山本昌の中日戦力分析&セ・リーグ順位予想 後編

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 球界のレジェンド・山本昌(中日)の2026年セ・リーグ大展望。後編では気になる順位予想と、新たなスター候補について存分に語ってもらった。

【プロ野球】山本昌のセ・リーグ順位予想 王者・阪神の対抗馬は...の画像はこちら >>

【1位予想:阪神】

── まずは今季のセ・リーグの趨勢をどう見ますか?

山本昌 今年のテーマは「新旧交代」でしょう。巨人の岡本和真がブルージェイズへ、ヤクルトの村上宗隆がホワイトソックスへ、それぞれMLB球団に移籍しました。スポーツはもちろん、社会全体もそうですが、組織は誰かが抜けたら新たにハマる人間が出てくるものです。今季のセ・リーグもきっと、新たなスターが出現してくれるはずです。

── 昨年に独走優勝した阪神が1位予想ですね。

山本昌 働き盛りの中堅に若手が入り混じって、戦力が充実しています。何よりも主力がケガに強く、安定して戦えるのは大きいです。1番・近本光司、2番・中野拓夢、3番・森下翔太、4番・佐藤輝明、5番・大山悠輔......と、1~5番まで強力なスタメンが固定できる。ドラフト1位の立石正広(創価大)も相当な逸材ですから、体調万全になった5月くらいには出てくるかもしれません。

── 投手陣も強力ですね。

山本昌 石井大智が左アキレス腱断裂で長期離脱するのは残念でしたが、投手陣全体の力は頭ひとつ抜けています。とくに先発の柱である村上頌樹、才木浩人の安定感はすばらしいですね。

【2位予想:中日】

── 2位は山本昌さんの古巣でもある中日です。

山本昌 若い選手が台頭し、競争力が増したことが一番です。

それに、もともと投手力に定評があったチームですが、そこにホームランウイングができたことで得点力アップも期待できる。ケガ人がいたり不安要素はありますが、上位に入るだけの力は十分あると思います。

── 今年の中日は期待できそうですね。

山本昌 今年は球団創設90周年です。これまで巨人と阪神が創設90周年で優勝しています。中日もそのジンクスにならって、優勝してもらいたいですね。昨年のセ・リーグで圧倒的に強かった阪神に対しても、中日は13勝12敗と勝ち越しています。チャンスは十分にありますよ!

【3位予想:巨人】

── 3位予想は2年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人です。

山本昌 巨人は2~5位まで順位が変動する可能性があると感じています。岡本に代わるスターは出てきてほしいですが、やはり穴は大きいです。もともと戦力は充実しているとはいえ、山崎伊織が右肩のコンディション不良で離脱したのも痛い。上位進出への絶対条件は、戸郷翔征の復活です。彼が本来の力を発揮できれば、戦えるはずです。

新人ながら開幕投手に指名された竹丸和幸も頭角を現すかもしれません。

── 岡本の穴は埋まるでしょうか。

山本昌 リチャードが期待されていたのでしょうが、左手骨折で離脱してしまいました。ただ、巨人は三軍制を敷いて、ソフトバンクのように育成環境を整えています。未知の存在が台頭してきたら面白いですよね。高卒2年目の石塚裕惺も素材としてすばらしい。かつて原辰徳監督が坂本勇人を、高橋由伸監督が岡本を抜擢したように、今度は阿部慎之助監督が石塚のような有望株を我慢して起用することになるかもしれません。

【4位予想:DeNA】

── 4位は、昨年まで4年連続AクラスのDeNAです。

山本昌 昨年に先発ローテーションを回した3人の外国人投手(アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイ、トレバー・バウアー)がごっそり抜けたのは痛いですね。阪神からジョン・デュプランティエを補強し、絶対的エースの東克樹がいるとはいえ、投手層の薄さは弱点になりそうです。

── いくらリーグ屈指の強打線とはいえ、カバーするのは難しいでしょうか。

山本昌 希望の光はあります。高卒3年目の松尾汐恩がいかに花開くかに注目しています。

打撃センスがすばらしく、もっと試合に出る姿が見たいです。捕手には山本祐大もいるので、もったいないですね。セ・リーグは2027年からDH制が導入されますが、DHや他のポジションででも活躍できる選手だと思います。

【5位予想:広島】

── 広島は5位予想になっています。

山本昌 広島は伸びしろがある分、爆発すれば2位までいける力はあります。伝統的に野手の育成がうまく、2年目の佐々木泰や新人の平川蓮といった楽しみな好素材もいる。とくに佐々木はサポートメンバーとして入った侍ジャパンの強化試合で、すごい本塁打を打ってくれました。先発陣も力のある投手がいるなか、今季から先発転向する栗林良吏が機能すれば面白いでしょうね。

【6位予想:ヤクルト】

── ヤクルトは最下位予想になってしまいました。

山本昌 池山隆寛監督は同期入団の同い年ですし、応援しているのですが......。村上宗隆が抜けただけでなく、今春のキャンプで故障者が10人以上も出てしまったのはあまりに痛かったです。

── 希望を探すとすれば、どんなところでしょうか?

山本昌 このチームは塩見泰隆がカギを握っていると思います。塩見が体調万全で試合に出られる年は、ヤクルトはいつも強いんです。

チームに勢いをつける存在ですから、なんとかコンディションを立て直してもらいたいです。新人の松下歩叶も力がありますし、故障者が戻ってくれば戦えるはずです。

── こうして見ると、どのチームにもスター候補がいますね。

山本昌 そうなんです。だから、今年はスター誕生の年になってほしい。ルーキーがタイトル争いをするくらい伸びてくれば、必然的にそのチームは優勝争いに絡んでくるはずです。新旧交代でプロ野球界を熱くしてくれることを願っています!


山本昌(やまもと・まさ)/1965年生まれ。神奈川県出身。日大藤沢高から83年ドラフト5位で中日に入団。5年目のシーズン終盤に5勝を挙げブレイク。90年には自身初の2ケタ勝利となる10勝をマーク。その後も中日のエースとして活躍し、最多勝3回(93年、94年、97年)、沢村賞1回(94年)など数々のタイトルを獲得。

2006年には41歳1カ月でのノーヒット・ノーランを達成し、14年には49歳0カ月の勝利など、次々と最年長記録を打ち立てた。50歳の15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍中。

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