、タイブレークだったか、最後は森に打たれて終わったんです。

 いいところで打ったから、印象に残っているんじゃないですか。僕は、打っているイメージはないですよ。

【三振か、えげつない打球かの二択】

── 高校に入ってからは、紅白戦やシート打撃でも対戦を重ねたと思います。

藤浪 森が1年で入ってきた最初の紅白戦の打席は、たしかスライダーを右足に当てての空振り三振だったはずです。1年の時は、打たれたイメージはなくて、森が2年になってからですね。2012年の夏前の紅白戦で、僕がレギュラー陣に投げて、2回で8点取られたことがあったんですけど、その時も先頭の森に、インローへのカット気味のスライダーをライト線に打たれて、そこからメッタ打ちされました。ふつうのバッターなら空振りするようなスライダーを打って、ファーストの横を「シューッ」と低いライナーで抜かれた、あのライト線でした。

 ほんま、よう覚えてますね(笑)。自分の場合、振り返ると高校時代はすべての思い出が濃すぎて、逆に一つひとつの場面は覚えていないというか。とくに連覇の時は、先輩たちに囲まれた後輩だったというのもあったと思いますけど、予選とかも本当に覚えてなくて、甲子園しか覚えていない、という感じです。

── プロに入ってからの「直接対決」といえば、藤浪投手がアメリカへ渡る前、2022年の交流戦でもありました。

藤浪 甲子園で、158か159キロのストレートをライト線にツーベースを打たれました。プロではもう1回、交流戦(2018年)でもあって、所沢で僕が投げているところに、森が代打で出てきたんですけど、それはフォアボールでした。あとは、2015年のオールスターで天井に当たった一塁フライ。

 その年のオープン戦でも1回やりましたよね。甲子園で。

藤浪 あっ、あったな。レフトフライや。
※2021年のオープン戦でも対戦があり、その時は森がレフトオーバーのタイムリー二塁打を放った

── 対戦した時は、ほぼ真っすぐ勝負?

藤浪 割と余裕のある場面が多かったので、自分も楽しむ、というわけではないですけど、お客さんも楽しみにしてくれていると思って、そこは意識して投げていました。

【プロ野球】藤浪晋太郎と森友哉が語り合う覚悟の2026年シーズン 「頭のどこかで常に終わりは意識している」
オリックスに移籍して、今季で4年目を迎える森友哉 photo by Koike Yoshihiro
 藤浪さんもそうですし、澤田さんも絶対に真っすぐで来るんです。澤田さんに関してはリーグが一緒なので対戦も多いんですけど、本当にどの状況でも「真っすぐ行くぞ」という感じで真っすぐが来る。だからこっちも、「きれいにヒットを打とう」という頭はなくて、三振か、えげつない打球か、その二択で振りにいっています。やっぱり先輩のプライドを感じますし、プロでそういう勝負ができるのはなかなかないので、ふたりとの対戦はほんと楽しいです。

【大好きな野球を1年でも長くやりたい】

── 今年もシーズンが近づいていますが、昨年は大阪桐蔭の先輩である中田翔選手が引退しました。ともに30代となり、いろいろと思うところもあったのではないでしょうか。

藤浪 森と食事に行った時も、引き際だとか、モチベーションといった話題になりましたね。たしかに自分たちも30代になって、頭のどこかで常に終わりを意識しながらも、自分としては、7歳から始めた大好きな野球を1年でも長くやりたい。その気持ちが、年々強くなっています。

 30代に入ったということですけど、年齢的には一番脂の乗った時期とも言えます。ただ、成績は現実的に落ちてきている。とくに去年は、成績的にきついシーズンだったので、今年ですね。

もう一段、二段と、ここから状態を上げていかないと終わりが近づいてくる。そういう危機感は、当然持っています。

── NPB復帰2年目の藤浪投手、オリックス移籍4年目の森選手。今シーズンは、共にこの先を占う勝負の1年になりますね。

藤浪 毎年が勝負ではあるんですけど、プレーヤーとしての野球人生のなかで、もうひとつ山をつくるためにも、数字を残してチームの優勝に貢献したいです。

 しっかり結果を出して、またオフにいい話をしたいですね。


藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)/1994年4月12日生まれ。大阪府出身。大阪桐蔭ではエースとして2012年に春夏の甲子園連覇を達成し、最速160キロの剛腕で注目を集めた。同年ドラフト1位で阪神タイガースに入団。プロ1年目から3年連続2ケタ勝利を挙げるなど活躍したが、その後は制球難に苦しむ。23年にメジャーリーグへ挑戦し、アスレチックス、オリオールズでプレー。

24年のシーズン途中にDeNAと契約し、3年ぶりの日本球界復帰を果たした

森友哉(もり・ともや)/1995年8月8日生まれ。大阪府出身。大阪桐蔭2年時の2012年に藤浪晋太郎、澤田圭佑らとバッテリーを組み、甲子園春夏連覇。13年は主将として春夏甲子園出場を果たした。同年、ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団。2年から正捕手として活躍し、19年には打率.329でパ・リーグ首位打者とMVPを獲得。ベストナイン、ゴールデングラブ賞も受賞した。23年からはオリックス・バファローズでプレーし、攻守の要として存在感を示している

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