源田壮亮インタビュー(後編)

 自身2度目の大舞台となる第6回ワールド・ベースボール・クラシックWBC)。侍ジャパンの内野の要として出場する源田壮亮(西武)は、待ち望んでいることがある。

「前回はすごくいい大会でした。ただ、ケガして出ていたじゃないですか。だから今回は万全でいきたいんですよ。やっぱり100%集中できていなかったので......。『小指をぶつけないように』とか、『慎重に』とか、『あ、痛っ』とか、そういうこともなく没頭できるから今回は楽しみです」

 3年前の前回大会では2戦目で右手の小指を骨折したが、テーピングを巻いて強行出場を続けた。激闘となった準決勝のメキシコ戦では「源田の1ミリ」と称賛された絶妙なタッチプレーや、背走キャッチで勝利を手繰り寄せた。

 大谷翔平ドジャース)や吉田正尚(レッドソックス)、村上宗隆(ホワイトソックス)らの豪快な一発が優勝に突き進む原動力となった一方、源田の守備力も見逃せない勝因だった。

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【ショートというポジションの重み】

 連覇を狙う今回。井端弘和監督と金子誠ヘッドコーチは内野の要として、再び源田を招集した。その意味を、もちろん本人はしっかり受け止めている。

「監督の井端さんとヘッドコーチの金子誠さんは、元ショート。そのふたりが求めるレベルは本当に高いと思っていますし、それに応えられるようにやりたい。(宮崎合宿中に)監督とも少し話しました。

相手打者のデータやポジショニングの資料はもちろん出してもらえるけれど、『一番は守っている時の感覚で、ほかの内野手を動かしてくれてもいいから』と言っていただきました。信頼してもらっていると感じた一方で、あらためてショートというポジションの重みを実感しました」

 今大会ではピッチコムとピッチクロックが導入される。ショートの源田もピッチコムを装着しているが、「めっちゃいい」と感じている。

「まず、全ピッチャーのサインを把握しなくてもいい。外野手と連係を確認している時にも音声が聞こえてくるので、キャッチャーのサインを見なくてもいい。あと、サインプレーもミスは絶対起こりづらくなる。球種が聞こえるから、『あれ、サイン何だったっけ?』とかもないし。だから、アイコンタクトが合わないとかもない。みんな、『これいいな』って言ってます」

 つまり、日本らしい緻密な野球をより体現しやすくなるということだ。

【メジャーリーガーを知らない】

 一方で、連覇へ向けて立ちはだかる壁は、前回以上に高い。日本と並ぶ"3強"と目されるアメリカ、ドミニカ共和国は、MLBのスーパースターを揃えたドリームチームだ。

「前回より、すごいらしいですね」

 ただ源田はMLBをほとんど見ないため、相手のイメージが湧かないと語る。

「前回もそうでしたけど、大谷選手が『外野に誰々がいて』って話し、あの名言があったじゃないですか。

『憧れるのをやめましょう』と。でも僕は、相手選手の名前を聞いてもあまりわからなかった。それが逆によかったのかもしれません。守っていても、とくに恐怖心はなかったですから。(マイク・)トラウト選手は知っていましたよ。でも、あとの人は本当にわからなくて......」

 今回は、アメリカのポール・スキーンズ(パイレーツ)、タリク・スクーバル(タイガース)といった昨季のサイ・ヤング賞コンビや、ドミニカ共和国にも2022年に同賞を獲得したサンディ・アルカンタラ(マーリンズ)らが控える。各国ともにメジャー屈指の先発陣が顔を揃えている。

「今回もよくわからないんです。ライオンズのキャンプ中にも、メジャー好きなヤツが『スキーンズやスクーバルから前に飛ばせたら、もう勝ちっすよ』って言ってくるんですけど、僕は『そうなんだ』って(笑)。もちろん大会までには映像を見て、しっかり準備はしますけど、メジャーリーガーについては本当に疎いですね」

 前回大会、未知の強敵と対峙するなかで助けになったのが、大谷の情報だった。

「前回は、メキシコ戦やアメリカ戦の前に、メジャーで戦っている大谷選手がボールの軌道や打席での見方など、みんなにアドバイスをくれました」

 前回のWBCで一緒に頂点を極めた大谷は、今や誰もが認める「世界一の選手」として参戦する。そんな男と再びチームメイトになることを、源田は率直にどう感じているのか。

「心強いですよね。なかなか日本人で、メジャーリーガーとかを萎縮させられる選手もいないと思うので」

【勝つための必要な要素は運】

 今回も大谷が侍ジャパンの中心になる一方、内野の要はショートだ。ライバル国を見渡すと、アメリカにはボビー・ウィットJr(ロイヤルズ)とガナー・ヘンダーソン(オリオールズ)、ドミニカ共和国にはヘラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)とジェレミー・ペーニャ(アストロズ)という攻守にハイレベルのショートが揃うなか、源田は日本的な選手と言えるだろう。

 常に万全の準備で試合に臨み、三遊間の広大なエリアを華麗なステップワークでカバーする。精緻なプレーで確実にアウトを積み重ねるその守備には、日本人ならではのよさが凝縮されている。

「僕は、バタバタしてしまってはダメだと思っているので、そこはしっかり意識しています。練習中に連係プレーをしていて、いろいろな意見が出て『どうしようか』となった時には、僕が『こうしよう』と声をかけたり、足を細かく動かしてリズムをつくったりしています。そんなところですよね」

 大谷とはまた違った意味で、源田だからこそチームにもたらす安心感がある。井端監督や金子コーチが深い信頼を寄せる理由も、そうした姿にあるのだろう。

 いざ、WBC連覇へ。勝つための必要な要素について、源田はこう考えている。

「もちろん、みんな全力で戦いますし、勝ちにいくのは当然。

あとは運じゃないですか。前回も、運があったから優勝できたと思います」

 人事を尽くして天命を待つ。野球人生最大の舞台で再び頂点に立つために、源田は万全の準備で戦いに挑む。

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