この記事をまとめると
■EVやHVを中心にアクセルペダルだけで加減速が調整できるモデルが増えてきた■EVやHVではアクセル操作は踏み込みも戻しも穏やかに行えば燃費の悪化を防ぐことができる
■ガソリン車でもアクセルペダルを強く踏むのではなくふんわりと踏み込めば燃費向上につながる
ワンペダルは踏み込みも戻しも穏やかに行うのがコツ
電気自動車(EV)やモーター駆動を主体とするシリーズ式ハイブリッド車(HV)で賛否がわかれるのが、アクセルペダルのみで加減速や車種によっては停止までできるワンペダル操作だ。アクセルペダルの戻し方によっては回生が強く働き、ぎくしゃくした走りになることから、「運転しにくい」「使い物にならない」などの不満の声が上がった。
アクセルのワンペダルは、ペダルをゆっくり戻せば弱く回生が働き、パッと素早く戻せば回生が強く働く仕組みなので、エンジン車の運転で身に付いたパッとアクセルペダルを戻す運転操作では、上記のように滑らかな走行ができなくなる。
パッと戻すアクセルペダルの操作が当たり前に感じられるのは、元来、クラッチ操作のある手動変速(マニュアルシフト)では、クラッチを踏んで変速する際に、素早くアクセルを戻す運転であるからだろう。それが自動変速(オートマチック)でも、変わらず行われてきた。
一方、アクセル操作は、踏み込みも戻しも穏やかに行うのが基本で、そういう速度調整の仕方をすれば、滑らかな加減速とともに燃費の悪化を防ぐこともできる。

速度調整をブレーキで行う癖のついた人をよく見かけるが、それでは加減速での速度差が大きくなりがちで燃費を悪化させやすい。また、後続のクルマも、ブレーキランプが点灯するたびに自らもブレーキを踏むことになり、交通渋滞の引き金にもなってしまう。
ワンペダルを上手に活用するには、踏み込みも戻しも穏やかに行うのがコツになる。それによって、自分の求める加速や減速を適正に実現することができる。
ふんわりアクセルはガソリン車でも有効
このアクセル操作方法を身に付けると、EVの電力消費を抑えるだけでなく、HVやエンジン車でも燃費を抑えることに役立つ。ちなみに私の経験では、旧型プリウス(3代目)に乗っていたとき、あえてシフトをDではなくBとすることで回生の働きを強め、EVのワンペダルのような運転を心掛けたところ、燃費が改善された。

高速道路では、Dのほうが回生の働きが弱まるので、巡行しやすいことはあったが、高速道路を降りたらBに戻す運転を続けると、タイヤを冬用のスタッドレスタイヤへ変更しても、若干の燃費低下はあっても好燃費を実現できていた。そして、ガソリンを満タンにしてオンボードコンピュータに表示される走行可能距離は、1000km前後を常に維持できていた。

ガソリン車では回生の活用はできないものの、アクセルペダルを穏やかに操作することで燃費改善の効果はあると思う。
また、発進の際には、タイヤが1回転するくらいはクリープで動き出し、そのあとアクセルを踏んで加速するようにするだけでも燃費は改善されるだろう。EVであるか、HVか、あるいはエンジン車であるかを問わず、1.5トン前後もする重いクルマを止まっている状態から走り出させるためには大きな力がいる。そこで、いきなりアクセルペダルを強く踏み込んでは、損失のほうが多くなってしまう。瞬間燃費計を見ていると、軽自動車でさえ燃費が一桁台に落ちるほどだ。そこで、頭のなかでタイヤが1回転する様子を想像しながら、そのあとにアクセルペダルを踏み込みはじめる意識をもてば、無駄が減り、燃費向上につながると思う。

クルマが動き出したあとは、交通状況にしたがって流れに乗れる加速をアクセルで調整すればよい。交通の流れを乱してまで、ふんわりアクセルに頑固にこだわるのは、逆に周囲からの反感を買いかねない。