岩田稔の阪神戦力分析&セ・リーグ順位予想 後編

 球団初の連覇に挑む阪神。はたして、波乱は起きるのか。

2026年セ・リーグの勢力図を、元阪神・岩田稔氏がズバリ予測。6球団の強みと死角を洗い出し、優勝争いの構図を語ってもらった。

【プロ野球】岩田稔のセ・リーグ順位予想 石井大智の離脱も心配...の画像はこちら >>

【1位予想:阪神】

── 阪神は球団初の連覇がかかります。

岩田 石井大智の離脱は痛いですが、それをカバーできるだけの選手層があります。投打ともに軸がしっかりしていて、ほかのチームと比べると安定感はダントツです。去年のように、シーズン中盤から独走するかどうかはわかりませんが、最終的にトップでゴールすると思います。

── あえて不安を挙げるとすると?

岩田 主力、とくに打線の軸となる1番から5番にケガ人が出た時ですね。そうなると打線を組み替えないといけないですし、その時に今までのようにしっかり得点できるかどうか。得点力が落ちると投手陣にもプレッシャーがかかり、悪循環になる不安がある。あくまで仮定の話ですので、そこまで心配することもないかと思いますが......。

【2位予想:DeNA】

── 2位は2022年から4年連続Aクラス入りを果たし、24年には日本一にも輝いたDeNAです。

岩田 相川亮二監督に代わって、どういう野球をするのかが楽しみですし、戦力的にも揃っています。なによりベイスターズは、打線がいい。上位、下位関係なく、得点できるのが魅力です。

それとチームが乗った時の勢いがすごい。チームとしては、シーズン終盤まで優勝争いをしたいところでしょうね。

── 投手陣は、アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイ、トレバー・バウアーの3人が抜けました。

岩田 昨シーズン、彼らだけで430イニング以上投げています。この穴を埋めるのは容易ではありません。エースの東克樹につづく投手が誰なのか。昨年はリリーフだった入江大生が先発に回り、新外国人投手も獲得しましたが、まだ計算できるかどうかかはわかりません。そんな不安な投手陣を、打線がどれだけカバーできるかでしょうね。投手陣がしっかり整備できれば、阪神の対抗馬になれると思います。

【3位予想:中日】

── 3位は中日です。

岩田 髙橋宏斗、金丸夢斗という左右の若い選手がいて、涌井秀章、大野雄大、松葉貴大といったベテランもいる。ベテランって、頼りになるんです。もう力勝負はできないですが、投げたらしっかり試合をつくってくれる。

リリーフも安定していますし、投手力がすごく整っている印象があります。

── 中日といえば、攻撃陣が弱いイメージがありますが。

岩田 今年からホームランウイングが新設され、間違いなく得点力は上がると思います。当然、投手陣も失点を覚悟しないといけませんが、今の中日の投手力ならそこまで大きく失点するとは思えません。打線が活発になればチームに勢いが出てきますし、今年の中日は面白い存在になりそうです。

【4位予想:巨人】

── 巨人は岡本和真選手が抜けました。

岩田 リチャードもケガで出遅れるみたいですし、トレイ・キャベッジと新外国人のボビー・ダルベックがどこまで機能してくれるか。そこは未知数ですし、不安は大きいですよね。こういう時に若い選手が出てくると、一気にチームも乗ってくるのですが、現時点で候補者はいない。

── 投手陣についてはどうですか?

岩田 エース候補の山?伊織が離脱したのは痛いですよね。開幕戦をルーキーに頼らざるを得なかったという点でも、今の巨人の苦しい事情が透けて見えます。

── 戸郷翔征投手も二軍スタートとなりました。

岩田 そこも大きいですよね。

巨人の投手陣のなかでは経験豊富ですし、実績もある。オープン戦でもなかなか結果が出なかったみたいで、ちょっと心配です。

【5位予想:広島】

── 広島の印象はどうですか?

岩田 昨年、首位打者を獲った小園海斗がいますが、ほかのチームと比較すると、戦力的に少し厳しいような感じがします。

── 投手陣は昨年、2ケタ勝った投手がひとりもいませんでした。

岩田 先発は床田寛樹や森下暢仁をはじめ、粒は揃っていますが、なかなか貯金をつくれていないのが現状です。しっかり貯金をつくれる投手が出てくれば、戦いも変わってくると思います。

── 打線についてはいかがでしょうか。

岩田 ルーキーの平川蓮の評判がいいですね。両打ちの選手で、足もある。チームに勢いをつけてくれそうな選手ですよね。あと、2年目の佐々木泰に注目です。昨年はシーズン後半からサードの定位置を獲得し、ホームランこそ出ませんでしたが、そこそこの結果を残しました。サポートメンバーとして出場した侍ジャパンの強化試合ですごいホームランを打っていましたが、パンチ力はあります。

カープは若い選手が多く、彼らが想像以上の活躍をしてくれたらAクラスも狙えると思います。

【6位予想:ヤクルト】

── 池山隆寛新監督1年目ですが、厳しい戦いになりそうですか。

岩田 監督が変わる時って、一気に上位進出もあるのですが、村上宗隆が抜け、キャンプでもケガ人が続出したように、プラス要素が少ないですよね。もちろん、選手個々の能力は高いですし、みんな揃えばそれなりの戦いができると思います。

── 今季は勝敗よりも、育成に舵をきったほうがいいですか。

岩田 若手を支える状況であるのは間違いないと思います。彼らが力をつけて、それまでレギュラーとして出ていた選手とポジション争いをする。これがほんとの選手層の厚みというものです。とにかく、ひとりでも多くそういう選手に育ってほしいですね。

── 6球団について話を聞かせてもらいましたが、やっぱり阪神が頭ひとつ抜けている印象です。連覇の確率はどれくらいあると思いますか。

岩田 うーん......60%はあるんじゃないかな。

長いシーズンを戦う時に、ずるずると落ちていくイメージが湧かないというか、安定感がありますよね。ここにショートが固定され、センターラインが確立すれば、連覇の確率はもっと上がってくると思います。


岩田稔(いわた・みのる)/1983年10月31日生まれ、大阪府出身。大阪桐蔭時代に1型糖尿病を発症。高校卒業後の進路として決まっていた社会人チームへの内定は病気を理由に取り消されたが、推薦入試で関西大学に入学。大学での活躍が認められ、2005年の大学・社会人ドラフト会議で希望枠での阪神入団。2008年に10勝をマークし、翌年春に開催された第2回WBCに日本代表に選出され、世界一に輝く。21年に現役を引退。引退後は、1型糖尿病の啓蒙活動や社会貢献活動の続行、野球解説・評論、阪神タイガース「コミュニティ・アンバサダー」等で活躍中

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