この記事をまとめると
■日産GT-R(R35)が登場して15年が経過■登場時話題になったのが維持費の高さと、カスタマイズに関する制約の多さ
■「とにかくイジるな」というのがメーカー側の姿勢だった
登場時は制約の多さが話題に!
日産GT-R=R35がデビューしてすでに15年。毎年進化するイヤーモデル制を採っているとはいえ、世界のハイパフォーマンスカーを相手に、いまだに第一線級の速さを維持しているのは驚異的なことだ。
そんなR35が登場した2007年当時、とくに話題になったのが維持費の高さと、カスタマイズに関する制約の多さ。
エンジン出力は480馬力。ニュルブルクリンクで7分38秒をマークし、300km/h走行時にも同乗者との会話が可能というパフォーマンスが、777万円の車体価格で手に入るのはボーナスプライスと驚かれたが、その代償として維持費は国産車の常識とはかけ離れていたし、制約の多さに関しては国産車、輸入車を問わず突出していた。
なかでも一番ネックになっていたのは、R35の整備・点検はNHPC(日産ハイパフォーマンスセンター)に限定されていて、メンテナンスに関してもさまざまな義務を課せられていた。
新車2,000km点検でアライメント点検・調整が義務だったり、クラッチの慣らしが必要で、クラッチのならしを実施したあとは、トランスミッションのセッティングがマストだったり、オイルやフルード類はすべて指定品。交換作業もNHPCに限られ、エンジンオイルとフィルターを交換するだけで、4万円コースだった。
ブレーキパッドも消耗した場合、ローターとセットで前後同時に交換というのがお約束。57万円も費用がかかった。

そしてタイヤ。純正タイヤはBSとDLのランフラットタイヤで、1セット工賃込みで約50万円。当時はNHPC以外では販売されていなかったので、交換作業もNHPCに依頼するのが基本。

これらの条件を守らないと、一切新車補償が受けられないのがR35の大きな壁となっていた。
純正至上主義を貫いていたR35GT-R
もちろん、チューニングは御法度で、車検対応マフラーだろうが、エアロだろうが、バッテリーやワイパーなど軽微な消耗品を除き、純正パーツ以外を使うと、すべて新車補償の対象外になるだけでなく、ディーラーへの入庫すらお断りになる徹底ぶり。

しかも、あの頃R35の補修部品はNHPCでしか入手できなかったので、カスタマイズ=通常整備もできなくなるという問題が……。
もちろんコンピュータをいじったり、ブーストアップするのも厳禁で、特定のサーキット以外ではリミッターカットもNG。

おまけに2007年当初は、サーキットを走ると新車補償の対象外になる制約まであって、とにかく雁字搦めの状態!(のちにサーキット走行後、NHPCで「スポーツ走行後点検」を受けることで新車補償の対象になる措置が計られたが、点検費用はおよそ6万円)

R35については「とにかくイジるな」というのがメーカー側の姿勢だった。
もちろん、補償などいらない、と割り切ればチューニングも可能だったが、チューニングしてパワーアップすると、R35の大きな特徴、6速DCTのGR6型デュアルクラッチトランスミッションにトラブルが多発……。
今でこそ、さまざまなノウハウや日産側の譲歩(?)もあって、チューニングやカスタマイズの楽しみも広がっているが、初期の頃はコンピュータのロガー機能に速度の整備履歴が残り、チューニングしたりハードに走ったデータが記録されるため、R35のチューニングはいろいろな意味で戦いだった。